海外居住者や外国籍の方の年金手続き
〇海外居住者の年金請求手続き
基本的には国内に居住されている方と年金の手続きは変わりませんが、海外に1年以上の居住(予定)者の場合は、その居住地の確認書類として「在留証明書」(日本大使館にて発行)が必要となります。海外での年金受取には、海外に1年以上の居住(予定)者であることが要件なのです。
下記の書類の提出が必要です。
・「外国居住年金受給権者 住所・受取機関 登録(変更)届」
受取金融機関情報が確認できるもののコピーを添付すること
・「租税条約に関する届出書」(様式9号) 2部
(以下はアメリカ合衆国のみ)
・「特典条項に関する付表」(17号)
・「居住証明書」(Form 6166) Internal Revenue Service(米国歳入庁)で発行
居住証明書(Form6166)は、公的機関が発行した証明書には該当しますが、請求者及び配偶者の「氏名」「生年月日」「性別」 「居住地」「婚姻日」「居住開始日」が明記されているものではない。
なお、生計維持関係の認定を行う場合においては、この居住証明書のみで、その時点の婚姻及び同居の確認書類 としては使用できない。
過去の住所の証明として総領事館で在留証明を発行することは可能です。その場合は、そこに住んでいた期間と住所を証明する米国公共機関の発行する文書(居住者証明書、外国人身分証明書、運転免許証,納税証明書、家屋の賃貸借契約書、電気・水道等公共料金の請求書等の組み合わせ)の原本が必要となります。
外国に帰化した元日本人の方には在留証明は発行できませんが、それに代わる「居住証明」の申請ができます。それに代えて、米国の場合ですと最寄のNotary Public(公証人)で宣誓口述書(Affidavit)等に認証を受けていただく方法もあります。
〇外国籍の人の年金請求
(1) 日本国内に住所がある場合
日本に長期滞在(3ヵ月超)している人には、戸籍謄本(抄本)や住民票が発行される。
加給年金または振替加算の対象者がいるときは、世帯全員の住民票が必要です。
日本に短期滞在の人については、戸籍謄本(抄本)に代るものとして居住国の公的機関が発行した証明書(氏名、生年月日、性別、居住地が明記されているもの)とその和訳文(翻訳人を明記)を付けること。
(2) 日本国外に住所がある場合
日本に短期滞在の人については、戸籍謄本(抄本)に代るものとして居住国の公的機関が発行した証明書(氏名、生年月日、性別、居住地が明記されているもの)とその和訳文(翻訳人を明記)を付けること。
所得証明の添付が必要な場合で、滞在国で所得証明が発行されない場合は、給与明細等の収入が確認できるもの、または、公的機関等の第三者による収入の証明および任意様式の申立書を添付する。
婚姻の確認について、日本国籍の者である場合、戸籍により確認することになりますが、日本国外に住所がある外国籍の者であるため、戸籍に代わる書類(居住国の公的機関が発行した証明書で、「氏名」「生年月日」「性別」「居住地」が明記されているもの)により確認することになります。
居住国の公的機関が発行した証明書が、戸籍謄本や住民票に代わる書類として用いることができないときは、開示請求した外国人登録原票 や「住民票除票」を戸籍謄本や住民票に代わる書類として用いることとしている。
外国の公的機関の発行した証明書については、和訳分と日付、翻訳人の明記、翻訳人の押印が必要です。
なお、「居住証明書」(Form 6166)(Internal Revenue Service(米国歳入庁)で発行)についての日本語訳は不要です)
外国籍である場合は、戸籍謄本や住民票に代わる確認書類が必要となります。以下に、例を示しました。
国名 |
証明書類 |
取得先 |
取得方法等 |
韓国 (在日韓国人) |
婚姻関係証明書 |
韓国総領事館 |
総領事館(東京・大阪・福岡)に郵便で申請。 証明書の「配偶者」は、韓国籍でない方であっても記載される(婚姻届を韓国に提出している場合)。 |
家族関係証明書 |
韓国総領事館 |
韓国の戸籍制度は2008年1月に廃止となった。 戸籍に代わるものとして入手。 |
|
