静寂の時間で成果を生む

 忙しく働いていても、それで成果が上がらないなら何かが足りないということ。一体それは何なのだろうか。

 組織の方向性を決めるのは、リーダーの「考え」です。そこに間違いがあれば、成果は出ず、すべてうまくいきません。リーダーは「正しい考え」を持つ必要があります。

 そのために何をすべきか。まず反省が必要です。 成功しても失敗しても「やりっぱなし」で反省しない人は、自分の判断を独善的に「正しい」と思い込んでいて、いつまでも人生のステージが上がりません。

 一人になって自分の判断を振り返る。その時間の積み重ねが判断をより正しいものに近づけてくれます。

 

良書で正しい考えを知る

 また、良書を繰り返し読んでください。リーダーには『論語』などの古典や仏教書を読むのがお薦めです。長く読み継がれてきた本には、時代を超えて人々を導く普遍性があるからです。松下幸之助さんや稲盛和夫さんといった優秀な経営者の本もお勧めです。

 良書には、思想家や成功者の優れた考えが詰まっています。それを薫習していくと、判断する際の「自分の軸」ができ、ぶれたときにもチェックできます。

 日々 新聞を読むことも大事です。一面だけでなく、政治面や国際面なども大きな記事のリード文だけでもいから読む。それは自分の関心を世間の関心に合わせる訓練です。

 事前にインプットがないものは絶対にひらめきません。普段から色々な知識や情報をインプットしているからこそ、それらを結びつけて新しいアイデアが生み出せます。世の中で起きている問題に関心を持つことで、「何か改善できないか」という気持ちが湧いてくるのです。

 スマホニュースも便利ですが、自分の関心のある情報に偏りがちです。リラックスのためならともかく、朝から通勤電車でゲームに熱中しているような人は世捨て人です。

 

考える力で本質を見抜く

 リーダーでも、「景気が悪くなった」と目先の「現象」に振り回される人がいます。大切なのは現象をどう解釈するか。つまり「考える力」です。

 便利な世の中になって、現代人の考える力が弱まっている中、思考力が高ければそれが強力な武器になります。

 考えることによって、現象の底流に流れる物事の本質を見抜く。それを仕事の判断に反映させ、成果につなげる。本当の成功は正しい思いや行いの先に築けるものです。

 

成果を上げるための3ヵ条

 1 反省をする

 2 良書を読む

 3 深く考える

 

現象に惑わされるのではなく、『考える力』をつけて本質を見抜くことが大事

 特に、管理職はバタバタと忙しくすることが仕事ではなく、組織で成果を出せるよう、『正しく判断する力』を身につける必要がある。

 経営者の仕事は『判断』です。経営者は、神仏に見られても恥ずかしくないような正しい判断をしなければいけないと思うので、心を正していきます。人生で大切なことは人格を向上させ、神仏の心に近づくこと。そのための静寂の時間は必須です。

 瞑想では、『わが社にはどういう使命があるのか』『会社のあるべき姿とは何か』について深く考えます。

 瞑想の時間に、会社の目標やビジョンを明確にする。この時間に浮かんだアイデアで仕事に生かす。

 忙しいからといって、瞑想など静かに考える時間を取らないと、『アイデア』や『智慧』が得られません。静寂の時間は『どこでもドア』のように智慧に近づける時です。

 

経営者が静寂の時間に行うべき3ヵ条

 1 反省で心を正す

 2 瞑想でアイデアを得る

 3 未来を構想する

 

「静寂の時間」こそ多忙なあなたを救う

 立場が上がって仕事が忙しくても、「静寂の時間」をつくり、上手に使い続けた人はどうなるのだろう。

 「早め早めの仕事を心がける」「同時並行処理を心がける」「即断即決する」「重要でない部分は見切る」「仕事を部下に任せる」 このような経営者としての「凡事」を「徹底」することで、忙しくとも静寂の時間を生み出すことは可能です。

 その時間を上手に使うとどうなるのでしょうか。

人格が向上する

 静寂の時間に自らの思いや行いを反省したり、心の肥やしになるような良書を読むことで、人格が高まっていく。

 思慮深く不動心のある「深沈厚重」な人物こそ、人の上に立つ経営者やビジネスリーダーに相応しい。

 「お客様の幸福を第一に、社会に貢献しよう」と考える経営者が最終的に成果を上げるということです。

 

仕事の成果につながる

 また、静寂の時間に、「お客様を喜ばせるにはどんな商品やサービスが必要か」と考え続ければ、よいアイデアも生まれてくる。

 瞑想でアイデアを得ることを大切にする経営者は多い。

 iPodやiPhoneなど革新的な商品を生みだしたアップル社創業者のスティーブ・ジョブズ氏、Windowsを開発したマイクロソフト社の創業者ビル・ゲイツ氏、彼らが瞑想の時間を取り、アイデアを得ていたことは有名です。

 京セラ・第二電電(現KDDI)社創業者で、若いころから瞑想の習慣があったという稲盛和夫氏も、日本航空(JAL)の再建を果たしている。

 

未来の仕事が変わる

 さらに、静寂の時間には未来の仕事を変える力もある。

静寂の時間に深く瞑想することで、「会社のあるべき姿」が見えてくる。そのビジョンを維持し続け、そのための努力を惜しまなければ、それは将来現実化してくる。

 幸福の科学大川隆法総裁は、『凡事徹底と静寂の時間』でこう述べている。

自分自身の固有の時間を、『将来のための勉強の時間』としてつくり出さなければいけません。そのためには、仕事の中身の片付け方が大事で、やはり、『一日一生』の考え方を持っていなければいけないわけです

 現在の勉強や努力、構想していることが10年後の未来をつくっている。「未来の種は現在にある」。その未来をつくる種を育てる土壌こそ静寂の時間なのです。

 

凡事徹底と静寂の時間

 立場が上がり、新しいものを追いかけるうちに、忘れがちになる「凡事徹底」。

 忙しい現代においても、「静寂の時間」をつくり出し、自らを高めることで、利他の人生を生きることができる。

 

反省の時間を積み重ねる中で大きな気づきを得る

 これまで、自分たちの作りたいモノがお客さんの欲しいモノだと思っていた。大切にすべきは、『お客様が欲しい商品は何か』を追求すること。

 「静寂の時間」を手に入れ、生まれ変われそうな気がするのでしよう。

参考

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