リェンジニアリング

リエンジニアリングとは、顧客満足度の視点から、対競合に対して優位になるように業務プロセスを根本的に再設計し、コスト・品質・サービス・スピードの面で経営を革新することです。

エンジニアリング(設計)ではなく、リエンジニアリング(再設計)であるから、これは継続的な改善(On・Going・Improvement)である。

 

対競合に対して優位となるベンチマーキングの手法も包含

「プロセスのリエンジニアリング」とは、ベンチマーキングによるベストプラクティスの探求による再設計である。
 ビジネス・プロセス・リエンジアリング(BPR)は、「コスト、品質、サービス、スピードなどを劇的に改善するために、ビジネス・プロセスを根本的に考え直し、抜本的にデザインし直すこと」です。それまで、社内の組織や個々の業務が主であった改革において、「顧客の立場を組織の横断的なプロセス単位で捉え、業務のやり方を根本的に再構築する」という点で新しいものでした。一方、その取り組みは、従来日本企業が取り組んでいたものを発展させたものでした。
 ベンチマーキングによるベストプラクティスの探求は、他社が成功している方法を自社に導入するものですが、企業文化の異なる組織の方法を導入しても定着しませんでした。さらに、BPRはダウンサイジングと同義語と捉えられ、リストラや人員削減の代名詞となったため、多くの社員の反対に遭い、急激に衰退しました。

 

MITで学んだバリバリのエンジニアだったマイケル・ハマーは、『リエンジニアリングの作業~自動化するな、破壊せよ』を1990年にハーバード・ビジネス・レビュー(HBR)に発表しました。1993年には、ジェイムズ・チャンピ―と共著で『リエンジアリング革命』を出し、300万部が売れるベストセラーとなって、全世界に「ビジネス・プロセス・リエンジアリング(BPR)」という用語を一気に広めました。

 

既存プロセスはすべて破壊せよ

「リエンジニアリング」は、フレデリック・テイラーを祖師とした、フォードやGMが実践した中央集権的な分業型組織へのアンチテーゼとして誕生しました。1990年中盤には、フォーチュン500社の60%が、リエンジアリングに取り組んでいるか 取り組み中というアンケート結果が出たほどです。資本主義経済の始祖、アダム・スミスが発見した「分業」。分業により、専業担当者のスキルが向上し、大規模生産設備をつかって、規格工業製品の大量生産・大量販売・大量消費のビジネスモデルを築き上げることができたのです。ハマー達はそれを次のように全否定します。

(1)QC的改善ではなく抜本的改革を目指せ
(2)社内志向ではなく徹底的に顧客志向であれ
(3)中央集権の管理志向ではなく現場に権限移譲せよ
(4)情報システムを活用し組織を一体化せよ

 

 

ハマーの激烈な言葉で、のちのITプロジェクトに担がれるようになったスローガン

「業務を自動化するのではなく、その業務をこの世からなくせ」
「情報は発生時点で収集して、2度と同じものを入力させるな」
「機能や資源が地理的にバラバラでも関係ない ITでつなげ」
「並行して行われる作業は途中で連携させろ」 など

1990年代の米国産業界は、加工組立を中心としたものづくりを得意とした日系企業の後塵を拝していました。藁にも縋る思いでマイケル・ハマーの提唱したBPRの実践と、大手業務ソフトウェア企業が提供する大型ERP導入を行い、これらが車の両輪となって、1990年代以降の大いなる業務標準化ブーム(BPRブーム)とERP導入ブームを引き起こす きっかけのひとつになりました。

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