自閉的な人をサポート

努力すれば人間は変わる

 自閉症といわれたとしても、ほんとうに病気かどうか、疑ってみてもよいのではないかと私は思います。

 医者はよくレッテルを張るのですが、レッテルを張って分類すると、それで終わったような気になります。

 また、レッテルを張られた人も、自分が何かに分類され、「私はこの病気なのだ」と思うと、それですっきりして、納得してしまうのです。

 しかし、医者が何と言おうと、やはり、人間は人間として生きていかなければならないのです。何かレッテルを張られ、それで解決したような気になってはいけません。

 宗教による救いの対象になるような人も、医学的に分類すると、いろいろと病名がつくこともあります。そして、それがほとんど治らないような言い方をされることもあります。

 しかし、「そんなことはないでしょう」と思います。この世的には、そのように見るのかもしれませんが、人間は変わらないのであれば、私が人々に説法をする意味がなくなります。

 医学的にはいろいろな言い方はあるでしょうが、やはり、努力すれば人間は変わるものなのです。そう思わなければいけません。

 心に関する病気というのは、程度や傾向は違いますが、多かれ少なかれ、だれもが持っています。したがって、それを分類して、それで済むものではないのです。

 自分に「こうしたい」と思う気持ちがあるのならば、努力して、その方向に一歩を進めていくことが大事です。

 人と面談したりするのが苦手という人は世の中に大勢います。しかし、ある程度、場数を踏めば、慣れて楽になります。苦手なことでも、あえてやってみれば、恐怖心がなくなることもあるのです。

参考

 「自閉症の原因は脳にある」と聞いたことがあるかもしれない。しかし、ハーバード大学出版の発行する雑誌Cerebral Cortexにこのほど掲載された、イスラエルの研究者シャロミ・ハー氏らの論文によれば、自閉症の人の脳と、一般的な脳とでは構造にほとんど違いがないことがわかった。この論文の結論は、「脳」に原因を帰す態度を見直すきっかけになることでしよう。

 これまでの研究では、自閉症の人の脳は通常の脳と比べて、脳梁や小脳、扁桃体や海馬などの構造に違いがあると論じられてきた。しかし、シャロミ氏らが自閉症の人約500人と対照グループ約500人の脳データを調べたところ有効な違いは見られなかった。500人規模の研究というのは、自閉症研究では非常に大規模だというが、これまでの研究は対象者の数が少なすぎて、科学的な信頼性が低かったのだという。

 「自閉症」の症状には、他者との人間関係を築けなかったり、強いこだわりによって日常生活を送ることに支障が出たりするものなどがある。また、計算や言語力、記憶力で卓越した能力を持ちながら、平凡なことができなくて苦しむ例もある。これらの原因が「脳」にあると考えられていたために、薬物療法なども試みられてきた。

 もちろん、脳の構造が同じでも、自閉症の人が他の人と違う脳の使い方をしている可能性はあるだろう。ただ、自閉症を理解する前提として、人間の意識や心の本質は、あくまで体に宿った「魂」であり、脳は情報のコントロールセンターに過ぎないことを知る必要がある。

 周囲の人と同じ行動を取らないことをもって「異常」と捉えたり、「障害」というレッテルを貼るのではなく、魂が持つ「強烈な個性の現れ」であると考えることが第一歩となる。

 自閉症の子供の中には、暴れたり、家を飛び出したりと、抑えが効かなくなるケースもある。こうした行動については、自分の思いや考えを相手に伝わるように上手く表現できないことの苦しみを表している可能性もある。また、家族にとっても、強い個性を持った子供を育てることは、実は魂の器を広げる修行につながる。

 霊的な視点を持ちながら人と違った個性や長所を認めることが、「自閉症」とされる人々を適切に理解し、支援するための前提となるでしょう。