朝鮮 (在日朝鮮人) |
相続に使う戸籍に代わるような証明書 |
在日本人朝鮮人総聯合会 (朝鮮総聯) |
|
中国 |
戸籍 |
中国 |
中国国外からの取得はできない。中国に行くか、中国在住の人に取得を強力いただくこと。 |
出生証明 |
中国 |
日本で出生証明を提出した場合は、中国で出生証明を発行できない。 |
〇年金受給者が海外に転出する場合
住所、受取金融機関の変更手続き
住所を変更(海外へ移住)する場合は、「年金の支払を受ける者に関する事項(海外送金)」に「在留証明書」を添付して年金事務所へ提出してください。また、受取金融機関を海外にある金融機関に変更する場合は、「年金の支払を受ける者に関する事項(海外送金)」に口座番号や金融機関の住所等が確認できる書類を添付して年金事務所へ提出してください。(海外での年金受取りには、海外に1年以上の居住(予定)者であることが要件となります。)
年金受給者の住所が日本国外にあるときは、次の書類が必要となる。
(1) 「年金の支払を受ける者に関する事項」
年金を受け取る金融機関や口座番号、住所などを届出するための用紙
(2) 「租税条約に関する届出書」 (2部提出)
年金にかかる二重課税を回避するための届出書。
租税条約締結国に居住している場合に提出が必要です(所得税が免除となる)。
(3) 居住証明書
・戸籍の附票の写し
・滞在国の日本領事館の交付した在留資格証明書 (住民票に準ずるもの)
(戸籍の附票の写しのみでは居住地がわからず、証明にならない。滞在国の日本領事館が交付した居住証明書も必要。)
・旅券法に規定する旅券(パスポート)のコピー
・滞在国に税申告している場合は申告書の写し等
滞在国で税を申告していない場合は申立書
(4) 所得証明の添付が必要な場合で、滞在国で税の申告を行っている人はその申告書のコピ
ーが必要。滞在国で申告を行っていない人は、任意様式の申立書を添付する。
(以下はアメリカ合衆国のみ)
(5) 「特典条項に関する付表」(17号)
(6) 「居住者証明書」(Form 6166) Internal Revenue Service(米国歳入庁)で発行
(この証明書についての日本語訳は不要です)
定年前に既に海外に移住する計画がある人で、国内に住所を持てない場合は、住民票に代えて在留証明を添付すること。
加給年金の対象者の請求者によって生計を維持していることの証明書類に関して、配偶者の源泉徴収票あるいは非課税徴収票は、国内に住所を有しないと取れない。これらに代わって、 独自に妻に収入が無いこと等について証明する申立書(様式は任意)を添付すること。
海外で暮らす日本人の方が年金を受け取るには、海外に移住するときに、市区町村に「海外転出届」の届出を行っていることが必要です。この書類は市区町村によっては「異動申出書」などの名称になっています。
また、在外公館(現地国の日本大使館や日本領事館)に「在留届」の届出を行っていることが必要です。
海外で年金を受け取るには、基本的に日本で生活をしている間に手続きを行った方がベターです。まず、役所で「海外転出届」を提出します。これは年金受給者に限らず、海外移住をする全ての方が提出します。その際に現地での住所が決まっていなくても、国名だけで問題ありません。また、国内間の転出届とは異なり、転出証明書が発行されません。そのため、何日付で転出をしたのか? は各自で覚えておく必要があります。
海外転出届の提出が終わった後、役所の窓口または現住所を管轄する年金事務所で海外転居の旨を伝えると、「年金の支払いを受ける者に関する事項」の用紙を渡されるので、所定事項を記入し、必要書類と併せて提出します。記入方法の疑問点が生じた場合や、記入漏れによる問い合わせがあった場合のことを想定して、出発直前ではなく余裕を持って提出を済ませましょう。
海外へ引っ越しされる方、海外居住で引っ越しをされる方、引っ越しの際に海外の口座へ年金の振り込みを希望される方は、日本国内居住者と届書が違います。
海外居住者への年金の支払は、外国送金の方法に基づき行われています。そのため、海外に居住して年金を受け取る場合は、届書「年金の支払を受ける者に関する事項」の提出が必要です。
