マーケティングの基本

実戦マーケティング

 役所型の組織や大企業に勤める人の中には、「マーケティング」がわからない人もいるだろう。

 社員数1万人を超えると、管理部門だけでなく営業部門でも、予算が天から降ってくると思っている人が多い。

 幸福の科学大川隆法総裁は、『実戦マーケティング論入門』の まえがき で以下のように説かれました。

「「マーケティング」という言葉を耳にしたことのある人は多いだろう。ビジネスの現場に身を置いたことのある人ならば、まず知らないということはなかろう。
 ただ役所型の組織に勤める人には、わからない、という人もいるだろう。例えば、消防署の職員が、お客様のニーズを高めるために放火して歩くというわけにはいかない。
 かつての国営企業は、民営化しても、まだまだという場合もある。新幹線なら東京―宇都宮間に車内販売がくることはグリーン車でもまずない。仙台まで乗るとやってくる。ということでお客さんは東京駅構内ですでにコーヒーを買い求めている。
 大企業でも、管理部門が大きいと「マーケティング」のわからない人が増える。例えば経理部門は、経費節減に励んでも、営業の売上曲線との関連がわからなくなる。また社員数一万人を超えると営業部門でも予算が天から降ってくると思っている人が多い。
 それでは「実戦マーケティング」とは何か。まずは本書をお読み頂きたい。」

 

マーケティングとは

「マーケティングとは「市場の開拓」なのです。

 会社で言えば、「商品が どういう市場を持っているか」ということを調査し、市場を開拓することです。」(『智慧の経営』P-316)

 商品がどういう市場を持っているかは、奥の深い問題です。経営者やマーケティング担当者が「どう考えるか」に大きく左右されるからです。

 顧客のニーズに応えたとしても、大きすぎる市場で戦えば、あっという間に大手の競合企業に攻められます。小さすぎる市場で戦えば、十分な顧客や売上が確保できません。その観点から、「弱者の兵法」「強者の兵法」を押さえ、市場を開拓していくことが求められます。

 市場のシェアを奪おうとしたら、ある程度の標準化、画一化をして、大量につくらないと なかなか難しいのですが、大きなシェアを持っている会社を破る方法は、その標準化から漏れているところを攻撃することなのです。標準のモデルでは満足しない層を狙って攻撃するわけです。これを「セグメンテーション」といいます。マーケットを区分して、その区分してところを攻めていく必要があります。そうすることによって、新しいニーズを発見・創造し、市場をつくり出すことが出来るのです。

 マーケティングの基本は、まずニーズ(需要)の発見。次にニーズの創造。「セグメンテーション」で、マーケット(市場)を区分し、その区分したところを攻めて、新しいニーズを発見・創造して市場をつくり出すこと。

