お客様の視点で考えること

 一流の営業マンは、大きく三段階のプロセスを踏んでいるという。

 第一段階では、「自分は、何のためにこの仕事をしているのか」ということを自分の中で凄く明確にしているという点があげられます。トップクラスの営業マンであれば、訊かれて考えこんでしまう人はほぼいません。すぐに「お客さんを喜ばせたいから」などと答えてくれます。こういう気持ちがすべての行動基準になっていて、お客さんにも伝わるので、この人から買いたい、この人に頼みたいと思われるようになっていきます。

 第二段階では、「私の話を聞いてください」ではなく、「お客様の話を聞く」ことに意識が向いています。店舗で営業している方の中には、「お客さんの意向が分からないうちは、商売の話はしない」という人もいます。まずは、その人のことを知りたいと思って話しかける。そうすれば、相手も心を開いてくれるし、必要なら何か言ってくるだろうから、そこまで待つということです。このプロセスを飛ばしてしまっている方も多いのではないかと思います。

 第三段階では、相手の考えや気持ち、要望、抱えている問題が分かったら、「私はそれを解決する力を持っている」と伝えることです。その場合は、お店側・会社側の人間としてではなくて、中立なコンサルタントとして、時に会社の利益に反してもお客様の立場になる姿勢を見せることが大切です。

 

営業の悩み解決には お客様の視点で考えること

 しつこい人だと思われたくなくて、一度断られたら引いてしまうという方もいらっしゃるかもしれません。

 しかし、しつこい営業マンというのは、定期的に何度も連絡をしてくる人ではなく、「全然帰ってくれない」「断ってもずっと押してくる」といった、断ろうとしたときに疲れる人です。

 しつこくなくて「熱心だ」と言われる営業マンは、そのときに興味がなければ、「すぐ引いてくれる」。ただ、「定期的な連絡を欠かさない」ので、必要なときに指名してもらえるのです。

 過去の失敗から立ち直るためにはどうしたらよいか。それは、自信を持つことだと思います。

 営業とは、「物を売る」だけでなくて、相手の要望に応えたり、抱えている問題を解決して満足を与える仕事なので、そのための専門知識を身につければ自信になります。

 そのためには、休日に自分で勉強する以外に、たとえば、お客さんが持ってきた難しい問題から逃げずに その場で勉強しながら解決する方法があります。

 苦労して解決した経験と知識は、先輩も持っていないスキルかもしれません。そうしたことの積み重ねが自信になり、キャリアがなくても、若くても、真剣に話をしてもらえるだけの力になると思います。

 

自分の仕事は何なのか

 相手の話を聞きすぎて、最後の一押しができない場合もあるでしょう。その時は、「自分はモノやサービスを売ることで、相手の問題を解決する仕事をしている」という事実を思い出すことだと思います。

 営業とは、嫌な断りにも遭う仕事ですが、最終的に買ってくれた人からはとても喜ばれ、感謝される素敵な仕事です。断られた人よりも、買ってくれた人を見ていくようにすれば、自分の仕事に対する見方が変わるのではないでしょうか。

 

説得上手な人になるためのヒント

1 自分を説得できている

 口ベタについて云々する前に、人を説得する前提として、まず自分を説得する必要があるのは言うまでもない。

「こんな商品は自分なら買わない」「これまで売れなかったから今日も駄目だろう」と内心考えながら、お客様を説得することは原則として難しい。

 営業や商談に、断られる経験はつきものです。しかし、過去に断られたという記憶を引きずって、「どうせ自分にはできない」と思い込んでしまうと、怖くなって次の一手を打てなくなってしまったり、悲壮感が漂って、その雰囲気でお客様を逃がしてしまったりする。

 まずは、自分の心を深いところまで説得しておく必要がある。

2 相手の話をよく聞いている

 自分が口ベタと思うなら、無理に上手に話そうとせずに、人の話をよく聞けばよい。一見取りとめのない世間話の中にも、お客様の潜在的な願いを知るヒントが隠れていることがある。お客様の事情をよく理解した上での提案は受け入れられやすい。

