コストダウン
コストダウンを考える
企業は利益を上げなければ存続していくことができません。
利益は「売上-コスト」で計算され、利益を確保しようと企業は売上拡大に奔走します。
しかし、売上があまり上がりそうにないならば、残された道は経費削減(コストダウン)に取り組む以外にはありません。
コストダウンとは、全社的な総費用(トータルコスト)をターゲットにしてその低減を図り、利益を上げることを意味します。
売上拡大のための方策と同様に、自社の主要課題としてコストダウンに取り組む必要があるのです。
コストダウンを行う意義
今日、企業がコストダウン活動を進める意義として、環境変化に適応し競合他社との競争優位を確保するという戦略的な観点から、次の3つをあげることができます。
1 顧客の価格引き下げ要求への対応
顧客の価格引き下げ要求に応えつつ、一定の利益を確保し続けるためには、継続的なコストダウン活動が必要になる。
2 事業分野の整理・統合と重点商品へのシフト化
目まぐるしく変化する顧客ニーズに対応するためには、不採算製品(分野)を整理・統合し、売れる分野や製品に重点を移し、最適な経営資源の配分を行う必要があります。
そこで、不採算分野において再度コストダウン活動を実施し、利益が上がらない原因を追及することで、整理・統合に関する意思決定の材料とします。
コストダウン活動の展開により、不採算部門に再生の可能性が生まれることもあります。
3 競合他社に対する差別化商品・サービスの創出
今日の企業間競争では、たんに価格による差別化を進める戦略には限界があります。
そこで、競合他社と比べて優位な機能をもたせ、それに付随したサービスを新たに創出する必要があります。そのためには、「コストをかける部分」と「コストダウンを図る部分」とを明確にし、各製品に対するコストのかけ方を変えていくことが必要になります。
最近の経営環境を考えると、コストダウン活動を従来にも増して強力に進めることが求められています。
コストダウン活動に取り組んでいるものの、なかなか成果が上がらないケースも多いものです。この理由として次のようなことが考えられます。
・経営トップ、部門責任者の理解不足
・コストに対する認識の甘さと管理手法の欠如
・コストダウン技術の不足
・コストダウン技術を適用する範囲とタイミングのミスマッチ
・無計画で場当たり的な展開
・各部門間の協力体制の不備
・責任者の不在と目標設定のあいまいさ
・継続的な活動への意欲不足
これらの問題点を最小限に抑え、コストダウンの成果を確実に出していくためには、コストダウンに対する適切な考え方をもったうえで計画的に進め、常に結果をチェックし、それを次のコストダウンにつなげていく必要があります。
正しいコストダウンを実現するために
コストダウン計画をゼロベースから策定し、その際、各部門の実情に合わせてコストダウンの対象を決定し、さらには、各部門におけるコストダウンの負荷の均一化を図ることが基本となります。
しかし、これだけでは十分ではなく、全社的なマネジメント体制を整備する一方で、部門にまたがるコストダウン計画の策定、管理を行い、コストダウンの実施により偶発的に生じるトラブルなどには適切に対応することなどが求められます。
さらに、中長期にわたるマネジメントも欠かすことはできません。
コストダウンの成果を1年間といった短期間で求めると、無謀なコストダウンをしがちです。短期間のコストダウンであっても(短期間のコストダウンだからこそ)成果が上がれば、その期の損益計算書には反映されます。しかし、次年度にコストアップを招いてしまっては意味がありません。成果の反動が生ずるような無謀なコストダウンを防止する意味でも、中長期にわたるマネジメントが必要です。
コストダウンの考え方
「コストコントロール」と「コストリダクション」という つのアプローチ方法があげられます。
1 コストコントロール(原価維持活動)
コストコントロールとは、業務の現実コストに対し、材料に無駄はないか、人員に無駄はないか、設備に無駄はないか、エネルギーに無駄はないか、などのコスト統制での無駄の排除によってコストを低減していくことです。
コストコントロールでは、従業員に与えられた仕事が計画どおりに遂行できるかどうかが問題になります。
