幹部は経営のプロであれ

幹部は社長と同じ問題意識をもつ

1 社長の問題意識を共有する

 社長が現在自社のもっとも大きな問題として捉えていることは何か、それを幹部のあなたは把握できているでしょうか。

 社長は、会社の最重要課題について、幹部にも社長と同じ認識をもってほしいと願い、そうあるように働きかけているはずです。

 もし社長が幹部に対してそのような働きかけをしていない場合は、逆に幹部の方から社長の問題意識を引き出さなければなりません。

 そして、「その最重要課題を解決するためには、自分が何をなすべきか」について考え続けなければならないのです。

 どれほど優秀な幹部であっても、社長の問題意識を常時把握しておくことは非常に難しいことです。

 しかし、少なくとも、「社長ならばこの組織をどうすべきだと考えるだろうか」「社長ならわが社の現状をどう考えるだろうか」と自問自答し、社長の問題意識を自分の問題意識として捉えようと努力することが必要です。

2 社長の問題意識の捉え方

 社長の問題意識を自分のものとして捉えようとするならば、まず、社長と危機感を共有することです。

 社長が危機感をもつのは、実現したい目標があるからです。

 ・社員が誇りをもって働ける会社にしたい

 ・自社を日本一の会社に育てたい

 ・自社を世界に通用する会社にしたい

などと漠然とした夢であったり、あるいはもっと具体的に、3年後にはこれだけの収益をあげられるまでに成長したいという場合もあるでしょう。

 なんとしても実現したい目標があり、その目標の実現に向けて何をなすべきかをつねに考えているからこそ、現状に対する危機感を抱くのです。

 幹部にとって、そうした問題意識を捉える有効な方法は、「社長の夢・目標を自分の夢・目標とする」ことです。

 社長の目標は、最終的には「経営理念の実現」にほかなりません。幹部という立場は、自社の経営理念の実現を目標として、全社的な視野で会社の問題点を考えることを期待されているのです。

 

幹部はトップを大器へと導く

 「君が非を行う時、従わざるは臣の忠なり」という中国の諺があります。その意味は「君主が非道を行う場合は、それに従わず諫めるのが臣下のつとめであり、従うのはかえって不忠になる」というものです。

 会社経営の場合「非道」という言葉は適切ではありませんが、社長が気づかない点までをもフォローし、つねに経営の方向を誤らせぬよう、最良の方向に導いていくことも幹部の役目です。

 企業における最終意思決定者は社長=トップのみであり、施策の有効性に同意できない場合でも、それが決定されたときには幹部はその達成に全力を尽くさねばなりません。

 しかし、ゼネラルスタッフ(企業経営者に直属し、経営全般にわたって経営者を補佐・援助する部門・幹部)としてトップにアドバイスする努力は怠ってはならないのです。

 

 「トップを大器へと導く」には、時に幹部はトップの方向を変える手助けをすることもしなければなりません。

 「大器」「大物」「大人物」といえば、小さなことにはこだわらず泰然自若とした人物を思い浮かべがちですが、「大器は細事を疎かにせず」といわれるように、大人物ほど細かなことにも目配りがきくものです。

 しかし、トップがこのように細かなことに気がつきすぎると、周囲はトップを小人物と見なしてしまう可能性があります。これは、従業員の士気や人材確保など さまざまな面で好ましくありません。

 幹部は、可能な限りトップを「大器」に見せる努力をする必要があります。そのためには、トップの指示を一般社員に伝える役割は自分がかってでるというように、トップが細かいことに直接口を出さなくてもよい状態を作ることも必要です。

 また、

・一般社員にトップの指示が「ケチだ」「細かすぎる」「横暴だ」というように否定的に受け取られる場合には、社長なりの考えがあってのことだと説明して誤解を解く

・平素からトップに対する尊敬を積極的に表す

などというアピールも重要です。

 幹部は、トップが受ける批判の身代わりとなってでも、トップの最高権力者としての信用と名声を高める努力を欠かしてはならないのです。

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