就業規則(15)
『休職』の続きです。
私傷病休職についての規定に「業務外の私傷病による療養のための欠勤が引き続き1ヵ月を超えるとき」などの文言を追加して、本来の私傷病休職の趣旨に合致するように開始時期を変更すること、また、有給とする期間(日数)についても、「休業開始から3日間は有給とする」などのように明確に定めておくことも必要かもしれません。
一般に私傷病休職については、医師の診断書の提出を求める企業が多いようです。
医師の診断書の提出のみを休職の要件とすることは少なく、「欠勤が引き続き1ヵ月間に及んだ場合に」というように一定の欠勤期間を超えることなどの要件を設けます。会社が職場復帰は難しいと判断しても、従業員の申出や医師の診断書では職場復帰可能訴えてくることがあります。医師の判断する「治癒」と会社が求める「治癒」では程度が異なるときがあります。職場復帰が認められるための「治癒した」状態とは、単に出社できる、軽作業や事務仕事ができるという意味ではありません。「休職前に行っていた通常の業務を遂行することができる程度に回復」した状態であると明確に定義する必要があります。
診断書を提出させても、医師は現実の仕事内容までは把握しておらず、一般的な判断で復帰可能と診断する傾向もあるため、ケースによっては会社の指定医(産業医)の健康診断書を提出させる旨の規定も必要でしょう。
「通常の業務」とは、職務を特定されて採用されたスペシャリストなどの場合は、その特定された職務を基準とし、大企業の新卒一括採用のようなゼネラリストの場合は、職務転換も踏まえて考えられる職務すべてを含めて考えることになります。
休職期間中に休職事由が消滅すれば、休職は終了します。
休職期間の満了時に復職できないため、退職として扱う場合には、「休職期間中に休職事由が消滅せずに、復職しないときは自動退職とする」という規定が就業規則等に明記されていることが前提となります。
(注意)「自然退職」でなく、「解雇」とした場合は、解雇の予告もしくは解雇予告手当が必要になってしまうからです。
就業規則規定例 第○条 (復 職) 休職期間満了前に休職事由が消滅したと認められる場合は、原則として旧職務に復帰させることとする。ただし、やむを得ない事情のある場合は旧職務と異なる職務に配置する事がある。 2 傷病休職者は復帰の際、医師の診断書に基づき会社が決定する。又、会社が指定する医師の診断書を求める事がある。 3 休職中の者が復職を希望する場合には、所定の様式により所属長を経て、会社に復職願を提出しなければならない。 4 休職期間が満了しても休職事由が消滅しない場合は、休職期間の満了をもって自動退職とする。 5 休職事由が消滅し復帰を命じたにもかかわらず、正当な理由がなく、会社の指定した日に復帰しない場合はその翌日をもって自動退職とする。 |
休職制度は、一定期間解雇を猶予する効果があり、労使ともにメリットがあります。したがって、休職満了時に改めて解雇予告を必要とするような規定を設ける必要はありません。
復職できない場合には、休職から「自然退職」に至る取り決めの規定を設けます。
「解雇」とした場合は、解雇の予告もしくは解雇予告手当が必要になります。
休職期間が満了しても復職できない場合は「自然退職」とする旨の規定を定めておくこと。 残って欲しい従業員がいる場合を想定して、「特別の事情で会社が休職を認めたとき」という特別休職の規定を定めることもよいでしょう。
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