「宗教文明の衝突」を避ける「黄金の道」

 幸福の科学大川隆法総裁は、『不滅の法』で宗教戦争をどうなくしていくかについて、以下のように述べている。

その違いを考えるよりも、その中に流れている『一本の黄金の道』を、どうか見抜いていただきたいのです。そして、地球レベルで人々を導こうとしているものの存在を、その教えを、感じ取っていただきたいのです

 「一本の黄金の道」について、総裁はこれまでの霊界検証も踏まえ、ユダヤ教やキリスト教、イスラム教は、中東でエロヒム(エル)と呼ばれる愛の神が中心的に導いて生まれた と指摘した。これは三つの宗教を幅広く研究する宗教学者もある程度は指摘していることではある。

 大川隆法総裁は、これに加えて、この地球全体に責任を持つ至高神エル・カンターレであると明らかにしている。この「至高神」がイエスやムハンマドなどを通じ、それぞれの時代や地域に合った新しい教えを地上に降ろし、「文明実験」をしているというのが、これまでの霊界検証の結果である。

 また、総裁は、『愛、自信、そして勇気』 第1章「伝道の精神を鍛える」で以下のように指摘された。

本当は、神は一人ではありません。神と言われてもいいような高級霊は、実は大勢います。もちろん、上の世界に行くほど数は少なくなっていき、最も尊い霊的存在として「至高神」がいるのです。これが真相です

実は、宗教の世界でも、同じようになっていて、『いろいろな宗教指導者を、この世に送り、その宗教を広げてみて、人々が幸福になるかどうか』という壮大な文明実験を、何百年、あるいは、千年、二千年と、政治の場合よりももっと長い時間をかけて行っているのです

 とするならば、ユダヤ教もキリスト教もイスラム教も、「自分たちは何者か」と考えていることの中身が違っていて、実は同じ「至高神」を信じていることになる。

 こうした霊的知見や現実世界への応用について、学問的にも研究し、宗教を超えて学べるようにすることが宗教対立を解消する道となる。

 「未来創造学」は、「考えることができる人間」「自由人」をたくさんつくることになる。国際政治学の分野でも、これら、総裁が検証した結果は、幸福の科学の教えを信じるところまでいかなくても、平和を求める各宗教の人々にとって「考える材料」になる。

 イスラム過激派は「イスラムが絶対に正しく、他の宗教は堕落している」という考えに凝り固まっている。欧米の側も、「イスラムは悪魔の教え」と考える勢力がいる。「本当にそれで正しいのか」と、ソクラテスのように神の心について考えることによって、和解の道が見えてくる。

 人間は魂修行のためにこの世に生まれているわけだが、何億人という人たちが信じる宗教が時代の移り変わりの中で大きな不幸を生んでいるなら、人間の側で何らかの改革が求められる。父なる神やイエス、アラーの考えはどこにあるのか。それを互いに考えていこうというのが「未来創造学」のスタンスなのです。

 

愛の神による「許し」

 宗教の対立や戦争を終わらせていくためには、ハンナ・アーレントが『人間の条件』で示した「許し」が極めて重要になる。

 ハンチントンが分析したように、それぞれの宗教を信じる人たちは「自分は何者か」を追求し、この世で生きた証を遺そうとして宗教対立や戦争が起きている。このこと自体は元に戻すこともできないし、償うことも簡単にはできない。そこで必要になるのが「許し」の精神である。

 アーレントは同書でこう述べている。

 人間は「活動=アクション」の中で失敗したり、罪を犯したりするものである。それでも活動をやめないためには、「許しと放免が必要であり、人びとを、彼らが知らずに行った行為から絶えず赦免しなければならない。人びとは、このように自分の行う行為から絶えず相互に解放されることによってのみ、自由な行為者に留まることができるのである。そして、人間は、常に自ら進んで自分の心を変え、ふたたび出発点に戻ることによってのみ、なにか新しいことを始める大きな力を与えられるのである。この点で、許しは復讐の対極に立つ」

 人間が罪を犯し、憎しみが生まれ、それに対する復讐が延々と続いているのが、今の中東紛争や対テロ戦争である。それを解決の道に向かわせるのは、宗教的な「許し」が不可欠です。

「許しを説くイエスの教えに含まれている自由というのは、復讐からの自由である」

「キリスト教の説くところでは、愛だけが許すことができるのは、愛だけがその人の『正体』を完全に受け入れ、その人がなにを行なったにせよ、常にその人を進んで許すことができるからである」

 アーレントは、キリスト教の愛の精神として「許し」を位置づけているが、ユダヤ教、キリスト教、イスラム教に共通する愛の神のことを言っていると理解すべきです。

 大川隆法総裁は、2012年10月の法話『Aspirations for the Future World』の質疑応答で、人権を軽視しているイスラムの現状について以下のように述べた。

彼らは、ただ神の言葉を守っているだけですが、もし神がいま質問に答えるなら、『私は愛である。私は慈悲である。その点から考えなさい。現代社会と未来社会に適応しなさい。憎しみを捨てなさい。そして、愛によって他者からの憎しみや嫉妬を越えなさい』ときっと言われるでしょう

 「至高神」による愛と慈悲だけが、中東の憎しみの連鎖を解くことができる。

 

すべての人に「自由からの未来創造」を

 ハンチントンは中国について、イスラム勢力と結びつきつつ、欧米と対決するとも予測した。主著『文明の衝突』の中では、シンガポールのリー・クアンユー元首相の1894年時点の以下の発言を引用し、警告した。

「世界に占める中国の領土は巨大なもので、30年から40年ののちには、新しい力のバランスを見出さなければならない。それは単に新しい巨大な勢力というだけにとどまだらない。人類史上、最大の勢力だ」

 これも現実に今起こっていることだが、ハンチントンは具体的な対処法を示さなかった。ハンチントンは中国を儒教文明としており、無神論の共産党政権の怖さを十分把握できていなかったのかもしれない。

 では、「未来創造学」は中国問題の解決に何ができるでしょうか。

 中東紛争や対テロ戦争が「神を信じる国・勢力同士の戦い」とするならば、中国問題は、「神を信じず、神の子・仏の子としての人権を認めない国」の巨大化という問題である。

 中国の侵略的な行動をどう抑止していくかは、中国人も周辺国の国民も「永遠の生命を持つ人間が、それぞれの国で生きた証を遺す」ために努力しており、それを暴力的に支配する権利は誰にもない、という国際正義を打ち立てるしかない。そして、最終的に中国での無神論政権を終わらせるために共に国際社会が一致協力するということです。

宗教 

「仏法真理」へ戻る