 しかも、話を聞くことには、情報を集めるだけではない効果もある。

 とにかく、お客様の話を聞くこと。話題が色々な方向に飛んでしまっても、軌道修正せずに徹底的に聞く姿勢を示すと、初めは「契約するもんか」と対決姿勢を示していたお客様でも次第に心を開いてくる。言いたいことを言い尽くしたお客様は、最後にはこちらの話を聞く気になるのだという。

 商品知識をまくしたてたくなっても、まずはお客様を受け入れる必要がある。それは自分の誠意を相手に示すことにもつながる。

「どう上手く話すか」を気にする前に相手の話を聞くことが大切です。

3 相手の背中を押せる

 口ベタの人にとって、最後の一押しができるかどうかは大きな関門である。上手に話すことができ、相手が話を聞いてくれたとしても、案外、最後に「買ってください」「取引してください」のツメの一言が言えずにチャンスを逃すケースは多い。

 自社のこれまでの実績を勉強し、お客様の話をよく聞いて、自分なりにお客様にとって最善だと思える新しい方法を工夫したところ、自信を持って勧められるようになり、契約してもらえるようになるでしょう。

 お客様のためになることだと確信できれば、最後の一言も言いやすいし、その思いがお客様に伝わり、信用される。

 1. の「自分を説得できている」ともつながるが、説得は心から「相手のためになる」と確信できていることが大切です。

 また、実際に言ってみて、もし断られたとしても「駄目な理由」を相手が教えてくれるなど、次に打つべき手が分かり、前進できる。

 

説得とは「与える愛」

 幸福の科学大川隆法総裁は、『宗教と経営』で、営業における説得力の高め方について次のように説いている。

「『わが社のサービス、わが社の商品は、人々を素晴らしい幸福、繁栄に導くものだ』ということが確信できていれば、説得力が出てきます」

「本人が強い理想実現の思いを持ち、そして、『相手のために』という、与える愛の実践活動として営業活動をしていれば、説得力は、五倍、十倍になるでしょう」

 説得とは、相手がより幸福になるような行動を提案することであり、宗教的に言えば、「与える愛の実践」にあたる。

 あなたが高い説得力をもって人を動かせるようになるとき、相手も社会も今よりもっと良くなる。

 まずは、「自分にはできる」と言い聞かせ、勇気を出して力強く行動してみることです。

参考

説得力こそが発展・繁栄の鍵

 大川隆法総裁は、『日本の繁栄は、絶対に揺るがない』で以下のように説かれました。

「発展したければ、「説得力」を持つことが大事です。一言で言えば説得力です。説得力のないものは発展しません。
 傾いたところは、みな、説得力がないのです。要するに、「世間の人々を説得するだけの力がない。言葉がない。内容がない。実績がない」ということです。
 みなさん自身が説得力のある人間になることが成功の王道です。また、そういう説得力のある人間になれたならば、お店の経営をしようと、会社の社員をしようと、会社の社長をしようと、何をしようとも、人生を成功させることができるのです。
 説得力こそが発展の鍵です。みなさんの仕事が発展していくための鍵なのです。
 どのようにして、他の人々に「良さ」を理解していただくかが大事です。
 商売で言えば、サービスの良さ、商品の品質の良さ、使い心地の良さ、耐久性の良さ、安全性の高さ、経費効率の良さなど、いろいろなものがあると思いますが、そういう「良さ」が積み重なっていくことによって、道は開けるのです。
 現在の不況といわれるものも、ほとんどは、コンピュータ上の操作によって膨らませていった数字上のお金が、積み木が崩れたような状況になったものです。そういう画面上のお金をいじることばかりに、多くの頭の良い人たちが集中することを、私は望ましいこととは思いません。それよりも、やはり、「ものをきちんとつくること」が大事だと思うのです。
 「もの」には、自動車や機械などのように形があって目に見えるもの(ハード)と、映画やいろいろな技術など、形のない情報やサービス(ソフト)があります。
 こういう不況の時代には、とにかく汗水垂らして立派なものをつくり、そして、説得力を持って、「それがいかに素晴らしいものであるか」ということを他の人に伝えていくことが大事です。そうすれば、あらゆる業種において、発展・繁栄することは間違いないでしょう。
 これは、すべての道に通じることだと私は思います。どうか、そのように考えてください。」
(87~89ページ)

