モチベーション

モチベーションの向上(=業績アップ)

 ドラッカーは、業績(成果)をあげることは習慣であると言っています。

 「組織が成果をあげるのは、優秀な人がいるからではなく、成果をあげる習慣があるからだ。」

 組織においては、より複雑なコミュニケーションと意思決定が日々繰り返されていますが、コミュニケーションの良し悪しでモチベーションは変わってくるのです。

 好業績を持続している企業にいえることは、そうでないところと比較し、社員のモチベーションの高さが決定的に違うのです。
 経営者、部門責任者が最も重視すべきは「社員のモチベーションを高める経営である」ことです。

 社員のモチベーションが低下すれば、お客様への対応態度にも影響し、やがてお客様の足は遠のき、結果的に他の誠実な社員にも伝播していくのです。そして、モチベーションが低い会社の離職率は高いという結果が示されており、その離職する社員の能力が高いということになります。

 厳しい経済環境になればなるほど、社員のモチベーションの高低が企業の盛衰の要因となってくる今、社員のモチベーションは年々低下してきているようです。

 経営者による不正が多くのステークホルダーに損害を与え、一生懸命働いている社員のモチベーションが最悪になるのは言うまでもありません。

 企業組織のメンバーを見てみると、日々の仕事に対して興味を持って取り組んでいる人や高い業績・成果を挙げている人もいれば、憂鬱そうに仕事に取り組んでいる人や成果が上がらずに悪循環に陥っている人もいます。

 このような状態を解き明かすのがモチベーションの概念です。 

 組織における人間の行動は、モチベーションが大きな役割を果たしています。

 仕事をするには、その仕事をこなすための「能力」が必要になります。それに伴って「やる気」「意欲」「モチベーション」による強い「力」がなければ、その仕事で求められる業績や成果を挙げることはできません。

 仕事における高い業績や成果(パフォーマンス)は、「能力」と「モチベーション」の相互作用によって生まれてくるものです。

 高い能力を持っている人であっても、その能力を発揮して高いパフォーマンス水準を維持していくためには、その能力を継続的に発揮させるモチベーションが必要になるのです。

 モチベーションとは、その時々の状況や環境によって変わる変動的要因です。

 仕事で高い業績や成果を維持していくためには、モチベーションを安定的に維持・継続させていく必要があります。

 モチベーションを発動させるためには、まず、目的や目標といった何らかの方向性を明確に示すことが重要です。

 その目標や目的に向かう強い力や行動のエネルギー(=モチベーション)は、「期待」や「欲求」によって活性化されます。

 モチベーションとは、目標や目的を達成するまで行動を継続させていく力となるのです。

 目標や目的と現状との間に大きなギャップが発生した場合、組織のリーダーはどのように対処すべきでしょうか。

 目標や目的の達成のために日々努力しているメンバー達に対して、組織のリーダーが目的や目標の達成に向けたサポートをすることも、メンバーのモチベーションを維持していくためには重要な要素です。

 組織における仕事へのモチベーションの問題では、目標や目的の達成に向かって貢献しようとするメンバー達への意識的な行動の動機づけのための管理行動が重要となります。

 こうした仕事への意欲、モチベーションを高める方法としては、広い意味での「報酬」の提供があります。

 この報酬には、内的報酬と外的報酬とがあります。

 内的報酬には仕事の達成感や仕事による自己成長感などがあります。「仕事そのもの自体がもたらす報酬」なのです。

 外的報酬には、給与や昇進、人間関係や組織理念などがあります。

 これらの仕事の成果に対する報酬を明確にすることによって、メンバーの仕事へのモチベーションを維持していくのです。

 

モチベーション向上のための実践ポイント

1 社員同士のコミュニケーション、意見交換を活発化させるとともに、組織内に挑戦する空気を生み出す

2 社員に組織の目標と行動指針を明確に落とし込み、組織を一つの方向に向け、社員に乗り越えるべきハードルを意識させる

3 組織の役割と責任範囲を明確にし、組織に負荷をかけすぎない

4 組織の目標を達成するために十分な権限を与える

5 関係する組織間に良好な関係を築き、ほかの組織と仕事をする場合も社員がストレスなく仕事を進められる環境をつくる

 このように、組織のモチベーションを高めるためのハードルは決して低くはありません。

 しかし、組織としてモチベーションが高まるということは、個々の社員がお互いにモチベーションを高め合うことにつながるため、それが仕事の生産性に与える影響は一社員のモチベーションの高まりとは比べ物にならないくらい大きなものになります。

