MBO(目標管理制度)の具体的な実践方法

 MBOを実際にどのような手順で行い、マネジメントにどう落とし込むのでしょうか。

 

1 目標を設定する

 MBOで最も大切なのは、社員一人ひとりが自ら個人の目標を設定することです。
 会社の利益やビジョン実現に向けた個人目標なので、もちろん、会社や部署の組織目標をしっかり理解した上で設定する必要があります。会社や部署の理想を押しつけるとノルマの設定になってしまうので、自主的な取り組みやモチベーションアップにはつながりません。組織目標の達成のために、個人がどのような役割をこなすべきか、どのような能力を伸ばしていくべきか、何が具体的にできるのかという個人目標を設定していきます。なるべく具体的な数値目標、スキルアップなどの定性目標、期日などを明記して解像度を上げておくと良いでしょう。

 

明確化した目標の例

 「新規案件の獲得率を増やす」→「新規案件を50件獲得する」
 「計算のスキルをアップする」→「簿記の資格を取得する」

 設定した目標は、上司はもちろん同じ部署のメンバーと共有し、適切な内容であるかどうか、達成可能な目標であるかを検討します。部下のモチベーションややりがい、動機づけのためには難易度の設定が大事です。難易度を下げればよいわけではなく、努力することで達成可能な目標であると考えられるものにします。

 

2 目標達成のための手段を決める

 手段とは「計画」のこと。目標が設定できたら、目標達成のための計画を決めていきます。期日から逆算して計画を設定し、Excelやスプレッドシート、あるいは専用ツールで目標管理シートを作成しましょう。

 

3 手段を行動に移す

 目標と計画が設定できたら行動に移します。目標管理シートで期日までの時間や達成度を確認しながら行動し、不足や難度が上がり過ぎている部分があれば修正していきます。変更点や気づいた点は随時目標管理シートに記入しましょう。

 

4 評価・振り返り

 MBOは振り返りをしてはじめて効果を発揮します。振り返りとは いわゆる「PDCA」です。上司と部下が目標達成に至るまでのプロセスや結果を共有しながら、部下自身の自己評価と上司による客観的評価、フィードバックを行います。大切なのは、結果だけではなく、プロセスも含めて見るということです。目標の内容や期限をいかに具体的に設定できたかによって、振り返りの粒度は細かくなるので、目標と計画はできるだけ具体的に設定するのがよいでしょう。

 上司からのフィードバックでは、部下の昇進または降格や給与の増減といった話ではなく、今後期待する組織内での役割などについて話します。部下からは、振り返りを題材にして今後のスキルアップやキャリアアップ、目標設定などについて相談すると良いでしょう。

 

MBOを正しく活用するために

 MBOを正しく活用するためには手順や準備が大切です。以下の1~4の項目をチェックして効果的にMBOを使いこなしましょう。

失敗しないMBOチェック項目

1 目標を設定する

□社員と上司がコミュニケーションを取って目標設定をしていますか?
□「新規案件の獲得率アップ」ではなく「新規案件を〇件獲得」と具体的な目標を設定していますか?
□組織の目標や会社の利益と合致していますか
□達成可能な目標を設定していますか
□目標の期限を決めていますか
□上司と部下の間で、目標や評価基準などの認識は一致しましたか

2 目標達成のための手段を決める
□上司と部下がコミュニケーションを取って、目標に向かう手段を決めましたか
□期日から逆算してスケジュールを組みましたか
□目標管理シートを作成しましたか
□目標管理シートには、数値の達成度以外にも項目を設けましたか

(スケジュール管理やトラブルへの対応、上司とのコミュニケーション頻度や精度など)

3 手段を行動に移す
□進捗確認の1on1ミーティングを実施していますか
□適切な頻度で1on1ミーティングを実施していますか

4 評価・振り返り
□評価は1on1ミーティングで会話をして決めていますか
□結果だけではなく、行動・プロセスの評価をしましたか
□MBOを人事評価に使っていませんか
□次の目標設定をしましたか

経営と真理 へ

「仏法真理」へ戻る