届書「年金の支払を受ける者に関する事項」に基礎年金番号・年金コード、氏名・性別、生年月日、住所を記載し、さらに、外国の銀行で受け取りを希望する場合は、銀行名、支店名、銀行の所在地、口座番号の欄も記入した上で受け取り銀行の口座番号が確認できる書類を添付して提出します。
海外居住者であっても年金の支払いは、国内の金融機関で受けることもできます。ただし、「ゆうちょ銀行」では受け取ることができません。
海外に移住すると日本の居住者ではなくなります。海外の現地国の居住者となります。日本から見て「非居住者」の取り扱いとなります。
移住する国が日本と租税条約を結んでいる場合は、届書「租税条約に関する届出書(様式9号)」(2部必要。コピー不可)を年金事務所に提出します。この届出書の提出により、日本の所得税は課税されなくなります。代わりに、居住者となる外国の課税が適用されることになります。
「在留証明」は海外在住の現住所を証明する公的書類です。
日本国内に住んでいれば、市区役所の発行する「住民票」が現住所を証明する書類になります。
海外在住の場合、居住国の日本大使館・領事館が発行する「在留証明」が、「海外在住の現住所を証明する公的書類」となります。
年金請求(申請)の手続きには、この在留証明が必要です。
なお、元日本国籍で現在は外国国籍の方は、居住国の公的機関が発行した居住証明が必要です。
海外への送金に関する注意点
昨今の国際情勢から、日本から海外にある銀行へ送金するには、SWIFT(またはBIC)と呼ばれる銀行を特定するための8ケタか11ケタの送金コードが必須となりつつあります。 なお、SWIFTだけでなく、国や地域によって、別の情報を必要とする場合があります。
以下に記載する地域については、次の情報も合わせて届出して下さい。
・欧州などIBAN採用国向けの送金
IBAN(アイバン)とBIC(ビック)(SWIFTの事。) IBAN(International Bank Account Number)とは、国を表すアルファベットと数字からなるもの。指定される口座の銀行の所在地、支店、口座番号を特定する番号のこと。
主なIBAN採用国
オーストリア、ベルギー、チェコ、デンマーク、フィンランド、フランス、 ドイツ、ギリシャ、ハンガリー、アイルランド、イスラエル、イタリア、オランダ、ノルウェー、ポーランド、ポルトガル、サウジアラビア、スペイン、スウェーデン、スイス、トルコ、イギリス 他
支払調書
前年中に海外に居住されていた(年の途中で日本に帰国された方も含む)老齢年金の受給者の方に、前年中に支払った年金額、源泉徴収税額等を記載した「非居住者等に支払われた給与、報酬、年金及び賞金の支払調書」を毎年1月末に送付しています。
現況届
海外に居住されている方で国内に住民票がない方は、住民基本台帳ネットワークシステムで生存確認を行うことができません。海外に居住して年金を受ける場合は、年1回「現況届」の提出が必要です。日本年金機構では、海外居住の年金受給権者様あてにお誕生月の前月下旬に現況届を発送しております。 毎年誕生月に送付される現況届に滞在国の日本領事館等で発行した在留証明書を添付することになっています。
海外居住者の現況届に添付する書類(在留証明、居住証明等)について
海外に住所を有する年金受給者の方に毎年ご提出いただく「現況届」は、誕生月の末日が提出期限となっています。 (日本年金機構から年金受給者の方への現況届の送付時期は誕生月の前月末です。) このたび、現況届に添付する書類(在留証明、居住証明等)は、誕生月を含めて過去6ヵ月以内に証明を受けたものが有効となりました。 なお、在留証明は日本国籍を有する方に交付される証明書です。交付申請には、日本年金機構より送付された現況届、年金証書、その他通知書の提示が必要です。
便事情等で誕生月の中旬までに現況届が届かない場合には、日本年金機構からの郵便の到着を待たずに、以下の年金受給権者現況届を印刷し記入いただくか、手紙に、基礎年金番号、氏名、生年月日、住所及理由(現況届が未着等)を記入し、在留証明を添付してご提出願います。