 従って、組織のモチベーションを高めることは、管理者にとって最も重要な課題の一つといえます。
   

組織のモチベーションを高める

 厳しい経済環境が続く中、会社は将来にわたって事業を継続していく「ゴーイングコンサーン」という考えがあり、これを実現するための計画が BCP(事業継続計画)です。

 会社が倒産や廃業をしないように、半永久的に継続していくことが会社の社会的責任だと言われていますが、この言葉通りには至っていないのが実態です。

 経営者にとって、会社は我が子同然であり、そこに働く従業員にとっては、生活の糧を得るだけでなく、やりがい・生きがいを見出す場でもあるはずです。
 「ゴーイングコンサーン」を実現するためには、時代にあったやり方・考えを取り入れ、改革していくことが重要となります。

 そして、規模の大小にかかわらず、会社の一番の目的は、「売上や利益を上げること」ではなく「存続させること」と言われています。

 会社という組織をより強固なものとしていくことが「ゴーイングコンサーン」を実現させるのです。

 そのためには従業員一人ひとりのモチベーションが重要となります。

 モチベーションとは、直訳すると「動機付け」、簡単にいうと「やる気」という意味です。

 結果や成果は、何をするにもその精神状態に大きく左右されがちです。

 特に、仕事は努力や苦労などがともなう活動であるため、いかにやる気をもって前向きに取り組むかによって、その成果には大きな差が生まれます。

 そのため、社員のモチベーションを高めることは、企業にとって重要な経営課題の一つとなります。

 仕事に前向きに取り組む活気ある組織をつくり上げる方法について考えてみましょう。

 個々の社員のモチベーションは、当然個々の社員の気持ちのあり方により決まります。

 一方、組織全体のモチベーションはどうでしょうか。

 組織は社員の集合体です。組織のモチベーションを考えるうえでも、個々の社員の気持ちは大変重要です。

 そのためにも、組織人としての基本動作の習得を徹底することです。

 

組織の環境改善

 組織のモチベーションを高めるには、組織内の雰囲気をよくするとともに、社員の仕事に対する意識を高めて組織を活性化させることが必要です。

 そのためには、組織の長が社員に対して以下のような施策をとることが重要と考えられます。

1 普段のコミュニケーションを充実させる

 組織の長は、朝と終わりのあいさつはもちろん、できれば毎日1回あるいは2日に1回は、社員それぞれに何気なく声をかけるようにしましょう。

 組織の長と社員の間のコミュニケーションだけではなく、当然社員同士のコミュニケーションを充実させることも重要です。

 コミュニケーションが充実してくると、何でも話しやすい空気が生まれ、組織の雰囲気が次第によくなっていくでしょう。

2 社員に考えるくせをつけさせる

 組織の長は、会議などはもちろん、ちょっとした打ち合せでも出来るだけすべての社員に何らかの意見を出してもらうようにしましょう。

 ほとんど意見を言わない社員には、組織の長が直接問いかけます。その際は、いきなり具体的な案を求めるのではなく、先に出ている意見をどう思うかなど答えやすい質問から誘導する。社員が出した意見は聞き流すことなく、まず肯定的に受け止めるようにして、意見を出しやすい雰囲気をつくり上げます。
 こうした雰囲気づくりを焦らず繰り返し積み重ねることで、社員にとっては意見を求められることが当たり前になり、社員が自然と自分の意見を考えるようになります。

3 チャレンジしやすい環境をつくる

 組織の長は、モチベーションが高い社員には希望する仕事にどんどん挑戦してもらうようにしましょう。

 ただし、組織の長は、その仕事を任せたからといって放ったらかしにするのではなく、必要に応じて方向性を示す、相談に乗るなどのサポートをします。
 そして、挑戦させた仕事が成功すれば、組織の長はその社員を評価するとともに、社員とともにその成功を喜びあいましょう。
 失敗しても決して怒鳴ったりせず、ともに失敗した原因や対策を考えましょう。

 組織の長がこのような方針をとることで、社員の間に仕事に対する挑戦意欲が生まれ、組織は活性化してモチベーションが高まります。

社員のモチベーションで業績は決まる

 従業員のモチベーションを向上(組織力強化)させるためには、「自己実現を可能にさせること」および「報酬への期待に応えること」が必要です。

 そして、従業員の自己実現への欲求が高まり続けるように、経営者は職場環境や制度、制度運用など「従業員満足」の改善の努力を重ね、対策を講じていくことが重要です。 

 個々の従業員が業務に関する知識やスキルを向上させていくことは、組織力を強化することになります。
 しかし、その能力を発揮する場がなかったり、意欲を減退させるような環境に置いていては、人財という経営資源を生かしているとは言い難いことになります。

