リストラクチャリング

 「リストラ」とは「リストラクチャリング」の略で、人員整理などで規模を小さくすることだけではなく「事業構造の再構築」を意味します。

 本来、現状を打破して活路を見いだすという前向きに使われるべき言葉です。しかし、世の中ではほとんどの場合、「リストラ=人減らしによる固定費削減」の意味で使われています。

 そして、収益状況が悪化してくると、この誤った意味でのリストラで何とか凌ごうという傾向が強まります。

 たとえば、順調に利益を出し続けていた会社の業績が不況によって悪化し、このままでは大きな赤字が出そうなので、リストラで50名の人員削減を行ったとしましょう。

 人件費が圧縮されて、何とか今期は収支トントンに収まるかもしれません。しかし、この会社の企業体力はリストラによって確実に落ちることになります。そのままの体制で同じ経営のやり方で来期に臨んだとしても、余程の神風(突然の景気急回復など)が吹かない限り、業績はさらに悪化するはずです。

 そして、残念ながら、またしてもリストラを余儀なくされ、結果として「ジリ貧」に陥っていく可能性は非常に高いといえるでしょう。リストラそのものは経営戦略とはいえません。

 

リストラはその後の施策とセットで経営戦略になる

 

 収益悪化の要因は、基本的には2つです。売上の減少か経費の増大(あるいはその両方)です。

 安易な「リストラ」に走る前に、なぜそのようなことが起こっているのかを突き詰めて考えて、今後の対策を練る必要があります。

 売上が減少しているとしたら、「商品そのものに魅力がなくなってきている」「営業力が低下している」「強力なライバル企業が台頭した」「大口顧客が減少している」、などの理由が考えられます。

 経費の増大については、「資材調達費の増大」「人件費の増大」「光熱費などの販売管理費用の増大」などの可能性があります。

 まずは、これらの原因を分析し、問題の本質を明らかにしたうえで、根本的な対策を検討しましょう。

 その結果として、どうしてもいったん人員削減を行って企業規模を縮小し、自社の得意な分野に資源を集中化していく必要があるといった結論になれば、リストラは十分に意味のあることになります。

 リストラとは、その後の新たな施策とセットで考えてこそ、本来的な意味の前向きなリストラクチャリングとなるのです。

 

会社の成長プロセスで必要になるリストラクチャリング

 

 リストラクチャリングは、業績が低迷したときのみに行うものではありません。

 会社が成長していくプロセスでは、何度も節目がやってきます。これは、業績低迷という意味ではなく、次のステージに向けて企業体質を強化していく節目という意味です。

 「現状のやり方でいくらがんばっても これ以上の成長は見込めない」と思えるときが この節目といえるでしょう。このときこそ、現状の事業構造や会社の仕組みを再構築すべくリストラクチャリングを検討する必要があります。

 この際には、業績悪化の原因を裏返して、「いかに商品力を高めるか」「いかに大口顧客を数多く獲得していくか」「売上を伸ばしつつ経費を低減する方法はないか」、といった前向きな視点で考えればよいのです。

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