仕事は人間の幸福の一つの大きな要素

 政府が働く人々に対して「ストレスチェックをする」と言ってしまうと、場合によっては「働くと、ストレスが生まれる」という認識がまかり通ってしまう。スイス人思想家のカール・ヒルティは自著『幸福論』の中で、「仕事は、人間の幸福の一つの大きな要素である」と説いた。ストレスなどの仕事の負の側面よりも、仕事のやりがいや働くことの楽しさ、社会の役に立つ喜びが世の中に広く実感されることが望ましい。

 そもそもストレスの原因となる悩みや苦しみは、宗教的に見れば、心を磨き、人格を向上させる材料である。人間の本質は「心」であり、多くの学びを求めて、あの世からこの世に生まれ変わってくる。そこで出会う悩みや苦しみには必ず意味があり、人生という一冊の問題集を解く中で、心の糧となっていく。悩みや苦しみが単に人生に邪魔なものではないと捉えることは、ストレスをコントロールする力にもつながるだろう。

 第一に、政府は不必要な法改正によって企業に介入し、活動を委縮させるべきではない。第二に、仕事に対して積極的な意味にも注目し、各企業・各人が潜在的な力を発揮できる環境を作るべきです。