・計画(標準)が立てられているか、その計画は適当か
・計画(標準)は知らされているか、その知らせ方は適当か
・実績は計算されているか、その計算方法は適当か
・標準と実績の差を把握しているか、その差のつかみ方は適当か
・差を埋める行動はとられているか、その行動は適当か
といったことが具体的な活動になります。
計画どおりに仕事が進まないと、計画した標準コストと実質(現実)のコストとの間に差が生じます。
そこで、いくらで作れると計画した標準コストと実質コストとの差、つまり実質ロスをなくすことがコストコントロールの目標になります。
そして、その差を埋めるためにコストダウン活動を実行することになるのです。
製品別、部門別、勘定科目別などさまざまな視点から分析することが必要になります。
そして、「これはまったくの無駄である」とか、「項目自体は無駄ではないが払い過ぎである」とか、あるいは、「これはもっとコストをかけるべきだ」といった具合に、払っているコストの必要性と額の妥当性をすべてチェックします。
日常的な残業や非効率な仕事の仕方をしていないかなど、労務費や間接人件費などについても必ずチェックしましょう。
コストのなかで、その絶対金額が大きいもの、最近増加傾向にあるものなどがコストダウンの優先対象となりますので、特に細かく確認します。
そして、標準的なコスト構造を明らかにし、削減に向けた具体的な取り組みを開始します。
その際には、従業員全員を巻き込んだ業務改善活動なども不可欠でしょう。
取り組みの結果、標準コスト構造に近いレベルでコストをコントロールできるようになったら第1段階の完了です。
2 コストリダクション(原価低減活動)
コストリダクションとは、いわゆる標準コストを引き下げることを意味します。
現在の標準または予算として決められているコストの大きさは、現在実施している方法やシステムによって確定されたものです。
より経済的な方法やシステムに改善することができれば、現在用いられている標準や予算そのものを引き下げることが可能です。
この活動では、現在の製造方法や販売方法、あるいは管理方法などを変えてもよいから、より安価にかつ迅速にできる方法やシステムがないかといった視点で考えます。
現在、最善の方法・システムをとっていないがために、標準コストが高く設定されていたり、機会ロスが生じているのであれば、これを削減する活動です。
この改善のポイントは、現在の標準コストよりさらに低い目標コストを設定することからはじまります。
ここでは、製造方法や販売方法、あるいは管理方法などを改善することで、より安価にかつ迅速にできる方法がないかといった視点で考えます。たとえば、製品スペックの見直し、生産ラインの組み替え、品種の絞り込み、原材料の変更、原材料調達先の変更、物流体制の見直し、多能工化の推進、各種アウトソーシングの活用、人件費の安い海外での生産などの方法が考えられます。
「標準を守らせるための管理」と「標準を変えるための管理」は、違った管理技術となります。したがって、これらを峻別して実施しなければ的確なコストダウンを実現することはできません。
また、2つのコストダウン活動が実施される部門も異なります。コストコントロールは、製造部門などの現場(ライン)を中心に実施され、あらかじめ設定された標準コストを維持するために、日々の生産活動などを行う。これらの活動を通じ、実質コストが標準コストと一致しはじめると、コストリダクションにおいて、標準コストそのものを引き下げる活動を実施することになる。
コストリダクションは、設計や企画部門(スタッフ)で実施され、目標コストの設定からはじまります。これらの部門では、標準コストをこの目標コストに近づけるため、製品や工程の再設計や新しい方法を生み出すことになります。
コストダウン活動の基本的な考え方は、「コストコントロール → コストリダクション → コストコントロール → コストリダクション」という形で、それぞれが適切な部門・タイミングで実行され、「実質ロス削減 → 機会ロス排除 → 実質ロス削減 → 機会ロス排除」が交互に繰り返されて、大幅なコストダウンが図られていくというものです。
3 従業員の意識を高める
