雇用保険の失業給付

 雇用保険の「基本手当」は、雇用保険の被保険者の方が、定年、倒産、契約期間の満了等により離職し、失業中の生活を心配しないで新しい仕事を探し、1日も早く再就職していただくために支給されるものです。

 失業保険は失業状態であることが必須資格です。

失業とは・・・
 離職した人が就職しようとする気持ちと、いつでも就職できる能力があり、積極的に就職活動を行っているのにも関わらず、職業に就くことができない状態である。

 雇用保険の「基本手当」は、雇用保険の被保険者が離職して、次の1.及び2.のいずれにもあてはまる場合に支給されます。
1. ハローワークに来所し、求職の申込みを行い、就職しようとする積極的な意思があり、いつでも就職できる能力があるにもかかわらず、本人やハローワークの努力によっても、職業に就くことができない「失業の状態」にあること
2. 離職の日以前2年間に「被保険者期間」が通算して12ヵ月以上あること

 倒産・解雇等により離職した方(「特定受給資格者」又は「特定理由離職者」)については、離職の日以前1年間に、被保険者期間が通算して6ヵ月以上ある場合でも可です。

雇用保険の被保険者とは・・・
 雇用保険の適用事業に雇用される労働者は、次の1.及び2.のいずれにも該当する場合には、原則としてその意志にかかわらず当然に被保険者となります。
 1. 31日以上の雇用見込みがあること
 2. 1週間の所定労働時間が20時間以上であること

被保険者期間とは・・・
 雇用保険の被保険者であった期間のうち、離職日から1ヵ月ごとに区切っていた期間に賃金支払いの基礎となった日数が11日以上ある月を1ヵ月と計算します。

給付日数

(1) 特定受給資格者、特定理由離職者  会社都合(倒産、人員整理、リストラ)等により離職を余儀なくされた方や、雇い止めなどやむを得ない理由により離職された方

 

被保険者期間

1年未満

1年以上 5年未満

5年以上 10年未満

10年以上 20年未満

20年以上

30歳未満

90日

90日

120日

180日

30歳以上35歳未満

90日

90日

180日

210日

240日

35歳以上45歳未満

90日

90日

180日

240日

270日

45歳以上60歳未満

90日

180日

240日

270日

330日

60歳以上65歳未満

90日

150日

180日

210日

240日

(2) 一般受給資格者 自己都合により離職された方および定年退職者の方

 

被保険者期間

10年未満

10年以上 20年未満

20年以上

全年齢共通(65歳未満)

90日

120日

150日

(3) 就職困難者  身体障害者、知的障害者、精神障害者及び社会的事情により就職が著しく阻害されている方

 

被保険者期間

1年未満

1年以上

45歳未満

150日

300日

45歳以上65歳未満

150日

360日

 支給額
 雇用保険で受給できる1日当たりの金額を「基本手当日額」といいます。
 この「基本手当日額」は原則として離職した日の直前の6ヵ月に毎月きまって支払われた賃金(賞与等は除く)の合計を180で割って算出した金額(「賃金日額」)のおよそ50~80%(60歳~64歳については45~80%)です。賃金の低い方ほど高い率となっています。

 基本手当日額は年齢区分ごとにその上限額が定められております。

         (平成27年8月1日現在)

 

上限額

30歳未満

6,395円

30歳以上45歳未満

7,105円

45歳以上60歳未満

7,810円

60歳以上65歳未満

6,714円

受給期間
 雇用保険の受給期間は、原則として離職した日の翌日から1年間です。
  (所定給付日数330日の方は1年+30日、360日の方は1年+60日)

 倒産や解雇などの理由により離職された方(特定受給資格者)や期間の定めのある労働契約が更新されなかったことにより離職された方で、次の①~③のいずれかに該当する方について、特に再就職が困難だと公共職業安定所長が認めた場合は、給付日数が60日分延長されます。
① 受給資格に係る離職日において45歳未満の方
② 雇用機会が不足している地域として指定する地域に居住する方
③ 公共職業安定所で知識、技能、職業経験その他の実情を勘案して再就職支援を計画的に行う必要があると認められた方

 再就職手当受給後に倒産等により再離職した者については、一定期間受給期間が延長される場合があります。

求職の申し出
 退職した会社から「雇用保険被保険者離職票-1」と「雇用保険被保険者離職票-2」をいただき、居住所を管轄するハローワークへ必要書類を持参し、求職の申込みをします。

