無借金経営

 「手金理論」も外せないポイントである。これは、「自分でお金をつくり、それを元手に事業を大きくしていく」という考え方であり、借金先行型の経営を戒めている。

 小さなものをだんだん大きくしていくことが大事です。手金をつくったことがある人は、あまり無茶はしません。しかし、他人のお金で始めたものは、たまたま当たることもありますが、傾いたときには失敗することが非常に多いのです。

 まず、欲を抑えて事業を軌道に乗せることに集中すべきということである。

 二宮尊徳は、この小さく初めて大きくしていくという考え(「積小為大の精神」)について、次のように述べている。

 「大事を成し遂げようと思う者は、まず小事を努めるがよい。大事をしようとして、小事を怠り、できないと嘆きながら、行いやすいことを努めないのは小人の常である。およそ小を積めば大となるものだ。一万石の米は一粒ずつの積んだもの、一万町歩の田は一桑ずつの積んだもの、万里の道は一歩ずつ重ねたもの、高い築山も もっこ 一杯ずつ積んだものなのだ。だから、小事を努めて怠らなければ大事は必ず成就する。」

 松下幸之助は、これに関連して「ダム経営」を推奨した。

 「経営にも、万一の場合に備えて設備や資金などのダムをつくり、ゆとりをもった経営をすすめていく。そうすれば、いかなる経営環境のもとでも、安定的な経営を進めていくことができると思うのです。」

 借金がかさんだり資金繰りが悪化したりすれば、会社は倒産してしまう。それを防ぐには、無借金経営を目指す必要がある。

 幸福の科学大川隆法総裁は、以下のように説かれました。

 「商売においては、なかなか難しいとは思いますが、できれば無借金経営に持っていく努力をしてください。無借金経営をしていて首を吊った人はいないのです。

 経営者の自殺の原因は、ほとんどが借金です。あとは、脅迫をされたりして、追い詰められて死ぬ場合もあります。したがって、「借金は悪である」と思ったほうがよいのです。
 年商が一億円ならば、借金は二千万円ぐらいまでに抑えておくことです。借金が、二千万円を超えて、五千万円、六千万円、あるいは、年商と同じ一億円ぐらいの金額になったりしたら、借金を返せなくなります。できれば無借金が望ましいし、それができないなら、借金は年間の売り上げの二割程度までに抑えてください。
 借金をつくる原因は、ほとんど、見栄による事業拡張や投資、あるいは、先見の明がなく見通しを誤ることです。もちろん、急激な環境の変化によって売り上げが減る場合もあるでしょうが、できるだけ無借金経営を願ってください。」
(『生命の法』)

 商売では借金をしてしまいがちだが、「借金は悪である」と思ったほうがよい。

 借金する場合も、できれば年間売り上げの2割以内に抑えたほうがよい。

 そして、チャンスがあれば返していって借金を減らし、できれば無借金経営に持っていく努力をすること。

 開業に際しても、小さく始めてだんだん大きくしていくのが常道であり、実力以上の仕事をしてはいけない。

 大川隆法総裁は、『生命(いのち)の法』で以下のように説かれました。

「商売においては、なかなか難しいとは思いますが、できれば無借金経営に持っていく努力をしてください。無借金経営をしていて首を吊った人はいないのです。首を吊った経営者は借金がある人ばかりです。
 もちろん、借金があっても、それを返せる人は首を吊りませんが、「借金を返せないため、高い利息を取る別のところに借り換えていき、それで追い込まれて死ぬ」というケースがほとんどなのです。
 経営者の自殺の原因は、ほとんどが借金です。あとは、脅迫をされたりして、追い詰められて死ぬ場合もあります。
 したがって、「借金は悪である」と思ったほうがよいのです。
 ただ、全国民が、私の言うことをきいて借金をしなくなったら、銀行が潰れて、また自殺者がたくさん出てしまうので、そこまで無借金経営を徹底させるのは極端でしょう。
 借金は、「するな」と言われても、どうしてもするものです。私は、それを知った上で、あえて、念のために言っているわけです。
 なるべく無借金経営を目指したほうが望ましいし、借金をする場合でも、できれば年間の売り上げの二割以内に抑えたほうがよいのです。売り上げの三割ぐらいまでは、借金ができる可能性はあるかもしれませんが、できれば二割ぐらいに抑えてください。
 年商が一億円ならば、借金は二千万円ぐらいまでに抑えておくことです。借金が、二千万円を超えて、五千万円、六千万円、あるいは、年商と同じ一億円ぐらいの金額になったりしたら、借金を返せなくなります。
 できれば無借金が望ましいし、それができないなら、借金は年間の売り上げの二割程度までに抑えてください。そして、チャンスがあれば返していき、借金の額を減らすことです。
 借金をつくる原因は、ほとんど、見栄による事業拡張や投資、あるいは、先見の明がなく見通しを誤ることです。もちろん、急激な環境の変化によって売り上げが減る場合もあるでしょうが、できるだけ無借金経営を願ってください。
 最初に三年分か五年分ぐらいの経営資金を借金すれば、一気に事業を始められるので、うまくいくような気がするものですが、それは焦りなのです。やはり、「小さく始めて、だんだん大きくしていく」ということが常道であり、実力以上の仕事をしてはいけないのです。」

