GE ビジネススクリーン

当時、大流行した「BCGマトリクス」(PPM)に対抗するため、マッキンゼーでも数々の戦略コンセプト、戦略ツールが開発されました。

「BCGマトリックス」は 2×2のシンプルで分かりやすいフレームワークですが、それゆえの限界がありました。1つ1つの事業・製品単位を、単純にその時の「市場成長率」と「相対シェア」のみで捉えるため、分析時点の低シェア事業・製品について、追加投資を行って育成を図るべきか、思い切って損切りをして撤退をするべきか、という判断を誤る(その判断に資する情報を提供できていない)可能性がありました。

一方、「GEビジネススクリーン」は、長期的な市場(事業、業界)の魅力度を測定し、同時に、その市場における自社の競争的ポジションも定義づけを行い、その上で、自社が手掛けている事業の相対的市場シェアと市場の大きさも可視化するという4要素が盛り込まれた分析ツールになっています。

 

 

「GEビジネススクリーン」上での戦略的判断 パターン3つ

自社が手掛ける(またはこれから手掛けたいと考えている)事業・製品ポートフォリオをチャート化した上で、それぞれの戦略的意思決定単位について、

 強化・増強(もっと投資して積極的にリターンを求める)
 現状維持(新しいことは何もしない)
 撤退or利益回収(より悪い状態にならないように手を打つ)

という選択肢を提示します。

 

「BCGマトリクス」では、「問題児」「金のなる木」に該当する戦略的意思決定単位が、「GEビジネススクリーン」では、「撤退あるいは利益回収」にカテゴライズされます。「BCGマトリクス」は静態的分析結果をもって、動態的に内部資金を「金のなる木」から「スター」や「問題児」に移行する判断を促します。その判断の間違い比率を決定的に減らすために、「GEビジネススクリーン」が提唱された と一般的に解説されています。

 

 

「GEビジネススクリーン」の縦軸・横軸を定義する

この「GEビジネススクリーン」というツールが使いやすいものになるかどうか、分析結果が妥当なものになるかどうかは、抽象的に表現されている縦軸・横軸の意味づけ次第ということになります。そういう曖昧さが残り、かつ、多義的で、具体化に知恵を絞る選択的判断が必要なツールであるからこそ、戦略コンサルティングファームのサービスメニューとしてクライアント企業に売れるのも事実なのです。

 

<縦軸:事業の魅力度>
・市場規模
・市場成長率
・市場平均利益率
・競争度合い
・マクロ環境(社会、政治、技術、経済)の影響
・参入障壁や撤退障壁となる規制や市場状況
・必要な技術要素の難易度
・必要資本量(参入障壁となる最小事業規模は?)
・機会や脅威の出現頻度予測

 

<横軸:自社の強み>
・相対的シェア
・シェア成長率
・コスト競争力
・技術力
・製品・サービスの差別化要因
・経営能力
・コア・コンピタンス
・ブランド力
・製造キャパシティ

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