不況にも強い会社の努力

大川隆法 未来への羅針盤 ワールド・ティーチャー・メッセージ No.241

参考

 天国には信仰があれば入れるかもしれませんが、ビジネスで成功しようとすれば、やはり勉強が要ります。聖書を読んでもできるようになりませんので、うまくいかないのであれば、やや勉強が足りないのではないかと思います。

 人が思いつくことは、他の人でも思いつくのです。他の人が思いつかないところまで勉強するには、やはり、かなりの労力をかけないといけません。

 基本的に、勉強不足の経営者に共通して言えることは、「自分のアイデアに慢心しやすいタイプ」であると思います。そういう方は、やってもすぐ「成功しない」と言っていることでしょう。

 幸福の科学にいると、インスピレーションが降りてきやすくなるので、それを受けて「これはいける。間違いなくヒットだ」と思うこともあるでしょう。けれども、実は勉強が少し足りなくて、何かの本をたまたま一冊読んで思いついた、というレベルだということはあるのではないでしょうか。

 全般的に言えるのは、やはり勉強不足であるということです。

 

新しいニーズをつくる

 それから、経営者の中には、「需要を見つけよう」と考えて勉強してきた人が多いと思います。

 ただ、需要を見つけるだけではやはり駄目で、むしろ、新しいニーズをつくり出さなければいけません。今までにないものでも、お客様が必要だと思うものは、つくり出す努力が必要です。結構、固定概念があって、こういうものだと思い込んでいて、皆、同じものを作り続けたり、売り続ける傾向があります。

 例えば、私でしたら、皆さんの前で話をする時に手を上げることがあります。その際に、袖の内側が見えるのです。

 カフスボタンを買いに行ったときに、「このカフスはいかがですか。外側にものすごくいいものを使っています」と勧められたのですが、私は「手を上げるときにこういうふうに上げるので、いくらいいものを外側に使われても、映像では映らないんですよ」と言ったのです。すると内側にも同じ石を付けてくれて、「どちらからでも映りますよ」と言われました。

 これは”プロの根性”です。こんな商品を、普通の人には売れません。袖の内側を見せる人などいませんから。私みたいに手を上げて見せる人だけです。

 これを作ってこられたら、買うしかないではないですか。他に買う人がいません。

 それは一つの工夫ですけれども、今までにあるものをただ売りつけようとするのではやはり駄目です。新しいものを創造して、その人に必要なものを自分のほうから頑張って提供する努力をしなければいけません。

 別に、カフスは外側だけ見えるようにしなければいけない理由などありませんし、そんなことが書いてある経営の教科書を読んだこともありません。同じように、裏側にカフスを付けてはいけない、と書いているものも見たことがありません。ニーズがあるのを発見したら、それはやはり、応えなければいけないでしょう。言われる前に気づく人だっているかもしれません。

 このように、普段の勉強をすると同時に、他にはできないサービスを提供することが大事です。

 

お客様のアイデアを実現

 私は客になることも多いのですが、客がアイデアを言う場合もあります。

 あるメーカーが「合格時計」というものを作って売り出したところ、私のところに「ヒットしました」と喜んで報告してきたことがあります。値段は安かったのですが、当時、うちにも受験を控えている子供がいたので、買ったのです。その後、納品に来た時に私が、「合格時計が今、ものすごく売れているのであれば、『難関校合格時計』と、『超難関校合格時計』を作ったほうがいい。限定品にして、値段を上げなさい。ちょっとだけ違いを作れ」と言ったら、社員が「そのアイデア、いただきました」と言っていたので、いずれ発売されるかもしれません。

 このように、お客の方からアドバイスが出る場合もあります。そのように、今までこの世にないものを何か出そうという努力は要るだろうと思います。

 やはり、勉強して、この世にないものを見つけ出す。必ずしも研究開発費がものすごくかかるものだけではなく、今までにないものを編み出そうと、常に努力していくことが大事です。結果的に、それを使う方の幸福を願う気持ちが、非常に大事だと思います。

 

