マイクロヒット戦略

 マイクロヒット戦略とは、すでにあるマーケットの中から確実に売れるターゲット層を狙って、売上計画の3割増し、5割増しの小さなヒットを打つ戦略です。

 平凡な人でも実践できて、着実な利益を積み重ねていくという「マイクロヒット戦略」。

 民間企業が、政府の失政で起きる不況から逃れることは難しい。だが、1991年のバブル崩壊以降、度重なる官製不況の中でも、業績を上げ、着実に成長している企業はある。

 デフレが続く15年間、日本の企業は熾烈な値下げ競争に苦しんできた。8%の増税を受け、今後さらなる価格競争が起き、体力の弱い中小企業はますます苦しくなる可能性が高い。

 日本経済を支える中小企業の多くは、広告・宣伝費に大きな資金を使えるわけでもなく、商品開発も限られた予算枠で行っている。まさに、そんな中小企業や自らを平凡だと考えている企業人に提案したい戦略が「マイクロヒット戦略」である。

 既存のマーケットの中で確実に売れるターゲットを見つけ出し、何割か増しの利益を着実に出し続ける戦略である。

 そんなマイクロヒットから始まり、メガヒット商品にまで発展したものもある。桃屋の「食べるラー油」やエナジードリンクの「レッドブル」など。これらの商品は、最初から広告・宣伝を大々的に打ったわけではなく、特定のターゲット層に火がついて、次第にファンが増えていったものである。

 オリジナリティを出して差別化するために、ターゲットを明確にしたり、その層に当てるコンセプトを創る工夫を続けていく中で、マイクロヒット戦略ができ上がるのです。

 この戦略を使うと、限られた層に効率の良い宣伝ができ、リピーター率、口コミ率がアップするのが特徴です。ホームラン狙いではないので、特殊な能力がなくても実践できます。

参考

 経営コンサルタント・廣瀬知砂子氏は、マイクロヒット戦略の意味について こう説明している。

 「大物を狙えないとしても確実なヒットは出したい。そういう私たちに出来るのは、すでに大きくなっているマーケットを狙いつつ、そのなかで消費者の目を惹きつける特徴のある使用品をつくること。そこで一定数の顧客を確実に獲得してからヒットの輪を広げていこう、という考えが「マイクロヒット戦略」なのです。」

 

顧客のニーズから発想する姿勢

 各企業の経営者は、環境変化に対してうまく適応していくことが求められる。このとき、「顧客のニーズとは何か」という視点から発想する「マーケット・イン型」の姿勢が重要である。顧客ニーズに対応していく、あるいはそれを先取りして「創造する」ことができれば、その企業は発展する可能性が大きいと言える。

 特に、技術者出身の経営者は「自社にできること」から発想する「プロダクト・アウト型」の考え方に陥りがちなので要注意である。

 ニーズを発見し創造するためには、徹底した「現場主義」で、顧客に聞き、現場を見、街を歩いて観察し、汗を流した上で熟考に熟考を重ねるしかない。

 もちろん、「新しいニーズに対する付加価値の創造」と同時に、回収、在庫の圧縮など、既存の事業の効率化を図ることも忘れてはならない。

 ただし、ここで言う「効率化」とは単なるリストラではない。今までの事業に投入していた経営資源(人・モノ・金・空間・時間など)を節約する一方、それを新たな創造事業に振り向けることである。新しいニーズ、付加価値創造の源泉を発見したならば、そこに節約した分の経営資源を再投入していくのです。

 

小さなヒットを重ね大きなチャンスをつかむ

 ここでお勧めするのが、「マイクロヒット戦略」から「ブルー・オーシャン戦略」へという道である。

 幸福の科学大川隆法総裁は、「『小さくても、単打を重ねていく。小さなヒットを重ねていく』という作戦が、マイクロヒット戦略なのです。要するに、『採算ラインを必ず超える』と思われるものであれば、単打を重ね、成功の連鎖をつくっていくという作戦です」(『忍耐の時代の経営戦略』)と語っている。

 ほとんどの中小企業は新規投資の余裕などない。だからこそ、小さく始めていくことが成功のポイントとなる。そして、一定の時間を耐え、資金が続き、チャンスが来たと判断したならば、一気にメガヒットを狙うことも可能になる。それが成功すれば、「ライバルのいない市場で戦う」という「ブルー・オーシャン戦略」につながる。

 

 環境の変化はいつの時代にもある。環境の変化を言い訳にしないことが大切です。松下幸之助は商売のコツについて、「雨が降ったら傘をさせ」と言った。天地の理に沿って当たり前のことを当たり前にやるということ。変化の方向性を見定め、「何ができるか」を繰り返し考え、智慧をもって環境に適応していくことこそ、経営成功学の要諦である。

参考

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