皮肉度と認知症

 「皮肉な人はそうでない人よりも3倍の確率で認知症になりやすい」という研究結果を、フィンランドの研究チームが2014年発表した。

 皮肉主義や悲観主義は以前から心臓病等の病気と相関すると見られていたが、認知症との相関が指摘されたのは今回が初めて。この研究結果は学術誌「Neurology」に掲載された。研究では平均71歳の男女1500人を対象に「皮肉度」を計るためにアンケートを実施、その後8年間、対象者の健康を監視し続けた。その結果、「人は利己主義に基づいて行動するものであり、目的のためには平気で嘘もつく」と信じる人には、壮・老年期に認知力の著しい低下が見られた。「皮肉度が最も低い」とされた212人のうち認知症になった人は9人だったのに対し、「最も皮肉度が高い」とされた164人では、そのうち14人が認知症になった。

 研究に携わったトルパネン博士は「この研究結果は、個人の人生観や性格がその人の健康に影響を与えるということに対する証拠となるでしょう」と述べている。

 同研究について、統計的に確立された結果を導き出すにはさらに多くの対象者をベースに研究をすべきとの批判もあるが、認知症と、人生観・性格の相関から、これらの治療法や介護サポートの改善に繋がるのではと、一定の評価も得ている。

 この研究で注目すべきは、皮肉や悲観といった「心」と認知力低下の関係が示された点だ。

 大川隆法・幸福の科学グループ創始者兼総裁は、『超・絶対健康法』(幸福の科学出版)で、「病気の約七割は心に原因がある」と述べている。逆に言えば、心を見つめれば、病気のほとんどは治るということでもある。

 また、認知症の原因として、『奇跡のガン克服法』(幸福の科学出版)で、「人生を振り返ってみて思い出したくないような不幸な記憶の方が多いと、その記憶を薄めていきたくなり、認知症など脳の病気にかかりやすい」と指摘している。

 皮肉屋で幸福な人が少ないことを考えると、やはり心と病気は深い関係があると考えさせられる。

 人間は霊的な存在であり、心の作用が肉体に影響を及ぼしている。ゆえに、人を機械のように扱う今の医学にはやはり限界がある。

 医学は長らく唯物的な視点から病状を分析するのみで、心や精神が病気に与える作用を軽んじる傾向にあったが、こうした研究が増えることによって、心や霊的な視点を踏まえた医学が発展することを願いたい。

参考