経営の軸足をお客様に置いているか

お客様視点を持つ

 現在、企業を取り巻く環境は非常に厳しいといわれています。変化の速度も格段に上がってきています。しかし、逆に「チャンス」も沢山あるのです。企業が伸びる、繁栄する基本・条件は、正しいことを正しくやることに他なりません。当たり前といわれるが、世の中、全てにおいてこの「当たり前」ができていないことが多いのです。

 企業とお客様を取り巻く経営環境で 何が変わったのかというと、主導権が企業側からお客様の側に移動したということです。したがって、企業の存在の条件は、お客様に喜ばれる経営の実現が鍵になります。
 にも関わらず、お客様に喜ばれないことを たくさんの企業がやっています。うっかりすると無視している。もしくは、反発を買いながらビジネスをやっている企業の何と多いことでしょう。

「どうやって売るか」ということから、「どうやってご満足していただけるか」という視点に移すことです。お客様の視点で、どうやって満足を届けるか、これに全てがかかっています。
 自社が存在し続けるには どうしたらいいか。答えは ただ一つ。「お客様や市場に対して価値を提供すること」です。
 価値というのは満足です。企業の使命(ミッション)、存在理由というのは、満足を生み出し、提供することなのです。

 そもそも企業は何のために存在するのだろうか。

 基本は「お客様や市場に価値を提供するため」です。

 逆に、価値を提供していないところは存在してはいけない。

 お客様に価値を提供し続けることができる企業のみが存続し続けられるのです。

 これまでの日本は社会主義でやってきた。これからは自由主義の時代である。
 重要なことは、お客様、市場、つまり受け手(使い手)にとって価値があるということです。

 品物が無い時は「ある」ことが価値であったが、品物が沢山ある時は「ある」だけでは決して価値を生まない。

 

特殊な組織はない

 考える視点は、いかにすればその企業・組織の存在価値を高めることができるかということです。そのため、価値判断の軸は、企業が価値を生み出す相手側に置いた。その結果、「どのような企業・団体であれ、組織運営の質を高めるための押さえどころは、ほとんど変わらない」ということである。
 事業内容はそれぞれ異なるかもしれない。しかし、仕事のやり方や進め方の向上を図ること、組織全体の力を高めること、より喜ばれ、価値ある存在になることに関して、さしてアプローチの方法に違いはない。

 すなわち、特殊な組織などないということです。

 

協力すること

 仕事を進める上で、最初から最後まで一人で完結できるケースはほとんどありません。

 多くの人、組織、外部企業と力を合わせて行っているはずです。

 一人ひとりがいくら優秀であったとしても、お互いが足を引っ張り合うようでは、質の高い仕事ができるわけがありません。
 いかに協力し合って仕事を進めていくかが大切なのです。

 学校であれば、校長や教頭、各担当の教師、父母、地域の方々がいかに協力し合えるか、そのための仕組みをいかに構築するかが重要なのです。

 医療であれば、院長や医師、看護師、薬剤師、事務方、院内の協力者が力を合わせて仕事を進めなければならない。
 県の行政であれば、他部門はもちろん市町村、住民、協力業者など、関係するさまざまな組織や人が協力して事を推進していくことです。

 企業の場合も全く同じことです。

 

対話・コミュニケーションの促進

 ところで、バラバラの意識を、どうしたら同じ方向に向けることができるのでしょうか。一番強くすすめるのは対話をすることであり、コミュニケーションを図ることです。意識や思いがバラバラのままでは協力することはできない。
 協力するとは、「同じ目標に向かって力を合わせる」ことであるから、まずはお互いの目標を確認することが大切です。

