ローラーをかけることの大切さ

 新規事業の立ち上げ、新商品の販売について、一倉先生は、「自らどろどろになって売るものだ」と述べています。大企業なら「お金をかけて手間をかけない」というやり方を選べますが、中小企業では、「お金をかけずに手間をかける」が基本になります。

 業種・業態によりますが、基本的な考え方は「ローラー作戦」です。全ての顧客を回る ということです。

 もちろん、これは日本じゅうを回るという意味ではありません。そんな人は不可能です。あくまでも「勝てるところで」という前提、すなわち、競合に対して勝てる地域で勝てる商品で戦うという前提です。その上で「全て回る」のです。お得意先が薬局なら、決めたテリトリーの全ての薬局を回ります。文房具店なら全ての文房具店を回ります。個人のお客様なら全戸回ります。いわゆる飛び込み営業です。

 全戸訪問や全店訪問をする人はあまり多くはないかもしれません。だからこそ効果が出ます。ほかの人がやらないからこそ、中小企業に商機が訪れます。

 個人の住宅なら1日300件前後回れます。マンションやアパートが多い地域なら500件くらい可能です。法人であれば100件程度です。業種が絞られれば 20~30件が限界かもしれません。もちろん、都市部ほど効率はよくなります。決定権を持つ人がいなかったり、誰もいなかったりして空振りするケースも多いので、繰り返し訪問して、しらみ潰しにしていくことが大事です。

 なお、訪問営業、飛び込み営業というのは、販売不振に陥った企業やお店でも有効です。よくシャッター街を歩いているときに、たまたま開いている店を覗き込むと、店主が手持ち無沙汰に ぼーと外を眺めている光景を見ます。

 この手の労を惜しんで営業をしない会社が多くあります。「メーカーだから営業はしない」「お店だからひたすらお客様が来るのを待てばよい」という会社です。それで売れるなら必要ないかもしれませんが、売上が思うように上がらなければ、外に出て注文を取りに行けばよいのです。外に出れば、案外注文が取れるものです。

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