目標管理制度の導入

 目標管理における方針とは、目標を達成するための活動の方向づけや制約条件を意味しています。したがって、下位者の目標は上位の方針の範囲内で設定することになります。

 

目標管理のプロセス

 目標管理を開始したら、従業員に対して次のようなアプローチを行います。

 目標管理開始の第一歩が従業員自らが行う「目標設定」です。目標を設定してもらうために必要な情報を揃えましょう。

 まずは、「組織全体の目標」を管理者と従業員の間できちんと共有します。従業員の目標が達成されれば企業に貢献することができます。目標設定の最終目的は企業の利益を生み出すことですから、組織全体が向かうべき方向を最初に確認しておきましょう。

 組織の目標を設定したら、個人目標の仮設定を行います。従業員の現状と達成までの期間などを鑑みて、仮目標が達成可能かどうかを検証します。目標が低すぎると感じた場合は、ハードルを上げる事も必要でしょう。

 検証が済んだら、達成可能である最適なレベルの目標を設定して、達成のための計画を立ててもらいます。

 目標を定めて計画を立てた後は実行です。最初のうちは勝手がわからず、従業員からの疑問・質問も多いと思います。想定できる質問に対する回答を用意しておくなど、サポートする用意をしておくとスムーズです。

 ある程度軌道に乗ったら、経過を見守りつつ一定期間で進捗を確認します。計画とズレがないか、何か問題が発生していないか、定期的に確認するようにしましょう。

 もし計画に遅れやズレが生じていたら、目標達成のためにどのように修正していくかを相談します。それまでの行動の振り返りや次の中継点まで何をすべきかなど、具体的な対策を確認しておきましょう。

 目標達成のために定めた期間が終了したら、いよいよ評価を行います。目標を達成できたかどうかだけではなく、そこに至るまでのプロセスの良い点や悪い点の洗い出しを行い、次の目標に向けて計画や作業、目標設定をブラッシュアップしていきます。

 目標を達成できなかった場合は、原因の指摘や、達成するまでにどうすれば良かったのかといったフォローアップも行いましょう。

 

目標管理制度の運用方法

 大きく4つのステップに分けて、運用方法を紹介します。

STEP1:組織目標を決め、現場に共有する

 目標管理制度の基点となっているのは、「組織全体の目標」です。従業員が個人目標を立てるときも、組織目標の達成に貢献できるような内容を考えます。そのため、まずは経営層が経営目標を決定し、現場の管理職に共有しましょう。そして、管理職は部下に対して組織目標の内容や意図を伝え、個人目標の基準にしてもらいます。

STEP2:従業員に目標・具体的な行動プランを立ててもらう

 従業員に個人目標を立ててもらうときは、客観的な評価を下せるかどうかも考慮し、内容が「具体的か・定量的か」をチェックします。また、本人の意欲を持続させるため、目標が「実現できそうか」「簡単すぎないか」を確かめることも大事です。身の丈より少し高いレベルの目標であれば、従業員もより意欲的に取り組めます。そして、目標を達成するための具体的な行動も一緒に決め、本人が取り組みやすいように支援していきましょう。

STEP3:上司が進捗を管理し、適宜軌道を修正する

 「目標を決めさせたら、あとは評価まで放置」では不十分です。従業員が目標達成に向けて困っていることがあれば、上司が適宜相談に乗ってあげましょう。また、目標の軌道修正が必要であれば、そのサポートもします。できるだけ上司が毎週・毎月といったペースで面談することで、従業員の意欲を持続させることが可能です。

STEP4:上司が評価し、本人にフィードバックする

 評価期間に入ったら、上司が客観的に結果を評価し、部下にフィードバックします。その際、部下が評価に納得し、次のアクションを取りやすいように、評価の理由についても丁寧に説明しましょう。評価次第では、評価を受ける側は悔しさを感じることもあるので、まずは本人の頑張りに対して労いの言葉をかけることも大切です。

 

目標管理シートの活用

 後々の振り返りや評価のために『目標管理シート』を活用すると、目標管理をより効果的なものにすることができます。

 目標管理シートは、MBOマネジメントを行うためのツールです。シートと言っても必ずしも紙である必要はなく、Excelやスプレッドシートなどの形式で作成されることが一般的です。

 目標管理においては、目標設定と計画、そして、進捗確認が不可欠ですが、人事考課やフィードバックのためには、プロセスを残した記録があると評価者も被評価者も安心です。

 目標管理シートを使って目標までのプロセスを残すことで、より具体的な改善施策や人材育成に役立てることができますし、被評価者にとっては納得の行く評価理由にもなります。

