顧客データの活用
顧客データの活用、継続的接触など、既存顧客を維持・深耕する仕組みがあるか
新規顧客の獲得より既存顧客の維持が重要
モノへの消費支出減少や人口減少社会の到来など、21世紀においては「パイ」の増加を前提としない企業経営が要求されています。
今の時代、顧客は放っておけば、どんどん減少してしまいます。顧客獲得を重視するマーケティングから、既存顧客の優良顧客化や、既存顧客の流出防止を重視する顧客維持のマーケティングへ、力点をシフトさせていくことが必要なのです。
継続的接触
顧客との「継続的接触」は、顧客維持のための有効な手段となります。その理由として、以下の2つの要因をあげることができます。
①自社の存在を常に顧客の心にとどめておく効果
②接触そのものによる好意の増加(社会心理学で「親近性効果」と呼ばれる)
継続接触による顧客維持効果が大きいのは、大企業ではなく中小企業です。顧客との接触活動(例えば、「御用聞き」)は もともと中小企業が得意としていた分野です。
顧客維持の手法とタイミング
継続的接触の具体的な手段としては、顧客訪問、電話の利用、DM、Eメールの送付等が考えられます。情報紙を接触手段として利用するのも効果的でしょう。
接触そのものが顧客維持には有効ですが、以下のようにタイミングよく顧客と接触することで さらにその効果を高めることができます。
・顧客の個人的イベント :
誕生日、記念日など
・商品のサイクル :
購買後まもなく、購入後Xヵ月目、保証期間終了前など
・顧客の購買サイクル :
買い替え時期、在庫がなくなる直前など
・変化 :
季節の変わり目、新アイテムの導入など
・顧客の変化 :
購買頻度の変化、住所変更、特定商品の購入など
このほか、顧客維持の手法としては、ポイントカードなどのフリークエント・ショッパーズ・プログラムや、DM等のパーソナル・メディアによる販売後の継続的接触・定期的接触、さらには顧客の組織化、次回購入予約サービスなど さまざまな手法があります。
取引量に応じた割引やポイントカードなど、顧客に特典を与えて囲い込みを図っているか
顧客の維持には、そのための仕組みを設けることが有効です。顧客を維持するための仕組みのことを「ロイヤルティ・プログラム」と呼びます。ロイヤルティ・プログラムは、自社との関係を強化するような顧客の購買行動に対して、金銭的報酬や特別扱いなどで報いるための仕組みです。その代表は、ポイントカードやスタンプカードです。
ポイントカードの効果は、顧客の維持だけではありません。ポイントカードを利用することによって、顧客の購買履歴(購入品、購買日、利用頻度、平均購買金額など)などを把握することが可能になります。すなわち、一人ひとりの顧客の顔が見えるようになるのです。このような顧客データを蓄積し、分析することによってマーケティング効率を向上させていくことも重要です。
いつどんな商談をすすめたかを記録し、参照することができるか
企業が顧客に対して、効果的な接触活動を行うためには、個々の顧客との取引状況を記録し、適宜参照することができるようにしておくことが重要です。そのためには、顧客データベースを構築することが有効です。
取引状況にあわせた顧客接触の事例として、米穀専門店の「米びつ管理」をあげることができます。顧客の購買サイクル、前回の購入日時がわかれば、いつ頃に顧客の米びつが空(から)になるのかが予測できます。
米びつが、空になる少し前に顧客に接触することができれば、顧客が継続的に自店を利用してくれる可能性は高まるでしょう。逆に、米びつが空になってしばらくして接触した場合は、その間に顧客は別の店から米を購入してしまうかもしれません。