経営理念やミッション・ビジョン・バリュー(MVV)の浸透

 目標管理を導入すると、従業員へ経営理念やMVVの浸透させることができます。

 経営理念とは、「事業を遂行する上でこうあるべきだという組織の根本の考え方や道筋」のことです。

 MVVとは、Misson(ミッション)・Vision(ビジョン)・Value(バリュー)の略で、組織が社会においての存在意義や役割を定義されます。

・Mission

 社会の中において組織が果たすべき役割を定義するもので、自社が何のために存在しているのかということを定義するものです。組織にとって最も重要なものがこのミッションであるといえるでしょう。

・Vision

 組織の成すべき事や目指す姿・目標を定義するものです。簡単に言うと、組織は何を行っていくのかということです。Missionが実現した状態がこのVisionとなります。

・Value

 MissionやVisionを実現するための行動指針、価値観、姿勢を定義するものです。

 経営理念やMVVは、何のためにこの組織が存在していて、何のためにこの事業を行なっているのか、組織が正しい方向に進む上での根幹となる部分です。これらを定義することによって、事業の方向性を示し、部署からチーム、従業員にまで組織の目指している方向を示すことができるのです。

 目標管理で適切に目標を設定すると、組織全体に経営理念やMVVを浸透させやすくなるのです。

 目標は、「将来のビジョン」→「(ビジョンから逆算された)会社目標」→「部門目標」→「チーム目標」→「個人目標」といったように、上からのブレイクダウンと下からのボトムアップを組み合わせて設定していきます。

 目標管理では、部門やチーム、従業員それぞれの具体的な目標、行動が経営理念やMVVに紐づいたものとなるため、自然に従業員まで浸透させることができるのです。

 

納得性の高い人事考課の実現

 目標管理を導入すると、納得性の高い人事考課を実現しやすくなります。

 目標管理では、目標を設定する際、上司と従業員が、評価基準、期間、課題などを話し合ったうえで、個人目標を設定します。そのため、目標設定時に決めたことをもとに、達成率などの結果を確認して、そのまま業績評定として利用することができるのです。

 また、目標管理では、目標は一方的に与えられたものではなく、基本的には管理者と話し合いのなかで各個人が設定したものなので、従業員個人からは反発が起きにくいという性質もあります。

 目標管理は、公正で納得性の高い人事考課の実現に非常に役立つのです。その反面、評価のための目標となってしまうことが多々あり、従業員が高い目標を設定しなくなってしまうという現象が多々起こっています。こうなってしまうと組織が成長することはありません。

 評価のための目標とならないためには、目標設定の際に、上司と従業員がしっかりと話し合うことが重要です。それでも目標がうまく設定されない場合は、運用中の目標管理の仕組みが現在の組織にあっていない可能性があります。

 

効果的なマネジメントサイクルの実現

 目標管理を導入すると、管理者が従業員に対して効果的なマネジメントサイクルを実践することができるようになります。

 管理者の本来の役割は、「自分のもとに任された部下を管理、活用し、その部署やチームの目標を達成させること」です。その役割を果たすため、管理者は、一般的に「PDSサイクル」「PDCAサイクル」といったマネジメントのフレームワークに従って、部下のマネジメントを行います。

 目標管理を導入すると、管理者と従業員が話し合って従業員個人の目標を設定するため、次のような行動パターンでマネジメントすることができます。

(Plan)

 期の初めに部下に組織目標に紐づいた個人目標を設定させる

 達成方法や達成水準、評価基準を明確にする

 上司が部下と話し合いをし、目標の確認・調整を行う

  ↓

(Do)

 期中は進捗確認を随時行う

  ↓

(See・Check)

 期の終了時に目標の最終的な達成状況を確認し、振り返り、評価を行う

  ↓

(Plan・Action)

 目標達成度合いに合わせて、部下が自主的に個人目標を設定する

 達成方法や達成水準、評価基準を見直し、明確にする

 前の期を踏まえて、上司と部下が話し合いをし、目標の確認・調整を行う

 

 このように、目標管理を導入した場合、サイクル内のマネジメントの一部を部下本人に行わせることができます。そのため、管理者は少ない負担で効率的に部下のマネジメントを行い、チームの目標を達成させることができるのです。

 また、マネジメントサイクルが仕組み化されていることにより、管理者は手順に沿って行動すれば、的確なマネジメントを行うことができ、チームごとの能力差が生まれにくくなるという効果もあります。

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