 好業績を持続するのも、また不況を克服するのも、その唯一の経営資源は、「ヒト」をおいて、他には存在しません。

 企業の盛衰は、「人材」の有無やその優劣にかかっていると言ってよいでしょう。

 優良な企業(規模の大小ではなく組織力)はそうでない企業と比較し、社員のモチベーションの高さが決定的に違うということです。
 優良な企業の現場は、明るく活気に満ちあふれ、社員が自信に満ち満ちた態度で、創造的な仕事に取り組んでいることが分かります。

一方、業績が思わしくない会社は、総じて職場は暗く、生きるため、食べるため、与えられた仕事を、ただ黙々と処理しているといった環境です。 

なぜ社員のモチベーションは低下するのか

(1)経営者や上司への信頼感の低下

 社員のやる気が近年低下している最大の要因は、経営者や直属上司の経営姿勢と言動にあると思われます。

(2)生きがい・やりがい

 一般社員への「職場ではどんな時に一番生きがいを感じますか」という設問に対し、最も多かったのは「仕事が面白いと感じる時」、以下「自分の仕事を達成した時」、「自分が進歩・向上していると感じる時」でした。

(3)賃金や処遇の評価への不満

 よほどひどいときは別にして、ここでいう不満とは、賃金や処遇そのものに対する不満ではないと思われます。

 貸金や福利厚生が他社と比較して はるかに低いのに、社員のモチベーションが高い企業、その結果としての業績の高い企業が多数存在しているからです。

 この場合、不満は2つあると思われます。

 一つは賃金システムの問題であり、

 二つ目は評価システムに関する問題です。

 貸金システムの問題は、行き過ぎた成果主義・能力主義に対する社員の反発や不信と思われます。

 評価システムに関する問題では、評価者や評価方法、さらには結果の社員への伝え方やその後のフォローの問題と思われます。

(4)職場の人間関係の悪化

 職場の人間関係の悪化も、社員のモチベーションを悪化させる大きな要因です。

 職場の人間関係が気まずくなれば、コミュニケーションの機会少なくなる上、そればかりか、他の社員を疑心暗鬼で見てしまうことにもなりかねません。

 組織力の低下は最悪の事態を招きかねません。

社員のモチベーションを向上させる

 社員のモチベーションを向上させるためには、「自己実現を可能にさせること」および「報酬への期待に応えること」が必要です。 

 従業員の自己実現への欲求が高まり続けるように、経営者は職場環境や制度、制度の運用などの改善の努力を重ね、対策を講じていくことが重要です。

 各人の「自己実現」 ⇒ 「新たな挑戦」 ⇒ 「成功」 ⇒ 「自己実現」といったサイクルを実現させることが基本となります。 

 自己実現は、達成感や自己の能力開発・成長などによって可能になります。それは、個人目標の達成に向けて各人が仕事を通じて能力を発揮したり、不足している能力を開発するなどして自己の成長を図ることです。 
   

従業員が仕事に打ち込める職場環境

 (1)従業員のやる気をいかに引き出すか

 従業員のやる気を引き出すには、「自己実現が可能な環境であること」と「成果に対して報酬がきちんと支払われる環境」が整備されていることが必要です。

(2)やる気のある従業員にどれだけ仕事をしやすくさせるか

 やる気のある従業員に仕事をしやすくさせるには、職種に合わせて柔軟に就業時間を設定して生産性を向上させるようにしたり、簡単なカウンセリングや残業のコントロールなどで従業員の健康管理を行うなどが大切です。

(3)環境改善 
 社員同士のコミュニケーション、意見交換を活発 化させるとともに、組織内に挑戦する空気を生み出し、組織を活性化させることで組織力の強化となります。

(4)目標と行動指針の明確化・落とし込み
 組織内の雰囲気がよくなり、組織が活性化しても、組織はどこへどのように向かえばよいのでしょうか。それを示すのが、組織の目標と目標を達成するために必要な行動指針です。

 組織の目標と行動指針がはっきりしていないと、組織としての仕事の優先順位や進め方を判断する基準があいまいになります。これでは、せっかく活性化した組織も、何が正しいか分からなくなる、あるいは一度決定したことが何度も変更されるといった事態に陥り、組織の中に不満が生まれてしまいます。

