ワームホールを使ったタイムマシン

ワームホールとは  

 ワームホールという言葉は、アメリカの物理学者ジョン・ホイーラーが考案した言葉である。ブラックホールという言葉も彼が考案した。ワームホールとは、時空の異なった2点間を結ぶ抜け道である。理論上では、時空の異なった場所にできたブラックホールをつなげて、ワームホールを作ることができる。しかし、それぞれの入り口は、ブラックホールなので、再び外に出ることはできず、ワームホールを通り抜けることはできない。そこで考えられたのが、負のエネルギーを持った物質でワームホールを作ることである。負のエネルギーの物質ではブラックホールにならず、ワームホールを通り抜けることができる。

 SF小説でおなじみのタイムトラベルや、離れた場所に瞬間移動するワープ航法につながるとされる時空の抜け道「ワームホール」が、実在するか検証する方法を、名古屋大学太陽地球環境研究所の阿部文雄准教授(宇宙物理)が編み出した。米科学誌に論文が掲載された。ワームホールは、アインシュタインらが1935年に初めて導入した理論上の存在です。人間が穴を通り抜けられれば、光速を超えて移動したり、過去や未来に行けたりできるという説も唱えられている。だが、実際に存在するかどうかを検証する方法がなかった。阿部准教授は、地球から離れた星の手前を、別の天体が横切る際、その天体の質量の影響で星の光がゆがんで進むことにより、地球から見た星の明るさが一時的に強まる現象「重力マイクロレンズ」に着目した。この場合、天体が離れれば光は元に戻る。  一方、質量はないが、天体と同様に周辺の時空をゆがめるとされる ワームホール について計算したところ、同じ状況では、星の光は波のように弱まったり、強まったりする特徴があることがわかった。

 

タイムトラベルの方法  

 まず、ワームホールを生成する。この時点を0時とすると、A地点とB地点は、同時刻でどちらも0時である。次に、B地点のワームホールを光速に近い速度でC地点へ移動する。光速に近い速度で移動すると時間が遅れるため、たとえば、A地点が3時だったとすると、C地点のワームホールは2時になる。次に、C地点のワームホールを光速に近い速度でB地点へ戻す。B地点のワームホールの時刻はさらに遅れ、A地点が6時だったとすると、B地点のワームホールは4時になる。  タイムマシンで、A地点から出発し、B地点でワームホールに入り、A地点へ戻ってくると、B地点のワームホールは、2時間前のA地点とつながっているので、2時間前のA地点へタイムトラベルすることができる。