就業規則(11)
第4章 勤務
労働時間、休憩及び休日に関しては、各社の業種や繁閑の有無など、会社の実情を考慮して、それぞれの会社の実態に合わせて、規定する必要があります。
就業規則規定例
第○条 (就業時間及び休憩時間)
1日の実労働時間は8時間とし、その始業、終業の時刻、休憩時刻は次の通りとする。
(1) 始業時刻 午前9時
(2) 終業時刻 午後6時
(3) 休憩 12時から13時まで60分
2 前項の時間は交通事情、その他業務の都合等により、あらかじめ通知して、全部又は一部の従業員に対し、始業・終業の時刻を変更することがある。
3 前項の休憩時間は自由に利用する事ができるが、他の従業員の休憩を妨げないようにしなければならない。
4 会社施設から外出する時は所属長に届けなければならない。
5 遅刻、私用外出等があったときは、それに相当する時間を自動的に当日の終 業時刻が繰上げ・繰り下がるものとする。
始業、終業がどのような状態で認められるかということを明示します。
「始業時刻前に出勤し、始業時刻に勤務ができるように準備すること。」とするとよいのですが、「始業時刻の前に着替え等を済ませておいて、始業時刻に勤務ができるように準備をしておくこと」とまで指示すると、着替えの時間も労働時間とみなされてしまいます。
所定労働時間については、指揮命令に基づく実作業の開始から終了までを労働時間として把握する「実労働時間主義(労働基準法の原則)を採用します。必ずしも「終業時間を過ぎて仕事をしたら残業」ということにはなりません。
労働時間の実際上の取扱について規定しておきます。
労働時間の把握については、使用者自らが現認できない場合には、タイムレコーダー等客観的に把握できる手段によるのが望ましいでしょう。
しかし、タイムレコーダーの位置から終業場所まで距離がある等、タイムレコーダーの打刻時刻と実作業開始時刻にギャップが生じることがあります。この場合には、実態に応じたルール(例えば、10分間のギャップが生じるのであれば、タイムレコーダーは実作業開始時刻の10分前に打刻すること)を労使で協議して定めておくのが望ましいでしょう。
○時間外及び休日労働
労働基準法では、原則として一週間につき40時間を超えて労働をさせることを禁止しています。時間外労働・休日労働の規定については、残業を拒否する社員あるいは、だらだらと残業代稼ぎのために残業を行なう社員に対抗するための規定は、必ず盛り込みます。残業は必ずトラブルになりますし、会社にとっても大きな影響がある事項です。慎重に規定しましょう。
就業規則規定例
第○条(時間外・休日労働及び深夜労働)
業務の都合により、第○条の所定労働時間を超え、又は第○条の所定休日に労働させることがある。この場合において、法定の労働時間を超える労働又は法定の休日における労働については、あらかじめ会社は従業員の代表と書面による協定を締結し、これを所轄の労働基準監督署長に届け出るものとする。
2 小学校就学前の子の養育又は要介護状態の家族の介護を行う従業員で時間外労働を短いものとすることを請求した者の法定の労働時間を超える労働については、前項後段の協定にかかわらず、事業の正常な運営に支障がある場合を除き、1か月について24時間、1年について150時間を超えて時間外労働をさせることはない。
3 妊産婦で請求のあった者及び18歳未満の者については、第1項後段による時間外若しくは休日又は午後10時から午前5時までの深夜に労働させることはない。
4 前項の従業員のほか小学校就学前の子の養育または要介護状態の家族の介護を行う従業
員で会社に請求した者については、事業の正常な運営を妨げる場合を除き午後10時から午前5時までの深夜に労働させることはない。
5 2項の時間外労働の制限及び前項の深夜業の制限の手続き等必要な事項については、「育児・介護休業規程」で定める。
適用除外
就業規則規定例
第○条(適用除外)
前各条の労働時間・休憩時間・休日の規定は、次の各号に該当する者については適用しない。(深夜割増賃金に関する定めを除く)
(1) 労働基準法第41条第2号の管理・監督の地位にある者(対象者は課長以上
の役職者)
(2) 監視または断続的労働に従事する者で、行政官庁の許可を受けた者
(3) 秘書その他管理・監督の地位にある者と活動が一体不可分で、出退社等に ついて厳格な制限を受けない者
○休憩
休憩時間は、
1日の労働時間が6時間を超える場合 → 少なくとも45分の休憩
1日の労働時間が8時間を超える場合 → 少なくとも1時間の休憩
ということになっています。
厳密にみていけば、労働時間が8時間ピッタリの場合は休憩時間は45分でいいわけです。しかし、45分にしてしまうと労働者の不満がでてくる可能性が高いので休憩時間は1時間にしておいた方がいいでしょう。
休憩時間の交替制が必要な事業の場合には、その規定を就業規則の中にも追加しておきましょう。
就業規則規定例 第○条(休憩時間) ・・・ 休憩時間は、従業員代表との間で労使協定を締結することにより、交替で与えることがある。 |
事業場内において自由に休憩できる場合は、休憩時間中の外出について所属長の許可を受けさせることは、必ずしも違法にはならないとされています。
一定の範囲の外出のみ許可制にすることで、休憩時間の自由利用は認めつつ、必要な管理のみ行うようにすることができます。(昭和23年10月30日 基発1575号)
就業規則規定例 第○条(休憩時間) ・・・ 2 休憩時間に外出しようとする従業員は、所属長の許可を受けなければならない。 3 休憩時間は自由に利用できるが、職場秩序を乱してはならない。 |
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