また、従業員のコストダウン意識を高めるためには、「自社は人件費にはできるだけ多額のコストを割り振りたい。そのためのコスト捻出に協力してほしい」と宣言し、実際に人件費も重要なコストとしてしっかり使うことが大切です。
従来の仕事のやり方では、必須にみえたコストも やり方を工夫すれば大幅に削減できることは多いものです。「現状の無駄をなくす」というだけではなく、「仕事のやり方を変えてコストを下げる」という発想も必要になります。
そして、コストダウンが成功すれば、実際にその一部を従業員に還元します。
こうすることで、従業員は直接的なメリットを得ることができ、また、「会社は従業員のことを大切にしてくれている」と感謝するでしょう。
コストダウン活動のみならず、通常業務のやる気が高まっていくことも期待できます。
コストダウンの進め方
コストダウンの手順
一般的には次のような手順により、コストダウンの目標を立て、必要部門・担当者が責任をもって実行していくことになります。
STEP 1:製品別・部門別・費目別のコスト構成をつかむ
コスト構成を明らかにすることで、どのようなコストがかかっているかを把握します。
また、これによりコスト意識を担当者に自覚してもらうこともできます。
STEP 2:コスト構成からコスト削減のターゲットを絞る
どのコストに削減のターゲットを絞ればよいか検討します。
このとき、コスト項目のなかの金額の高いもの、コストが最近上昇しているものなどを重点管理項目とします。
STEP 3:コスト要因を分析する
重点管理コストに対して、コスト発生の要因を分析します。
また、どのコストが低減可能で、コストダウンに効果的なのか考えます。
STEP 4:2つのコストダウンの手法でアプローチする
分析したコスト要因について、コストコントロールとコストリダクションの2つの手法で、どのようにアプローチしたらよいのかを検討します。
STEP 5:コストダウンの目標を設定する
アプローチ方法を確定したら、具体的なコストダウンの目標を設定し、担当者に割り振り、いつまでに、どのように、どれだけコストダウンを図るのかを明示します。
費目ごとのコストダウン
具体的なコストダウンは、各製品、各部門、各費目別に実行されます。
各費目コストについてどのような視点でコストダウンを考えたらよいのでしょうか。
1 材料費のコストダウン
製造現場などで発生する材料費は、材料の消費量に単価を掛けたもので計算されます。
したがって、材料費のコストダウンには、その要素である消費量か単価の低減を図る必要があります。
次のような対策が考えられます。
材料消費量の削減策例
・製品設計段階で部品点数の削減を検討しているか
・生産ロットは適切か
・過剰な品質(部品の品質が要求性能を上回るなど)になっていないか
・適切な検収をしているか
単価の引き下げ策例
・購買市場の調査に基づく購入先選定は適切か
・大量仕入れ、一括購入を検討しているか
・支払い条件は適切か
2 労務費・製造経費のコストダウン
製品の生産過程において、工場などで支出されるおもな費用は、現場で働く従業員の人件費と工具やエネルギーなどの製造経費。これらのコストダウンを進めるには、作業の無駄を省くことと作業の改善を図ること、の2つの観点から次のような対策が考えられます。
作業の無駄の排除例
・原材料の不足などによる手待ちの削減
・道具や設備の故障、トラブルの削減
・予定変更の多発の削減
作業の改善例
・新設備導入による作業の自動化
・作業研究による作業の標準化
・工程の短縮や組み合わせによる簡素化
3 販売費のコストダウン
販売費のコストダウンを図るには、マーケティングの基本的な考え方を理解する必要があります。
顧客のニーズをつかみ、そのニーズを満足させるために、どのような製品・サービスを、どのような時期・場所で、どのような方法および価格帯で提供していけばよいのか、という自社に適したマーケティング活動を行う必要があります。
たとえば、高齢者向け製品の販売を考える場合に、インターネットを広告媒体として活用しても、高齢者のインターネット利用率を考えると、あまり大きな効果を期待することはできません。そこで、インターネットによる広告が果たして自社のターゲットに適した方法なのかを検討し(実質ロスの削減)、より効果的な広告媒体を模索する(機会ロスの排除)のです。