 大川隆法総裁は、『リーダーに贈る「必勝の戦略」』で以下のように説かれました。

「マーケティング、市場の開拓の基本はニーズの発見です。「人々が必要としているものを発見する」ということが基本的なやり方なのです。
 ただ、すでに類似商品がたくさんあったり、同じような会社が数多くあったりする場合には、ニーズを発見することは、なかなか大変です。すでにニーズが満たされている場合には、今度はニーズを創造しなければいけません。
 新しいニーズをつくるためには創意工夫が必要です。「もっとよい方法、もっとよい製品、もっと便利な製品がないか」ということを考えるのです。
 このように、マーケティングにおいては、ニーズを発見するだけではなく、次に、「ニーズをつくり出す。ニーズを創造する」ということをしなければいけません。
 また、誰にでも通用するようなものをつくることは、ほんとうの意味でのマーケティングではありません。
 昔、アメリカの自動車会社のフォードが、「T型フォード」という、黒塗りでまったく同じ形の自動車を大量生産することによって、自動車の値段を下げ、普通の労働者でも自動車を持てるようにしました。ヘンリー・フォードという人は、それで一時代を築き、財産をつくったのですが、フォードは、やがてGM(ゼネラルモーターズ)に敗れました。
 フォードは、なぜGMに敗れたのでしょうか。実は、フォードの成功したところが逆に失敗の原因になったのです。
 フォードは、同一規格で大量生産をすることによって自動車の値段を下げたわけですが、誰もが同じ真っ黒のT型フォードに乗っていたら、誰の車か区別がつきませんし、「同じ色と形の自動車ばかり走っていて、違うのはナンバープレートだけ」ということでは、やはり、おもしろくないでしょう。
 しかし、黒以外の、赤や青や白などの車をつくったら、作業工程が複雑になるため、値段が上がってしまいます。だからこそ、「同一規格で大量生産をすることによって値段を下げ、普通の人の給料で自動車を買えるようにする」という目標を立てたフォードが成功したわけです。
 ところが、その目標ゆえに次は敗れることになったのです。GMが、さまざまな層を狙った自動車をつくりはじめたら、フォードは競争に敗れてしまいました。
 このように、「何かで勝利したものが次は敗退に結びつく」ということがあります。
 市場のシェアを奪おうとしたら、ある程度の標準化・画一化をして、大量につくらないと、なかなか難しいのですが、大きなシェアを持っている会社を破る方法は、その標準化から漏れているところを攻撃することなのです。標準のモデルでは満足しない層を狙って攻撃するわけです。
 「セグメンテーション」といいますが、マーケットを区分して、その区分したところを攻めていく必要があります。そうすることによって、新しいニーズを発見・創造し、市場をつくり出すことができるのです。」
(197~200ページ)

 

会社の活動におけるマーケティングの位置づけ

 会社は何のために存在するのか? 従業員満足は、会社存続の必要条件ではありますが、十分条件では無いのです。

 会社は、「お客様からお金を受け取る」ために存在する、と言い換えることができる。そして、この「お客様からお金を受け取る」ための一連の仕事=マーケティングなのです。

 会社の全ての仕事がマーケティングになる。会社は利益を出さないと存在できない。そのためにはお客様からお金をいただく必要がある。その活動の全てがマーケティングと呼ばれるのです。

 お客様に向けた活動と言い換えてもよい。会社は、お客様に対して価値を提供するために存在しているのです。

 社員全員がマーケティング担当であるということになります。製品を開発する、仕入れをする、生産をする、お金を数える、営業するなど、全ては「お客様に価値を提供してお金をいただく」ために行っているわけです。

 あなたの仕事が開発であろうと、生産であろうと、経理であろうと、それは、すべからく「お客様からお金をいただく」ためにやっている、そのような考え方を社員がしている会社は強い。そのような会社は、「お客様の役に立てる開発」を行い、「お客様に満足いただける製品を生産」し、「お客様からきちんとお金をいただき管理する」経理と、社員がそれぞれ自分の仕事の目的・役割を把握しているからです。逆に、ダメな会社は、「自分がよければ」「自分が出世すれば」「自分が楽なら」「自分の身が守れれば」という考え方をします。

 すなわち、マーケティングとは、特定の部署、特定の活動を意味するのではなく、社長以下全社員が意識し、考え続けなければいけない考え方です。「お客様からお金をいただくにはどうすればよいか」「お客様に価値を認めていただくにはどうするのか」という考え方がマーケティングなのです。

 マーケティングは成功するための補助的条件である。ライバル企業の戦略、動向を推し量り、市場の参入障壁、顧客ニーズの変化、需給動向、地域特性等に応じて営業戦略を立てるのが経営者の務めである。

 マーケティングは、企業の中心的な機能であり、その役割は「顧客の創造」そのものである。「顧客の創造」ということは、成果は企業の外にあるということを意味している。

 したがって、マーケティングは顧客の観点から見た全事業に関わる活動である。すなわち、企業内のそれぞれの組織において、市場(顧客・非顧客)の代弁者の機能を持つことが求められる。マーケティングは、販売よりはるかに大きな活動であり、企業のあらゆる組織に関わる活動である。それは一部門の専門化された活動ではない。

