生々流転の法則
地上に生きとし生けるものすべては、誕生―成長―衰退―消滅という過程を辿ります。この法則のことを「生々流転の法則」と言います。
人間、動物、植物、鉱物、微生物、この地球上に存在するものすべてを支配する法則があります。それは、生あるものには誕生の時があり、成長していく過程があり、老化する過程があり、そして必ず死滅する時が訪れるという、「生々流転の法則」です。
この法則は物にも当てはまります。例えば、自転車でも、作られる時があり、色々な人に使用され、やがて故障してその姿を消していくというプロセスをたどります。
赤ちゃん(誕生)→子供→大人(成長)→老人(衰退)→(死)
時間と生々流転の法則
生々流転の法則は、この地上にある存在は、すべて時々刻々に変化しており、まったく同じ状態であることは不可能である。という風に言い換えることもできます。(人間の細胞も日々一瞬一瞬変化している)
すなわち、存在というものは、そのなかに変化する性質、流転するという性質―「時間」を内包しており、変化を前提として、存在することが許されているのです。
また、もし時間というものがなかったならば、この三次元の現象はすべて静止した画面のようになってしまいます。
それが何を意味するかといえば、存在の消滅です。時間が止まれば、私たちの生命も消えてしまうのです。
諸行無常の意味
生々流転の法則は、仏教では「諸行無常」という言葉で言い表わされています。
しかし、この諸行無常という言葉は、単なる厭世観として、とらえられるべきではありません。
この変わりゆく世界のなかにおいて、変わることのない視点、すなわち、実在界の視点をつかみきった人間こそが、この世の本当の意味をつかむことができる、ということなのです。
諸行無常とは、決してこの地上にあって、地上世界で自らが変転していく姿を言っているのではなく、あくまでも実在世界の目で見た、この変転して止まない地上世界の栄枯盛衰の姿を言っているのです。