労働条件の効力

(労働基準法第93条)

就業規則で定める基準に達しない労働条件を定める労働契約は、その部分については無効とする。この場合において無効となった部分は、就業規則で定める基準による。

 本規定は、就業規則で定める基準を下回る労働契約を無効とするとともに、無効となった部分については、就業規則で定める基準によることとしたものです。したがって、効力は労働契約より就業規則が上回ります。また、就業規則より労働協約が効力が強く、労働協約より法令が強いという関係になります。  

 就業規則で定める基準に達しない労働条件を定める労働契約とは、就業規則で定められた労働時間より長い労働時間又は就業規則で定められて賃金より低い賃金など、就業規則に定められた基準を下回る労働条件を内容とする労働契約をいいます。  例えば、就業規則ではA職について1日7時間労働で10,000円となっているところを個々のA職の労働者との労働契約では1日8時間労働で10,000円としているような場合がこれに該当します。

 その部分については無効となるとは、就業規則の基準に達しない部分のみを無効とする趣旨であり、労働契約中のその他の部分は有効であるという意味です。例えば、就業規則で、1日7時間労働 10,000円と定められている場合に、B労働者との労働契約で1日8時間労働で10,000円と定めた場合には、その労働契約の1日8時間労働という部分は無効となりますが、賃金の10,000円は契約通りに有効となります。

 無効となった部分は、就業規則で定める基準によるとは、労働契約の無効となった部分については、就業規則の規定に従って、労使間の権利義務関係が定まるということです。

 

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