 組織の長は、経営者から与えられた目標をもとに、それを達成するための組織の行動指針を定めて、すべての社員に落とし込まなければなりません。
 さらに、目標や行動指針は具体的かつ分かりやすくなければ社員に浸透しません。

(5)役割と責任範囲の明確化

 前向きで積極的な部門には仕事が集中します。

 その集まった仕事が目標や行動指針に合致している、あるいはその部門にまだ余力があり、社員たちが仕事を希望しているのなら問題ありません。

 しかし、そのどちらでもないのなら、その状態が長く続くことで、社員の間に「なぜ私たちがここまでしなければならないんだ」といった気持ちが生まれかねません。組織の長は、部門ごとに担うべき仕事の範囲、すなわち組織の役割と責任範囲をあらかじめ明確にしておく必要があります。

(6)組織への必要な権限の付与

 組織の長は、それぞれの組織に目標を達成するのに十分な権限を与えることが不可欠です。

 そうしなければ、組織にストレスが生まれ、モチベーションを下げてしまいます。

 組織のモチベーションを高めるためのハードルは、決して低くはありません。

 しかし、組織としてモチベーションが高まることは、個々の社員がお互いにモチベーションを高めあうことにつながるため、それが仕事の生産性に与える影響は、一社員のモチベーションの高まりとは比べ物にならないくらい大きなものになります。

 組織のモチベーションを高めることは、経営者および部門長を含めた上司にとって最も重要な課題の一つといえるでしょう。

     
(7)部門間の良好な関係の構築

 関係する組織間に良好な関係を築き、ほかの組織と仕事をする場合も社員がストレスなく仕事を進められる環境をつくる。
 

リーダーシップ

 リーダーは、コミュニケーションを通じた「和」を形成し、個人の能力を最大限に引き出し、組織目標の達成に向けたPDCA『Plan(計画)Do(実行)Check(評価)Action(改善)』を実行する役割や行動を担います。   

 リーダーとしての役割には、組織のコミュニケーションを図りながら、やる気のあるチームワークを作り出し、会議の場での議論を通して何かをやろうとする機運を高めたり、ビジョンや経営計画づくりに全員を参画させて経営参画意識を高めたり、組織全体を活性化させます。
 部下個々の目標を設定するに当って、それぞれの立場・能力を知った上で助言したり、達成に向けての動機啓発を行ったり、教育の機会を与えたりといったことがリーダーの役割になります。

 組織全体が一丸となって取組むべき全体目標では、各人が担う目標を達成させるために、目標・方針・戦略を明示し、共有化し、達成が困難なメンバーに改善点を指摘する といったことがリーダーの役割となります。
 組織のモチベーションを高めるためのハードルは決して低くはありません。

 しかし、組織としてモチベーションが高まるということは、個々の社員がお互いにモチベーションを高めあうことにつながるため、それが仕事の生産性に与える影響は一社員のモチベーションの高まりとは比べ物にならないくらい大きな効果となります。

 組織のモチベーションを高めることは、経営者および部門のリーダーを含めた上司にとって最も重要な課題の一つといえるでしょう。
 経営者にとって、リーダーとは、自分の経営理念を理解し、その実現のために高い能力をもって支援してくれる存在です。

規模や方針などによっては、経営者がすべてを掌握し、とくに管理者を置かない場合もありますが、事業規模が拡大したり組織化が進んだりした際に、片腕となって組織運営を行い、会社の発展を共に目指してくれる存在がいるというのは、大変心強く、大きな強みであるはずです。

 リーダーといっても いくつかの段階に分かれますが、最終的には経営者の理念や考え、気持ちを十分理解し、その意向に沿った方向に組織を導くことができ、また、経営者不在時には経営者の代わりとして業務を遂行できる存在です。

 

内容理論と過程理論

 モチベーション理論は、「人は何によって動機付けられるか」という動機付けの内容に注目した「内容理論」と、「人はどのようにして動機付けられるか」という動機付けの過程に注目した「過程理論」の2種類に分類されます。

内容理論
 内容理論では、行動の結果として得られる成果に対してどのような要因が影響を及ぼしているかという関係に注目します。

 代表的な理論としては、マズローの欲求5段階説ハーズバーグの動機付け・衛生理論があります。

 マズローの欲求5段階説とは、人間の欲求は低次のものから高次のものまで5段階に分けることができ、低次の欲求が満たされると高次の欲求が満たされるように行動するという説です。