経費削減より投資が大事なことも

 それと、今、気をつけなければいけないのは、不況期の会社経営についてです。 不況期に一番簡単に思いつくのは、経費の削減でしょう。リストラも、人員削減から始まって、経費削減全部にかかわってくることが多いですが、それで品質が悪くなるということが本当に多いのです。ものが悪くなると、とたんに客が離れる場合があるので、絶対削ってはいけない重要な部分があります。

 例えば、饅頭屋や羊羹屋で、砂糖を安いものに変えたりしたら、それはもう一発で「効果」が出てきます。やはり手を抜いてはいけない部分というのがある。なんとしても持ちこたえてこだわらなければいけないところがあります。

 うどんでも、コシがどの程度まで入っているかというのは、うどん通には分かることです。経費削減のためにコシを出す時間を短くしたら、すぐばれてしまいます。

 このように、絶対に手を抜いたらいけないものがあり、あるいは経費削減してはならないもの、むしろ、もう一段、大事なところにお金を使わなければいけない場合さえあるのだ、ということを知らなければいけません。

 

市場経済は智慧のぶつかり合い

 単純に考えてしまうと、「収入を増やして、支出を減らせば黒字化する」となります。残念ですが、財務省も基本的にそういうことを言いたいのです。無駄金を削って、増税をして税収を増やせば財政が黒字化するという、一番簡単な言い方をしています。子供でも分かるようなことを言っているのだろうと思います。

 しかし、資本主義、市場経済の世界はそんなに甘くありません。競争はもっと激甚で、やはり知恵と知恵のぶつかり合いで、人がどうしても考えつかないようなところまで考えついた者は勝つということです。

 そして、その考えの”隠し味”のところを見抜かれるまでの時間に、タイムラグがあればあるほど儲かることになっていますので、その辺りの努力が要るということです。

 経費節減すべきところ、浪費と思われるところは節減しなければいけませんが、絶対に削ってはならず、むしろ積み増さなければいけない部分もあるのだ、ということを知らなければいけないということです。コンサルタントとしては、その辺のところも合わせて言わなければいけません。

 だから、作っているものもいろいろあるでしょうけれども、絶対に手を抜いてはいけないものに関しては手を抜いては駄目で、より良質なものを求めなければいけない、ということです。

 

お客様の側から自分たちを見る修行

 信用というのは簡単に崩れます。信頼をつくるのは難しいし、積み上げるのは大変ですが、崩れる時は一日で崩れるのです。この崩れ方の速さはもう、並大抵のものではありません。

 ですから、良心的であり続けるということは、非常に大事なことですし、ものすごく難しいことです。

 買ってくださったお客様の、その後の幸福までフォローしていくぐらいの気持ちがないといけません。売りつけた後はもう、客とは会いたくないというタイプの人は駄目です。客の顔を見たらパッと逃げるというのは、心の中にやましい事があるということです。心の中で「そろそろ、欠陥がばれるかな」と思うころには、やはり会いたくないから、「回れ右」して逃げます。そんなことではいけません。

 ですから、繰り返し会えるぐらいにならなければいけません。仕事に良心を込めることは大事です。その辺りの努力が要るのではないでしょうか。こうしたアドバイスをコンサルタントの付加価値としていけば、もう一段良くなるのではないかと思います。

 私のいろいろな本に何度も書いてありますが、やはり経営者、あるいは企業家というのはどうしても”天動説”になりがちで、自分中心に物事を考えやすいのです。そういう考え方を打ち砕いて、やはり相手の側、お客様の側から見たらどう見えるかということを、繰り返し繰り返し教えることも大事だと思います。それを忘れてしまうのです。

 これは、幸福の科学についても同じことが言えます。厳しいことですが、ある意味で、自己を客観視する訓練にもなるので大事なことであると考えています。

 私であれば、質疑応答の一番最初にコンサルタントの方を当てたというのは、これは見る目があるわけです。そういう人を当てれば、聞いている人が皆、得します。そういう意味ではいいところを当てたわけです。

 そして、私が当てた方は当たるようなものをちゃんと用意していました。「二宮金次郎」と紙に書いて掲げたら当てられるのではないか、と思って持ってきた。このアイデアに敬意を表してお当てした、ということです。

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