 

 ドラッカーは、企業の目的が顧客の創造であることから、企業家の基本的な機能をマーケティングとイノベーションの2つとし、次のように説明している。

 真のマーケティングは顧客からスタートする。「われわれは何を売りたいか」ではなく、「顧客は何を買いたいか」を問う。「われわれの製品やサービスにできることはこれである」ではなく、「顧客が価値ありとし、必要とし、求めている満足がこれである」と言う。

 実のところ、販売とマーケティングは逆である。同じ意味でないことはもちろん、補い合う部分さえない。もちろん、何らかの販売は必要である。だが、マーケティングの理想は、販売を不要にすることである。

 このドラッカーの「販売は不要」という指摘に対し、幸福の科学大川隆法総裁は、『実践マーケティング入門』で以下のように説かれました。

「もちろん、ドラッカーの趣旨は、「売るな」と言っているわけではないのです。「売らないことがマーケティングだ」というのでは、さすがに禅問答の度が過ぎていますが、そういう意味ではありません。

 販売促進で売りまくること、例えば、押し込みで売ったり、あるいは、魅力を伝えてプッシュして売ったり、プル戦略で呼び込んで為替たりすることだけがマーケティングだと思ったら、間違いであって、「実は、マーケティングというのは、売ろうと思わなくても売れるようにすることだ」というわけです。」(P-46~47)

 一倉定氏は、マーケティングを「総合的な市場活動」と定義し、「顧客の要求とは何であるかをつかむこと」と「顧客の要求を満たすために、わが社はどうしなければならないか、何を捨て、何を築いていかなければならないか」ということが大事だと訴えておられます。

 フィリップ・コトラーは、次のように説明している。

 今日、マーケティングは「宣伝して販売する」という古い意味ではなく、顧客のニーズを満足させるという新しい意味によってとられるべきである。

 

 差別化戦略もマーケティングの重要な概念である。これは、マイケル・E・ポーターによって次のように定義されている。

 買い手がたくさん重要だと思ういくつかの次元に沿って、自社を業界内で特異性を持つ会社にしようとするものである。すなわち、業界内の多くの買い手が重要だと認める特性を、一つ またはそれ以上選び出して、このニーズを満たすのは当社以外にはないという体制をつくるのである。その特性の報奨として、他社よりも高い価格で買ってもらえるのである。

 差別化の手段は、業界によってみな違う。製品そのもので差別化することも出来るし、販売のための流通システムによるもの、その他さまざまな差別化が行われている。

 顧客の立場に立って、顧客が必要としているニーズを設定するわけだが、そのニーズを満たす際に、他社には出来ない、自社独自の価値を提供することが、差別化と呼ばれる戦略の中心概念である。

 

経営を大きくするマーケティングという仕掛け

 商売というものは、足し算・引き算で考えることができます。  「売上 - 経費 = 利益」

 経営者としては、常にこの式が頭にあるわけです。しかし、今の時代に、これまでと同じ人材、人員、時間をつぎ込んでも、同じような成果を上げていくことは難しいでしょう。むしろ、そのやり方が通用しなくなっていることを実感している方も少なくないと思います。

 そこで、発想を変えていかなくてはなりません。

 仮に、あなたが朝から晩まで10時間働き、毎月100万円の売上を上げる店の経営者だとします。その売上を得るための10時間を半分にすることは出来ないか、と検討してみてください。そうすれば、余った時間で、例えば新しい商品を始めたり、お得意様や新規顧客を獲得したりすることが出来るのです。

 この新しい仕事というのは、今の仕事の範疇から発想したもので構いません。しかし、今の仕事のレベルは維持しながら、投入していた人材や時間を減らし、付加価値を上げていくのです。それを実現するためには、それ相応の創意工夫が必要でしょう。そうした努力を重ねていくことで、昨年より今年、今年よりは来年というように、経営を大きくしていっていただきたいのです。マーケティングとは、その仕掛けに当たるものと言えるでしょう。

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