給料の十倍働く

あなたは給料の何倍稼いでいるか

 もちろん、給料アップの方法は、転職や独立、起業など、他にもいろいろある。しかし、転職や起業して成功する人は、会社勤めの時代から仕事ができて実績を上げている人が多い。

 松下幸之助も大阪電燈という会社に勤めていた時は、かなり優秀な社員だったという。16歳で入社して、わずか3ヵ月で見習い工から担当者に昇格、20歳の部下を使う立場になった。さらに18歳で電気知識を学ぶために夜学に通うと、22歳の時には最年少で検査員に昇進。無論、そのたびに給料はアップした。若手社員の出世頭、稼ぎ頭だった。

 よく「給料の3倍稼がなければ会社としては損になる」と言われる。会社側は月々の給料のほかにもボーナスや福利厚生などの費用がかかるため給料分を稼ぐだけでは足が出てしまうからだ。

 会社や職種によって差はあるが、給料の3倍の稼ぎでトントンということは、3倍レベルの社員の給料を上げれば会社の損になる。4倍、5倍と稼いでくれて初めて給料を上げられることになる。

 『成功の法』では、「『給料の十倍働く』ということを目標とすべきです。自分の年収の十倍の利益を出すことを目標とすればよいのです」と指摘されている。

 現実に10倍の成果が出せたならば、評価もされるだろうし、転職や起業しても成功の確率は高くなるだろう。

 その意味では、自社の賃金制度の研究も必要だが、自分がいくら稼げているのか、いくら会社に貢献できているのかを正確につかむことが大切デス。その上で淡々と努力を重ね、実績を積み上げていくことが「給料上げ」の王道です。

 でなければ、給料を上げるどころか、どうすればクビにならずに済むかを研究する羽目になってしまうかもしれない。

 

企業を取り巻く環境が変化

 給料を取り巻く環境は、昔に比べて大きく変わりました。かつては日本の企業全体が右肩上がりに成長する世の中で、全員の給料が上がり、全員が管理職になれ、また、それを満たすだけのポストも充分にありました。

 しかし、ここ20年ぐらい低成長の時代が続き、グローバリゼーションの中、国際的な競争も念頭において考えなければならない時代になりました。

 昔であれば、新入社員は10年ぐらい先輩や会社の言うことを聞いて、いくつかの部署を渡り歩きながら係長→課長→部長→役員という道筋を行くのが一般的でした。給料も、その役職に応じて上がっていく。そういうシステムを単線型の人事と言うのですが、現在では役職に連動した給与ベースというような考え方は崩れ始めています。単線型人事だと、営業や技術では抜群の成績だが平社員のため低賃金という人材が、若くても高給で評価してくれる会社に転職してしまうからです。

 最近は、役職によって給料を決めるのではなく、その人がする仕事の内容によって評価しようという考えが主流になってきました。その人しかできない仕事をしている場合、給料の額は、部下のほうが上司よりも高くなることだってありえます。これが複線型人事です。

 

自分の評価を正確に知るために外の人と交流を

 良いキャリアを積む人は、外部の人との接触の機会を持っていることが多いようです。これによって、「自分は人材マーケットの中でどう評価されるか」という視点を持ちやすくなるからです。

 例えば、昔のサラリーマンだと、同じ部署の上司、同僚など非常に狭い世界の人とばかり関わる機会が多く、内部の論理で物事を判断しがちでした。

 同業他社の人と交流すると「えっ、この人もうこんな仕事を任されてるの? オレは?」ということになり、刺激を受けることは間違いありません。それが自分を向上させるモチベーションになると同時に、先ほどのような内部の論理にとらわれることなく、客観的に公平に自分を見ることに役立ちます。

 

専門性を持つために自己投資を欠かさない

 次に、専門性を身につけることが大切ではないでしょうか。

 給料は役職ではなく仕事の内容によって評価されるようになってきています。「あなたは何ができますか?」と聞かれた時に、「部長ならできます」ではだめ。キャリアも給料も、会社が提供してくれるわけではありません。自分がなりたいものを考え、今必要なものは何かと自分で考え、自分でその勉強をしていくことです。

 その方法は、例えば本を読んだり学校に通ったり、見識を広めたり、いろいろな形があります。どの形をとるにせよ、大切なのは自分がなりたいもののために どれくらいお金と時間をかけられるかということです。

 

最後は社会が評価する

 結局、会社によっても業種によってもその内実は違うので、「これをすれば1千万円稼げる」といったノウハウをお話しすることはできません。要は、会社に依存しない自分の心構えをつくることだと思います。

 例えば、ある会社で、社の方針や上司に媚びたりイエスマン的になって、給料が上がることもあるでしょう。

 しかし、その上司が一生上司であるというわけではありませんし、ある日突然社の方針が変わるとき、そういう人は以前と同水準の給料をもらえるとは限りません。

 誰が最終的に評価を下すかといえば、結局は世の中であり、社会です。そこで評価されないと、いくら社内での評価が高くても社会で認められなければ、その仕事は価値を持ちません。また、仕事の内容によって評価されることが主流になった現在では、その人の価値も肩書きなどではなく、その人がしている仕事の内容によってはかられるのです。

 同期の中で昇進が遅れて落ち込む人もいますが、それはあくまで社内評価。長い人生から見ると ちょっとしたことです。あまりそういうことにとらわれず、自分に必要なものは何かを考えた上でキャリア作りをした方がいいでしょう。

参考

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