 ハーズバーグの動機付け・衛生理論とは、人間の行動要因には「満足」「不満足」があり、「満足」によるものは次の行動への動機付け要因となりますが、「不満足」によるものは、状況を改善しても動機付け要因にはならないが、放置しておけば行動の阻害要因になってしまうという理論です。

過程理論
 一方、過程理論では、人間行動の認知的・合理的側面をより重視して、組織メンバーの意欲がどのようにして起こるのかを解明することを目的としています。

 代表的な理論としては、ブルームの期待理論、ポーター&ローラーの期待理論アダムスらの公平理論があります。

 公平理論は、報酬の分配にとどまらずに投入と結果にさまざまな要因をあてはめることによって、援助行動や親密な他者との魅力関係など多様な人間行動を説明できます。

 

バランスよく考える職務設計

成長に不可欠な職務拡大と職務充実を

 

 ハーズバーグの動機づけ・衛生理論(二要理論)、アージリスの未成熟・成熟理論、マクレガーのY理論にある通り、人は成長したいと願う欲求により動機の強さが大きく変化すると言えます。このことから、モチベーション向上には適切な職務設計が不可欠です。職務設計には、仕事の幅を軸とする「職務拡大」と仕事の深さを軸とする「職務充実」があり、自己実現の観点を考慮した場合「職務領域を、広く深くする」のが良いと考えられます。しかし、実際には、広く・深くなる職務は難易度が高いため、動機づけ要因が弱くなりがちです。これらを考慮してバランスの取れた広さと深さで職務設計をする必要があります。

 

動機づけ理論の効果的な応用

 仕事におけるモチベーション要因は近年複雑化しており、金銭的報酬だけで多様化するモチベーション要因を満たすのは難しい時代になっていると言えます。また、少子高齢化の影響からも、慢性的な人材不足が続いており、役職者として主要ポストに任命すべき人材の不足や中間管理職ポストの魅力が低下の一途を辿るなか、主観的価値に着目した報酬が不可欠であると言われています。

 従業員にとって、金銭的報酬や役職などの物理的報酬の魅力は一時的なものであり、その企業への愛社精神が育まれるだけの価値を持たなくなってきていることから、企業は、利益追求から物理的報酬に偏り評価するのではなく、従業員それぞれが持つ価値観を考慮した評価制度や報酬を取り入れることが不可欠であると言えます。

 次の順で組織体制や評価制度を策定することで、多様化するモチベーション要因の多くを満たすことができると考えられます。
 ① 部下が価値や魅力を感じる報酬を知る
 ② 日常のコミュニケーションから従業員との信頼関係を築く
 ③ 従業員のストレス削減を図る
 ④ 従業員それぞれの能力と資質(才能)に応じた目標設定を行う
 ⑤ 成果に対する魅力ある報酬の設定する
 ⑥ 職務遂行に向けた明確な戦略を策定する
 ⑦ 目標達成までの具体的な道筋をイメージさせる
 ⑧ 個々の従業員に目標達成に必要な裁量を与える
 ⑨ 従業員をよく観察し、目標達成に向け適切なサポートを行う
 ⑩ 定期的な面談を行い、対面で努力への称賛と承認を行う
 ⑪ 面談ではさらに客観的なフィードバックを行い、モチベーション維持や向上を図る
 ⑫ お客様の生の声をフィードバックするなど、客観的な評価も伝える
 ⑬ 成果に対し、承認欲求を満たす表彰制度や褒賞制度を設ける

 これらを実施することで、物理的報酬だけでは満たせない社員個人の価値観に基づく心理的報酬を満たすことができ、従業員満足度の向上を図ることができます。

 一方、多様化するモチベーション要因を全て満たすのは容易でないため、企業・組織・業種・業界・事業内容など、それぞれに適した「期待」と「誘意性」にアレンジして適応する必要があります。

 

 企業組織を構成するメンバーのモチベーションの度合いが、企業組織全体のパフォーマンスに大きな影響を及ぼし、最終的には顧客満足にも影響を与えます。

 メンバーのモチベーションをどのような要因で高めていくか、また、どのようにして引き出していくかは、組織のリーダーやマネージャにとって重要な課題となってきます。

 企業組織を構成するメンバーのモチベーションの度合いが、企業組織全体のパフォーマンスに大きな影響を及ぼし、最終的には顧客満足にも影響を与えます。

 メンバーのモチベーションをどのような要因で高めていくか、また、どのようにして引き出していくかは、組織のリーダーやマネージャにとって重要な課題となってきます。

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