4 管理費のコストダウン
管理費は、人事、経理、総務などのスタッフ部門で発生する給与や経費が主なものになります。
ここで発生する費用は、直接売上の拡大に貢献するものではありませんが、企業を効率よく運営していく見直す必要のあるコストです。
日本では、生産現場での合理化は比較的進んでいるものの、これらスタッフ部門を中心とした間接部門(オフィス等)の合理化はあまり進んでいないのが実態です。したがって、事務の適正化や余剰人員の再配置などを進め、スタッフ部門の最適な規模と業務内容を維持することが管理費のコストダウンの主眼となります。
トータルコストダウンの仕組みをつくる
企業のあらゆる活動にはコストがかかります。コストダウンを検討するとき、費目ごと、部門ごとに直接焦点をあてて改善策を練っていきますが、これも全社的な調整のなかで進めなくてはなりません。
部門同士が敵対関係になると、たとえば、「売れればよいということでどんどん値下げする販売部門があるから、我々製造部門のコストダウンも水の泡になってしまう」という状況になりかねません。
自部門の利益が他部門の損失にならないようにするためには、
・他部門の利益は自部門の利益
・他部門の損失は自部門の損失
といった全社的なトータルコストダウンの仕組みが必要になる。
トータルコストダウンの仕組みづくりには、強力なトップマネジメントに基づくプロジェクトチームを結成し、実行していくことが有効になります。
具体的には次のような手順を踏んでいくことになります。
STEP 1:トップによる組織の革新の提示
・利益確保におけるトータルコストダウンの必要性を全社員に徹底
STEP 2:プロジェクトチームの発足
・プロジェクトの企画
・プロジェクト・マネージャーの任命
・各部門のメンバーで構成されるプロジェクトの発足
・各部門、各職場のコストダウン目標の設定
STEP 3:トータルコストダウン活動の実行
・プロジェクトチーム主導の全社的な活動の実施
コスト管理手法
現在、多くの企業がさまざまな取り組みによってコスト削減を進めています。
注目されるようになったのが「ABC(Activity-Based Costing=活動基準原価計算)」と呼ばれるコスト管理手法です。
基本的な考え方は、ざっくりとしたコスト管理ではなく、個々の業務内容を細かく把握し、それを遂行するために必要な人材、時間、コストを導き出すことにあります。
ABCを導入すれば、不透明だった業務単位のコストが数値として現れ、それをもとに効率的なコスト管理をすることができます。
ABCは複雑な手法であるため、企業が単独で導入・実施することは難しく、専門のコンサルタントに相談するのが通常です。
ABC導入の効果は、即座に確認できるものではなく、場合によっては制度の見直し(業務区分の見直しなど)が必要になることもあります。「ABCに関心はあるが、実際の導入は見送っている」という企業が少なくありません。しかし、個々の活動ごとのコストを知ったうえでコスト削減を進めることは非常に重要です。
また、本格的なABCを導入しなくても、ABCの基本からコスト管理の考え方を学び、それを日ごろのコスト管理に応用していくことは可能です。
細かな一つ一つの活動に注目するABCには、企業がコスト削減を進めるうえでのヒントが隠されているはずです。
1 ABCの基本となる概念
アクティビティ
企業で行われる業務の区分です。通常は、電話受け付け業務という大きな分類でコストを管理しますが、ABCでは、電話待ち、電話応対、受注表作成などのようにさらに細かく分類します。
アクティビティ単価
個々の各アクティビティにアクティビティ単価を設定します。
アクティビティ単価は、次に紹介するリソースとリソースドライバーによって求められるものです。受注表作成のアクティビティ単価は3000円といったように表されます。
アクティビティドライバー
アクティビティの発生回数などを表す単位です。
具体的には、年に受注表を何枚作成したかということです。アクティビティドライバーが多いほどコストは高くなります。
リソース(リソース単価)
アクティビティを遂行するために投入された企業資源です。
具体的には、人件費、通信費などとなります。
