プレイングマネージャー

自己のマネジメント体系を確立

 プレイングマネジャーには、「企画力」「交渉力」「管理力」「教育力」「学習力」「決断力」といった6つの能力が求められます。

 この6つの能力をビジネスシーン別に使い分けることができるのは、非常に優秀な営業プレイングマネジャーに限られます。

 マネジャーは、概ねプレイングマネージャーです。

 自ら実務を担当しながら、マネジメントもやらねばならない。

 マネジメントのコツを知ることによって、多忙な中で的確な管理が可能となる。

 現状では、次のような問題点を抱えている。
・目標が達成しているために営業パーソンの気がゆるみ、厳しさを求める営業体質がむしばまれている。

・全体的に営業マネジメントがおろそかになり、ミスやクレーム、モレの要因が見えない所で増殖している。

・営業マネジャーが目先に追われ、自部門のマネジメントが出来ていない。そのため将来に向けての種まきや、マーケティング戦略構築が不足している。

・入社1~2年のセールスパーソンに対する営業活動の厳しさについての指導が不足し、ベテランセールスパーソンに対しては、次のレベルアップ教育が不足している。
 こうしたことを改善するためには、営業幹部が今一度 謙虚に自己の役割を認識、どちらかといえば苦手なマネジメントを克服していくことが肝要であり、自己のマネジメント体系を確立する必要があります。

 特に、自部門の営業活動に不可欠なマネジメントを書き出し、それを体系化することである。

 例えば、顧客管理、行動管理、計数管理等を充実させなければ、営業活動そのものや生産性追求そのものが不可能となります。

 そのためには、以下の着眼で取り組むことです。

(1)例外処理
 限られた時間の中で アレもコレも は出来ない。そのためには例外処理の技術を高めること。
 標準や目標・計画に対して「良い、悪い」の例外を摘出し、特に「悪い=問題点」について処理をしていく。
 また、クレームやトラブルなどについては、「すぐに現地現場へ飛ぶ」などの基本や定石を日頃から訓練しておくことが大切です。

(2)重点集中処理

 マネジメントは ただ漫然とやっていては時間のムダやロスが発生する。
 大切なことは、「今何が大切か」の価値判断基準をもちながら、時間そのものを切って使うことです。

(3)スピード処理

 マネジメントの内容は、定型業務だけではなく、判断業務がある。
 その一つに上司・部下や他部門からの決裁要請や意思決定項目がある。
 そのためには、価値判断力に加えてスピード処理力が求められる。

(4)情報の先行管理

 業務先行管理だけでなく、マネジメントそのものを先行管理で処置していく。
 例えば、与信限度管理や回収管理などに加えて、販促企画や社内行事、会議や研修会など常々先行処置することにより、成果を大ならしめる内容も多い。
 情報の先行管理は今後ますます大切になると考えられます。

(5)バランス感覚

 例外処置や重点処理だけにこだわると、その範疇に入らないものを見失う。
 とある会社では、「重点得意先管理」あるいは「重点訪問」として型決めしていたが、重点以外の得意先情報が遅れ、ライバルに負けた例もある。
 また、技術が得意(製造出身)なセールスマネジャーは、得意分野中心のマネジメントになりやすく、不得意分野にスキ間が出来る。
 マネジャーは全社的視野とマネジメント項目についてのバランス感覚が大切です。
 以上をマネジメント(PDCAサイクル)で善循環で回転させることが、セールスマネジャー自身の能力向上につながるのです。

 

業務の優先順位を明確にする

 どの会社でも十分な人員を抱えているわけではない。一人二役主義でなければ成り立たないのが現実です。

 そのために、これら会社の第一線のマネージャーは、月次業績を必達することは当然の役割として、加えて未来経営のための戦略プロジェクトに参加したり、新設事業部門に出向したり、あるいは海外での仕入れルート開発、販路開発にも出張したりで、1人で数役を背負いながら頑張っている。
 しかし、その半面、彼らの悲鳴も聞こえてくる。例えば業務が複雑化、多元化して、何から着手すればよいのか、どのようにプロジェクトを軌道に乗せるのか、日常のルーチンワークはどのように処理をすればよいのかなどに困っているためである。

 しかし、管理者は抱える問題を解決し、業務を遂行しなければならない。

 そのために、日頃から業務に対する処理基準を明確にしておくことが肝要となります。

1 業務の優先度と重要度の明確化

 業務には判断業務と定型業務があるが、その両者を問わず、優先度と重要度が混在している。

 例えば、極めて重要な経営課題であるが、今日明日中に解決せねばならない内容ではないとか、反対に全社的な重要問題ではないが、即時解決を図らねばならない問題とかである。管理者は、そのために、頭の中で、あるいはマトリクスで業務を常に整理しておくことです。
 例えば、ある会社で、従来のサービス業務を別会社として独立させたとします。そのために経営幹部がやらねばならない(整理しなければならない)業務は数多く発生するはずである。

