リーダーシップを高めるトレーニング方法
リーダーシップはどのように開発をすればよいのでしょうか。
参考 『Works140号』リクルートワークス研究所
Step1 リーダーシップの意味・定義を考え直す
リーダーシップを「持って生まれた特性」と考えていた時代には、類まれなる特性を持っている人物の特定が最優先課題でした。しかし、現在、リーダーシップはどんな人物でも持つ能力という定義に変わっています。
・リーダーシップという能力開発により、組織を構成する全員がリーダーシップを発揮して仕事に取り組むことが目標達成の近道
・リーダーシップ開発の仕組みの再構築が求められている
といったように、リーダーシップの意味や定義をもう一度根底から考え直すことが、リーダーシップを高めることにつながります。
Step2 リーダーシップ開発をいつから始めるか決める
リーダーシップの開発は、一刻も早く着手すべきです。これもリーダーシップを高める方法の一つです。組織内で権威を持つポジションにたどり着く前の若手の時点から能力開発に着手すると、権限に頼らない真のリーダーシップが個々に定着します。
・目標設定
・目標とプロセスの共有
・率先
・規範
・支援
といったリーダーシップの要素を早い段階で身につけた人物が組織に多く配置されることで、組織全体も確実に進化を遂げられます。個々人及び組織のモチベーションも高まるでしょう。いかに早く能力開発を行うかが鍵となるのです。
Step3 開発プログラムの構築
リーダーシップの能力開発プログラムは、実践的かつ論理的に行うことがポイントです。
ビジネスにおけるスキルは、実践で生かされてこそのスキル。当然、リーダーシップに関しても、プロジェクトなどを通して実践的な側面を肌で感じることが必要でしょう。
しかし、それだけではスキルの定着は図れません。講義やグループワーク、ペアセッションといった機会を設け、実践で感じた問題点や課題を掘り下げ、リーダーシップに関する判断的思考力を学ぶ必要があります。
実践と論理、両方のスキルを3年程度の期間で学べるプログラムを構築するとよいでしょう。
Step4 個々人に自己認識を促す
自分とは何かを知ることで、組織内でリーダーシップを生かせる自分を創造する、つまり、自分にはどのような強みや弱みがあり、それをどう生かせば組織内で自分らしく振る舞いながらリーダーシップが発揮できるのかを考える方法です。
自己認識を繰り返し行っていけば、自己受容の余裕が生まれます。そして、「スーパーマンのような完全な人間は存在しない」ということが理解できれば、それが他者受容の土壌を養うことにつながります。チームメンバーそれぞれが、自己を受け入れ他者を認めることができる土壌にリーダーシップの芽は生まれるのです。
Step5 個々人にリーダーシップ行動を促す
リーダーシップの能力開発は、一朝一夕にはいかないものです。最初から理想のリーダーシップを求めても、個人や組織はなかなかその通りに動けません。
・プロジェクトの一部を自由裁量にする
・目標までのプロセスの構築は任せる
・スケジュールの調整を委ねる
など、小さな積み重ねからリーダーシップを育んでいきましょう。任せられた部下は、責任を持って課題に取り組み、上司は部下を信じていという安心感を増していくことができます。お互いの信頼関係を一つずつ構築しながら、リーダーシップ能力を育むことが、リーダーシップ開発の近道でもあるのです。
Step6 「全員によるリーダーシップ」を浸透させる
組織は個人の集まりですが、一人でもリーダーシップの考えを欠いた人物がいれば、歯車は狂います。つまり、リーダーシップの意識は組織にいるメンバー全員に浸透させることが大切です。
そのために、組織の目標や行動指針にリーダーシップを盛り込んだり、具体的なアクションプランにリーダーシップが発揮できる場面を組み込んだりします。
そうすれば、スムーズに行動の変容が促され、自然とリーダーシップを組織全員が発揮でき、組織全員のリーダーシップ能力は効率よく開発できるようになるでしょう。
Step7 マネージャーの役割を再定義する
マネージャーといったリーダー的なポジションにいる人は、上司からの指示を部下に伝え、部下が指示通りの行動を忠実に行えるかを管理しがちです。しかし、それではリーダーシップ能力は開発されません。リーダーである者は、部下のリーダーシップ能力の開発こそが真の役割です。
・部下自らで考えさせる
・組織全員に考える機会を与える
・自分たちで考えたプロセスの実行を見守る
・自ら設定した課題達成のためのアクションに賞賛とアドバイスを与える
このような行為こそが、リーダーの役割です。マネージャーの役割を改めて定義する必要があるでしょう。
Step8 リーダーシップを発揮しやすい組織文化をつくる
リーダーシップは企業内のさまざまな組織で日々生まれています。しかし、せっかく芽吹いたリーダーシップの芽を、大きな木々にしていく組織文化がないために枯らせてしまうケースがあるのです。
ヒエラルキーが横行した組織内で階層ごとに能力開発を行うのではなく、新入社員も中堅社員も管理職もいる組織全体、さらに、組織や部門を超えてリーダーシップが発揮できる風通しの良い組織文化・企業社風を創造することが大切です。
社員一人ひとりの正しい評価が目標達成につながることを認識しましょう。
Step9 お互いのリーダーシップを高め合う組織文化をつくる
どんなプロジェクトでも求められるのが「PDCA」です。リーダーシップ能力開発においても、「PDCA」は欠かせません。
能力開発の仕掛けをプランニングして実践、その結果を考察してフィードバックすることは、お互いのリーダーシップを高め合う一番の方法です。
「上司だから言えない」「雰囲気を壊すから言わない」といったネガティブな組織文化においてフィードバックはできません。
組織に所属する全員が心を開き、「上司が部下に」「同僚同士で」「部下から上司に」、賞賛されるべき結果、改善すべき問題点などを自由闊達に話せるような組織文化を構築しましょう。