 銀行が融資する姿勢を見せると、経営者は、利息だけ払えば何とかいけると考えやすいが、借入金には必ず返さなくてはいけない時期が来ることを知らなくてはいけない。

 どういう環境変化が起きるか分からないものであって、持っている担保に価値がなくなってくるようなときに限って、借金返済を求められるものである。

 いざというときに、メインバンクが救ってくれるような時代ではなく、銀行が助けてくれるかどうか分からない状況になっている。

 総裁は、『「実践経営学」入門』「創業」の心得と「守成」の帝王学』で以下のように説かれました。

「ただ、やはり、「借入金には、必ず、返さなくてはいけない時期が来る」という、基本的なことを知らなくてはいけません。これを忘れてしまうのです。
 銀行のほうが融資する姿勢を見せると、経営者は、基本的に、「その利息分だけを払えば、何とかいける」と考えることが多いのです。
 そして、「あとは、ずっと貸し続け、ロールオーバー(再融資)してくれればよい」ということで、「元本を返さずにやれる」と思うのですが、やはり、どういう環境変化が起きるか分からないわけです。
 有名な大企業で、1990年以降、傾いたところは、みな、それです。やはり、潰れていくものは潰れていっています。
 ずっと銀行が貸し続けてくれれば、必要経費を払い、利益の部分が銀行の利子を超えて出れば、それで計算上やっていけますが、突然、「全額、返してください」「半分、返してください」などと言われたときに、それだけの蓄えがなく、売り払えるだけの担保のようなものも持っていなければ、潰れてしまいます。
 担保に価値があるようなときだったら返せますが、だいたい、価値があるようなときに、「返せ」と言うわけがありません。ますます価値がなくなってくると思うときに、だいたい「返せ」と言ってきます。売りたくても、買ったときより値段が下がっていて、売るに売れないようなときに限って、「返せ」と言ってくるものなのです。
 このへんについて、“昔の方程式”は、だいたい、「借入金を中心にして、三年で軌道に乗せて採算を取り、あとは、ロールオーバーをして利益がカバーできれば、何とかやっていける」というものでした。
 「銀行と末永くお付き合いをしましょう。そのためには、メインバンクを必ず決めて、『いざというときには、メインバンクが救ってくれる』という体制をつくりましょう」というのが、戦後できてきた体制ですが、1990年以降は、メインバンクも救済されない状態がたくさん起きてきたのです。
 今の銀行は、いろいろな銀行が合併してできた、コングロマリット状態の銀行であり、銀行の名前まで変わってしまっているので、今までのよしみというか、「長年、○○銀行と付き合っていました」という情実が全然効かなくなっていて、銀行が助けてくれるかどうか、もう分からない状況になっています。
 そういう意味で、極めて厳しいのです。」

「次々とお金を借りて歩くのがいちばん危険なことなので、それはいいかげんにやめて、会社をつぶすことを考えなければいけません。会社をつぶさないことばかりを考えているから、いろいろと、よくないお金を借りて、返せなくなっていき、苦しむのです。「いっそ、きれいに会社を整理しよう」と思えば、生きる道がまたあるのです。
 世の中には、会社を倒産させても、次には成功する人もいます。何度も倒産させても、最後に成功する人もいます。また、倒産を経験し、会社の経営からは手を引いて、堅実な勤め人になる人もいます。生き方はいろいろありますが、苦し紛れの行動をして被害を大きくしないようにすることが大切です。
 一か八かの勝負をするのではなく、被害を小さくすること、どのようにして生き延びるかということを考えなければいけません。
 まず、自分と家族を護ることを考えてください。それが大事です。
 事ここに至っては、敗戦処理をしなくてはいけません。「会社をいかに上手に閉めるか」ということを考えなければいけないのです。上手に閉めることができた人は、自殺せずに済みます。ところが、閉めそこなった人は、自殺したり、一家心中になったりすることがあるのです。
 したがって、勝つことばかりを考えるのではなく、撤退戦というものがあることを知らなければいけません。被害をどれだけ食い止めるかが大事です。撤退して被害を食い止めれば、もう一度、戦力を立て直すことができるのです。ところが、それをしないと、全滅してしまうことがあります。
 知恵を尽くして、撤退のための戦略も立てないと、ただただ負け戦に入っていき、自殺という結果になることも多いのです。この世的な知恵も、使うべきところは使わなければいけません。
 「最後は破滅すればよい」という論理は、やはり避けるべきです。生きてこその人生であり、生きてこそ、立て直しもできるのです。過去に失敗が多かったとしても、やり直しは可能なのです。
 最終的に、自殺したり、一家心中になったりするぐらいならば、その前に、やるべきことがあるのではないでしょうか。そう考えれば、確かに、やるべきことはあるのです。そこまでの状態になる前に、「あれはやめておけばよかった」「これをしなければよかった」ということは、幾らでもあるはずです。
 そのように、やれるだけのことをやって、撤退をしなければいけません。」
(102~109ページ)

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