 力を合わせるとは、心の向きを合わせることなのです。

 すなわち、「何のために仕事をしているのか」「何のために自分たちは在しているのか」という根本を共通認識としてきちんと整えることです。
 具体的な対話の場と時間を設け、そして、お互いに本音で対話をすることです。

 質の高い対話やコミュニケーションが図れたとき、人のやる気は高まり、組織の力は大きく向上します。

 人が共通の目標に向かって力を合わせるとき、信じられないようなことを実現してしまうのです。

 

セルフアセスメント(自己評価)の価値

 以上のポイントを実現するための方法の一つが、「アセスメントの基準」を使うことです。

 あなた(自社)でお客様の視点に立って話し合うきっかけになるだけでも素晴らしいことだと確信しています。
 さらに、これを理解すれば、話し合うための課題の抽出が容易にできるようになるでしょう。

 アセスメントの過程を通じて話し合うことで、お互いの認識の違いを理解することが
 できるし、よりよくするためのアイデアが生まれやすくなります。お互いの理解が進むことは、協力し合えるようになる基本条件です。

アセスメントの基準

 ・経営ビジョンとリーダーシップ

 ・戦略の策定と展開

 ・プロセス・マネジメント

 ・企業活動の成果

 ・顧客・市場の理解と対応

 ・人材開発と学習環境

 ・情報の共有化と活用

 ・顧客満足

 次の4つの点に重点をおいて、アセスメントを実施してみてください。

  ・自分たちはお客様をどれだけ理解しているか

  ・お客様からの信頼を高める活動が展開できているか

  ・リーダーの方針は徹底できているか

  ・従業員の能力を高めているか

  ・立ち止まる勇気を

 日々、目の前の業績目標の達成に追われていると、いつの間にか全体を見失い、仕事の進め方を間違えたり、反対方向に結果を出すように一所懸命に努力することにもなりかねません。
 企業活動をやめるわけにはいかないが、自分の心の動きを日々の視点から離し、いったん立ち止まって、自分自身や組織の動きを高いところから見つめてみることが大切です。

 この立ち止まる勇気を持ってほしいのです。

 セルフアセスメントは、立ち止まるための有効な方法の一つであるともいえます。

 

他人評価の重要性

 人は自分のことをわかっているようで、ほとんど理解していないことが多いものです。例えば、朝から晩まで怒鳴っている人が、「私ほど我慢している人間はいない」と言ってはばからないことがある。これと同じことが企業にもいえるのです。

 すなわち、「お客様にとってよかれ」と思ってやっていることがかえって不評だったり、「重要でない」と考えていることが お客様から見て最重要項目だったりするのです。

 間違いに気づかない限り それを改善することは難しいものです。
 経営の質を高めるには、まず自分たちの組織や仕事の進め方の問題点をしっかり認識することが大切です。

 自分の汚れは鏡に映してみるとわかります。自分の姿は自分で評価するのではなく、他人に評価してもらわなければならない。なぜなら、相手に価値を提供することが企業の存在価値であり、価値の有無や質は相手が評価すべきだからです。
 お客様から、ビジネスパートナーから、従業員から、そして、部下から、いかに適切に正しい評価を得ているかに注目することになります。

 改善の基本は、他人の評価、相手の評価であることがおわかりいただけると思います。

 

自己改善をはかる

 

 次に要求されるのが、相手やお客様が評価した結果を どう具体的に活かすかということです。

 内容は大きく二つの項目に分かれます。

 一つはプロセス、すなわち、仕事のやり方や進め方、手続きなどを改善することであり、もう一つは人の技術能力と意識を改善することです。

 そして、改善したら、また相手から評価を得ることです。

 少々改めたぐらいで「これでよし」としないことが大切です。
 世の中も競合他社も変化し続けています。

 いつまでも同じやり方をしていては変化に対応できなくなるのです。

 そうなると、企業の存在そのものが難しくなるかもしれません。

 あくなき向上心をもって改善し続ける、そのための仕組みと意識を構築することが重要なのです。

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