 

目標管理シートの作成手順

1 課題をピックアップ

 まずは、従業員に現状を確認してもらい、役職や部署、そして現状の評価などを洗い出します。そして、今後取り組むべき課題について、箇条書きにしてピックアップしてもらいます。

2 目標の設定

 課題を洗い出したら目標の設定です。目標は売上や成約数などの定量的目標と、モチベーションやサービスの向上などの数値化が難しい定性的目標の二つの観点から考えるとうまくいきます。

3 プロセスの決定

 具体的な目標が決まったら、期間から逆算してプロセスを決定してもらいましょう。プロセスについても期限を設定することで、進捗を確認できるようにしましょう。複数プランを考えておくと、計画の修正が容易に行えます。

 初期シートの作成において、基本的なことは以上の3項目です。目標達成までの期間が始まった後に、計画の進捗具合や途中で気付いたことなどがあればメモしておくように指示しておくと、後々振り返りがしやすくなります。

 目標達成期間が終わったら、シートを元に管理者と従業員が面談を行い、評価とフィードバックを行います。

 

目標管理シートの書き方

 目標管理シートを作成する際には、自社の業種やビジネスモデルにあわせたアレンジを行いつつ、項目を検討してみてください。

 目標管理シートの役割は『人材育成』です。目標やプロセスなど最低限のことだけでなく、後で振り返りやすい記録内容にすること、確認したときに自身の足りていない部分が意識できるような記載を行うことを常に意識しましょう。

 個人レベルだけでなく、チームとしての課題や会社全体の方針や計画についても概要程度でよいので記載しておけば、「自分がなぜこの目標に向かって努力しているのか」という振り返りと、会社への貢献度が確認できるようになります。

 目標管理シートは単なるメモ帳ではありません。管理者や人事部の人間も見ることがある重要な書類です。従業員には、他人が読み返してもわかるレベルの内容に仕上げる意識を常に持つよう指導しておきましょう。

 改善点や所感などのメモも できる限り客観的な文体にするべきです。「こそあど」言葉を乱用していたり、主語がない文章だったりすると、あとで本人が読み返した時に、何を指しているかわからなくなってしまいます。

 数値の関わる進捗や課題については、具体的な数値を記載するように指導しておきます。例えば、営業なら「成約率を伸ばす」ではなく「成約率○%を達成する」といったように具体的な数字を記載しておくと、進捗確認が楽になるからです。

 MBOにおいては、目標達成率は100%が前提です。100%達成できる目標でなければ、目標の設定の仕方が雑になってしまう可能性がありますし、途中で修正することも困難です。

 また、期限設定は必ず行いましょう。 期限が設定されていない目標は、ゴールのないマラソンのようなもの。いつかモチベーションが低下し、挫折してしまいます。期限がなければ、目標達成の現実味は薄れてしまいますし、評価も難しくなるでしょう。

 期限を設定し、その期限内で達成できる目標を設定することが大切です。達成が難しい場合は、次の期間へ目標達成をスライドすることも考えましょう。

 目標管理の主旨は『人材育成』にあります。これは、主にコーチングの元に使われる手法です。コーチングとは、一方的に何かを教えるのではなく、対象者に寄り添い、できるようになるまで導く指導法です。

 目標管理では、従業員に対して上司や会社が目標や課題を提示することはありません。

 従業員が自ら目標を考え、乗り越えるためにはどのような課題や障害が発生するか、そして、どのような能力があれば自分は乗り越えられるのかを考えます。これによって、単なる知識やスキルを持った人材ではなく、「目標達成のプロセスを自ら考えることができる人材」を育成することができるのです。

 目標管理の導入により、従業員のモチベーション向上効果があると言われています。上司に言われた課題ではなく、自らが決めた目標なら、自然とやりがいと責任感が伴いますし、自分で設定した目標ですから、十分に達成が可能なものになっているはずです。

 達成不可能なノルマや無理難題な成績を押し付けられることがないため、やる気を誘発しやすいと考えられます。

 人事考課は、管理職の人間が従業員の業績や貢献度から報酬を査定する人事制度のことですが、人事考課の参考値となるのが目標管理です。

 目標が明確になっているため、達成率を評価の参考値にすることができます。また、従業員に評価の理由を「評価が上がったのは目標を達成したから、下がったのは未達だから」と明確に伝えることができるため、従業員の評価に対する納得度も上がります。

 日本では人事考課と目標管理はセットとして考えられることが多いのです。

経営と真理 へ

「仏法真理」へ戻る