一倉定の販売戦略

複数の店舗を出しておられる経営者が、販売不振店の相談を一倉先生にされたときに、一倉先生の回答が面白い。
「販売不振店に、社長の関心を向けるのは誤りである。
売れない店の売上を上げるよりも、売れる店の売上を上げる方が、はるかに効果が大きいことを知ってもらいたいのである。」(『社長の販売学』)
 結局、売れない店には何らかの理由があって、それを改善するにはかなりの努力がいる場合が多いのです。
 また、かなり努力をしても、成果が確実に上がるとは限らないので、そういうコストやリスクをかけない方がかしこいということです。
 結局、販売不振店はどうすればよいのでしょうか?
一倉先生の回答は明確です。
「売れない店は淘汰するのが正しいのである。」 

傷が大きくなる前に素早く撤退する判断をすることです。

ただし、別の方法も先生は説明されています。どうしても淘汰できない社長がいた場合に、先生は蜜蜂作戦を教えていたそうです。蜜蜂作戦とは、店舗の商圏内の全戸訪問です。社員に挨拶参りに行かせるのです。店舗の社員を1日一人だけ戸別訪問に行かせるのです。
 現代では効果のほどは分かりませんが、先生が指導していた当時は効果が上がった方法のようです。
 「現代はネットがあるから、そんなコストと労力がかかるような手段などやってられない。」という意見もあるでしょう。
 しかし、ネットは受け身の部分が大きいと思うので、社員が暇をしているくらいでしたら、試しに挨拶周りに行ってはいかがでしょうか。
 効果が出ないなと思えば辞めればいいのです。
 ところで、販売不振店が出やすいのはどういった場合でしょうか? それは、店舗を線状に配置している場合です。線状というのは、直線的に店舗を配置するイメージです。山手線や環状線だと電車は円環しています。しかし、ほとんどの線路は直線的に伸ばされています。その駅にそれぞれ店舗を配置する感じです。
 一倉先生は、線状に店舗を配置するのではなく、面で配置しなさいと指導されていました。イメージは二等辺三角形です。三角形の頂点、3カ所に店舗を配置するのです。そして、その頂点の距離ですが、それぞれの商圏の半径より少し遠い距離とします。三角形の頂点の商圏が重ならない位置に配置するのです。商圏が重ならないので、空白域が出来ます。その空白域は、店舗の知名度が上がってきたら埋まってくるという発想をします。
 販売不振店は、ポツンと離れた位置にある店舗かもしれません。
 もしこれから店舗を増やしていかれるなら、強い店舗を三角形の頂点の一つとして、あとの二つを埋めていくと良いでしょう。

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