研究者のリーダーシップ論の重要性

 一般的に、理系の理論に比べて社会科学系の理論は、「役に立たない」というイメージが定着しているように思います。工学は実地に適用されると便利になるというイメージがしやすいですが、リーダーシップに関連する経済学や心理学の分野の理論は、そういったイメージがつきにくいものです。

 しかし、リーダーシップ研究では、多くの実践家の事例をもとに共通性を見出し、単純化して理論として構築していることが多く、企業や団体のトップ層から現場のリーダーまで実地に役立つ理論も豊富に見出すことができます。

 また、現場で利用できるリーダーシップを測定するツールや、研修で利用できる素材も開発されています。

 「役に立たない」と決めつける前に、多くの理論に触れてみることが肝要です。このとき、よく考えずに盲目的にそのまま取り込んでしまう必要はありません。役に立つ、あるいは自分の感覚に合うと思ったもののみを取り入れて、「持論」を構築してゆけばよいのです。

 実践に役立つリーダーシップの持論を手に入れるためには、体系的に整理された理論に触れて個々の「素朴概念」と関連付けることがとても有効です。

 持論を形にするために研究者の理論から取り込みたい事項が見つかったとします。このときに問題となるのは、聞き慣れない専門用語が使われており、それを取り込んだときに、自分の言葉としてしっくりこないと感じてしまうことです。

 そのような言葉が出てきた場合には、その言葉を簡単な日常語に置き換えて取り込んでみるとよいと思います。

 例えば、1990年代以降「リエンジニアリング」という言葉がよく使われるようになりました。これは、「事業プロセスの再構築」と説明されていますが、「仕事のやり方の見直し」と言い換えれば、小中学生でも理解できると思います。

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