 その課題を幹部全員で取り組み、その業務体系図を作成する。

 そして、それらの重要度と緊急度を分析し、時系列的に優先順位を明確にし、第一線マネジャーに通達する(例えば新会社の経営理念は1年以内にボトムアップで創るとか、業務管理システムは1ヵ月以内に完備するとかである)。

2 価値判断基準の明確化
 この場合に重要なポイントが、重要度と緊急度を決定する判断根拠または判断ものさし(基準)である。 

 その基準となるポイントは次のものがある。
 (1)会社の基本理念と基本方針
 (2)トップの意図する内容(目的)と期待水準
 (3)実践する場合の担当者や部下の能力
 (4)手段方法の難易度や必要経費
 (5)他部門の協力度合い
 (6)以上を総合して全社レベルで判断する
 場合によっては自部門の利害を超えねばならない場合があることを銘記。

 さらに、以上の流れで各業務を位置づけした場合も、思い違い、思い込み、錯覚、勘違いなども存在するから、上司には報・連・相で再点検するとか、メンバーで検討するとかで、軌道を修正することが大切です。

3 行動の迅速化・即行動化
 急ぐ内容については、即着手し一気に取り組むこと。

 タイムスケジュール表などを作成し、進行チェックすれば見落としも少なくなり、より効率的に推進できるようになります。     

 

失敗に学ぶ

 受注競争激化に伴い、今まで以上に営業力の高度化が求められています。しかしながら、現実には従来からのやり方の延長線上にある会社が多い。

 その理由として
・営業部門全体が目先の目標に追われ、勘や精神論の営業となっており、第一線部隊としての戦略志向が不足している。

・組織力の営業体制になっておらず、個人の営業力に依存していることで販売技術の向上が不十分である。

・営業マネジャーのマネジメント力が弱く、日常業務を通じてのノウハウの蓄積が弱いなどが指摘できる。

 しかし、これからの営業に求められることは、的確な現状認識と分析力によるノウハウの蓄積と活用にあります。

 特に今必要なことは、営業活動上の勝敗の分析を行い、その中から今後に活かす着眼を創りあげることです。

(1)敗因を分析する
 営業活動は、1回ごとの商談において勝ったか、敗けたかであり、これはルート営業や飛び込み営業においても本質は変わらない。
 しかし、営業パーソンの常として、敗け戦(いくさ)はどうしても隠してしまう。その結果、なぜ敗れたかが不明となり、同じあやまちを犯すことが多い。そのためには、敗因の分析を継続的に行うことが大切であり、それを活かすことである。

 たとえば、ルートセールスであれば、
 ・なぜ、目標が未達であったのか
 ・なぜ、インストアシェアが伸びないか
 ・なぜ、新製品が売れないのか
 ・なぜ、ライバルにやられたのか

などの分析が必要となる。

 また、受注型セールスであれば、
 ・なぜ、この物件が取れなかったのか
 ・なぜ、ライバルが勝ったのか
 ・自分自身の営業活動に悔いはないか、あるとすれば、それは何か

などを分析する。

(2)敗因から学び実戦する

 長い道のりで勝つには失敗や敗因に学ぶ姿勢が大切です。
 ある観光サービス業の会社では、営業会議で固定客のうち「昨年取り引きがあって今年取り引きのない企業」については分析していたが、なぜ 取り引きがなかったのか、中断しているのか、についての突っ込んだ討議が欠けていた。そして、毎月同じような大口顧客の昨年対比変動があり、その反省も不足していたため、その理由や要因分析を「敗戦分析表」で実施しようとしている。

(3)勝因分析も併せて行う

 大切となるのは受注の決定要因である。売り込みには、すべてライバルが存在します。そして、そのライバルを食って成功した要因も必ずある。それは何かを明らかにすることにより次の作戦が練れるのです。
 自社が勝った要因は、品質・技術・価格・納期・サービス・システム・人間関係などのうち、どれなのか。それを さらに伸ばすにはどうするのか を全員が認識することである。
 「受注決定要因分析表」で主要物件を分析し、さらに、営業パーソンだけの自己申告に加えて、マネジャーが成約のお礼をかねて訪問、決定要因認識の誤り、営業パーソン自身の思い違いがないか などを確認し、さらにその精度を高めていきます。

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