(持参するもの)
 ・「雇用保険被保険者離職票-1」
 ・「雇用保険被保険者離職票-2」
 ・印鑑
 ・写真(縦3cm×横2.5cmの正面上半身のもの)×2枚
 ・本人確認、住所及び年齢を確認できる官公署の発行した写真つきのもの (運転免許証、住民基本台帳カード(写真つき)等)
 ・本人名義の普通預金通帳

 求職の登録を行いますと、受給資格者のしおりを渡され、次回の「雇用保険説明会」の日時が知らされます。
 説明会は失業保険を受給するためには絶対参加となります。主に雇用保険制度の解説・ハローワーク施設の利用方法などの説明があります。
 説明会が終わると、「雇用保険受給資格者証」が交付され、第1回目の失業認定日が知らされます。

 受給資格が確認され決定された方について、原則として4週間に1回、指定された日にハローワークに行き、失業認定申告書を提出して、失業の認定を受けていただく必要があります。
 失業認定申告書とは、前回の認定日から4週間の間の求職活動状況、収入のありなしなどを記入する書類です。失業保険の受給資格を証明する重要な書類です。この書類に嘘を記入し、万が一それが発覚した場合は失業保険の不正受給とみなされます。

 ハローワークへ離職票を提出し、求職の申込みをした日(受給資格決定日)から通算7日間の待期期間中は支給対象となりません。  

 会社都合等の場合、待期期間経過後失業状態であれば基本手当が支給されます。
 自己都合等の場合は、待期期間経過後さらに3ヵ月の給付制限があります。

失業等給付の給付制限期間が「3ヵ月→2ヵ月」に変更

 給付制限が「2ヵ月」となるのは、5年間のうち2回の離職まで

 なお、自己の責めに帰すべき重大な理由によって解雇された場合、又は正当な理由がなく自己の都合により退職した場合は、待期の満了の日の翌日から起算して1ヵ月以上3ヵ月以内の間は 基本手当は支給しない。

受給期間延長の申出
 雇用保険の受給期間の間に病気、けが、妊娠、出産、育児等の理由により引き続き30日以上働くことができなくなったときは、受給資格者の申出によって基本手当の受給期間を最大4年間まで延長できます。
 延長できる期間は最長で3年間です。
 (所定給付日数330日及び360日の方の延長できる期間は、それぞれ最大限「3年-30日」「3年-60日」ということになります。)

 この措置を受けようとする場合には、上記の理由により引き続き30日以上職業に就くことができなくなった日の翌日から起算して1ヵ月以内に住所又は居所を管轄するハローワークに届け出なければなりません。

 

不正受給
 偽りその他不正の行為で基本手当等を受けたり、又は受けようとした場合には、以後これらの基本手当等を受けることができなくなるほか、その返還を命ぜられます。
 更に、原則として、返還を命じた不正受給金額とは別に、直接不正の行為により支給を受けた額の2倍に相当する額以下の金額の納付を命ぜられることとなります。

(不正受給の典型例)
・実際には行っていない求職活動を、「失業認定申告書」に実績として記すなど偽りの申告を行った場合
・就職や就労したにもかかわらず、「失業認定申告書」にその事実を記さず、偽りの申告を行った場合
・自営や請負により事業を始めているにもかかわらず、「失業認定申告書」にその事実を記さず、 偽りの申告を行った場合
・内職や手伝いをした事実及びその収入を「失業認定申告書」に記さず、 偽りの申告を行った場合
・会社の役員に就任(名義だけの場合も含む。)しているにもかかわらず、「失業認定申告書」 に記さず、偽りの申告を行った場合
・定年後、「積極的に就職しようとする気持ち」や「いつでも就職できる能力(身体的・環境的)」 がなく、しばらく失業給付を受け、受給終了直後に年金を受給しようと考えている者が、「失業認定申告書」により偽りの申告を行った場合

傷病手当 は こちら

技能習得手当 は こちら

寄宿手当 は こちら

高年齢求職者給付金 は こちら

特例一時金 は こちら

教育訓練給付金 は こちら

 

 失業問題は、単に政府の無策のせいではなく、労働市場の需要と供給の問題であり、教育や訓練によって供給側(雇用される側)の質を高める必要がある。失業者とその予備軍は、労働市場における自分の価値を高めるための自己教育に投資することが最も賢明と思います。

国家による失業補償

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