また、各リソースについて「リソース単価」を求めます。具体的には、1分当たりの人件費、1分当たりの通信費などとなります。
人件費をリソース単価に変換する場合のつの方法は、賃金、賞与、福利厚生などを年間の実労働時間で除すことです。こうすることで「1分当たり100円」などのリソース単価が導かれます。
リソースドライバー
リソースドライバーとは、アクティビティを1回遂行するために投入される、標準的なリソースの消費量を示す単位す。例えば、受注表作成には30分かかるといったように算出されます。
リソースドライバーとリソース単価を乗じることで、アクティビティ単価が求められます。
2 ABCコストの算出とそこからの発見
リソースドライバーなどからABCコストを算出します。
基本的な算出式は次の通りです。
・アクティビティ単価 = リソース単価 × リソースドライバー
・ABCコスト = アクティビティ単価 × アクティビティドライバー
ABC単価からは、「業務を遂行するために必要な企業資源」「そこに発生するコスト」を知ることができます。
業務当たりのコストを体系的かつ詳細に把握することができるため、どこに、どんな無駄があるのかが一目瞭然になります。
また、ABCコストを算出するために、リソース、リソースドライバーを調査します。
ここにスポットを当てることで、コスト管理の方向性がより具体的になります。
例えば、受注表作成に要するコストを削減したい場合、作業時間(リソースドライバー)をこれ以上短くすることはできないので、人件費(リソース単価)を削減する といった方向性が確認されます。
ABCを導入する際は、ABCコストはアクティビティ別、取引先別に算出するため、全体のバランスを取りながらコストを割り振っていくこともできます。
例えば、「A社とB社はほぼ同規模の取引先なのに、A社に対するABCコスがB社の2倍になっている。A社に関わるコストを見直さなければならないといった具合です。
ABCを導入すれば、コストという明確な数値を用いてコストを管理することができます。しかし、ABCは複雑な手法であるため、導入に失敗する企業も少なくありません。
ABCの導入に失敗する企業に共通している点は、導入の目的が曖昧である、アクティビティを細かく分類しすぎている、プロジェクトチームが編成されていない、必要以上に時間をかけている などです。
ABCの対象となる範囲は無限に広がります。実際の企業活動は営業、販売、製造、販売など広範です。これらすべてを対象に、脱「どんぶり勘定」を目指すという漠然とした動機でABCを導入しようとすると、途中で挫折してしまうことがあります。ABCの導入は導入目的を明確にしたうえで、目標達成のために必要な分野から着手することが大切です。
例えば、「A社とB社はほぼ同規模の取引先なのに、A社に対するABCコストがB社の2倍になっている状況の解決する」などの目標を掲げます。こうすることで、A社、B社との取り引きに必要な業務(アクティビティ)に絞ってABCを導入することができます。
また、専属のプロジェクトチーム(メンバーはリーダー、分析担当者など)を編成し、短期に力強く推進していくことも重要です。プロジェクトチームは総務部、経理部、人事部、システム部などから人選します。
ABCの導入は、プロジェクトチームの編成にはじまり、
・アクティビティの確定
・リソースドライバーとアクティビティドライバーの算出
・リソース単価の算出
・アクティビティ単価の算出
と段階的に行われます。
ABCは、細かな業務単位ごとに必要なコストを算出し、それを管理するための手法です。
企業がコスト削減を考えるとき、その前提条件は、
・どんな業務に、どの程度のコストがかかっているのか
・そのコストは適正であるか
を明らかにすることで、ABCの原点はまさにそこにあります。
例えば、数社と取引のある企業の場合、売上高を優良顧客の指標としがちです。しかし、売り上げとコストの関係を調べてみると、必ずしも売上高の大小だけでは優良顧客の判断ができないことが分かります。
こうしたことを明らかにするための手法がABCなのですが、複雑な制度を導入する必要はありません。
各取引先ごとに発生している業務内容、担当している社員数、取引条件など基本的な事項を確認すれば意外な事実が明らかになるかもしれません。