ブランド採用戦略

 ブランド採用戦略は、複数の製品を持つ企業が、(1)ラインイメージや競争地位の類似性と、(2)ターゲットの類似性の2軸として、どのようにブランドを展開していくかを検討し、戦略をたてるものです。

 以下の5つの戦略があります。

1 ファミリーブランド

 ラインイメージや競争地位が同質で、かつ、ターゲットも同質な場合に採用される戦略です。個々の製品をそれぞれ広告宣伝するよりも同じイメージで統一的に訴求する方が市場に受け入れやすいため、すべての製品に同じブランド名をつけます。コーポレートブランドと呼ばれることもあります。

例:マクドナルドなど

 

2 ダブルブランド

 ターゲットは同質で、ラインイメージや競争地位が異質な場合に採用される戦略です。認知度を高めるために、全体として統一的なブランドを採用しつつも、個々のラインごとに個別ブランドを採用します。

例:ビール会社が、ビール会社ブランドと製品個別ブランドを組み合わせる戦略があります。キリンラガー、キリン一番搾り、アサヒスーパードライ、アサヒ淡麗生など

 

3 ブランドプラスグレード

 ターゲットは異質で、ラインイメージや競争地位が同質な場合に採用される戦略です。

 各製品は似ているため統一ブランドで知名度を維持しますが、ターゲットは異なるため、各ターゲットに合わせたグレードごとにブランドを設定します。

例:BMW

 7シリーズ、5シリーズ、3シリーズなど、異なるターゲットに販売しています。

 

4 個別ブランド

 ターゲットが異質で、かつ、ラインイメージや競争地位も異質な場合に採用します。統一ブランドは採用せず個別にプロ―モーションを行うため、もっともブランド確立に時間と費用がかかりますが、過去に失敗したブランドの影響を受けることがなく、企業内のブランド間の競争によって企業業績がアップする可能性もあります。

例:ネスレ

 

5 分割ファミリーブランド

 ターゲットおよびラインイメージや競争地位の同質/異質がいずれも中程度の場合、製品ラインを幾つかに分け、それぞれにブランドを付与する方式です。

例:松下電器が、市場や製品ライン毎に「ナショナル」「パナソニック」「テクニクス」というブランドをつけていました。

 

ブランド使用者による分類

 ブランドの使用者による分類には以下のような種類があります。

1 ナショナルブランド(NB)

 メーカーが全国向けに販売する自社製品に対して使用するブランドです。大量生産、大量販売を意図しており、高い品質と高い知名度が必要とされます。

例:日清食品のカップヌードル、大塚食品のボンカレー、キッコーマン醤油、キユーピーマヨネーズ、キリン一番搾りなど

 

2 プライベートブランド(PB)

 小売業者もしくは卸売業者が自主開発した製品に対して使用するブランドです。

 総合スーパーや百貨店では、ナショナルブランド商品を取り扱う一方で、自己の店舗で販売するために自主的に商品開発したプライベートブランド商品も販売します。

 店舗側が商品企画をするので、顧客ニーズを直接取り入れた商品を作ることができ、広告費やパッケージ費用をかけずに安価に販売できるというメリットがあります。また、小売店が値決めをするので、メーカーからの価格コントロールを受けずに、高い利益を獲得することも可能です。「オウンブランド」とも呼ばれます。

例:トップバリュ(イオングループ)、セブンプレミアム(セブン&アイ・ホールディングス)など

 

3 ジェネリックブランド

 ブランド名をつけず、「シャンプー」「水」など一般の商品名のみを表示した商品のことです。NBと比べ、広告費・包装費などを削減し、収益性を高める狙いがあります。

例:良品計画の無印良品など

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