花粉症は「森のSOS」

 花粉症が戦後の誤った林業政策による「人災」であることはあまり知られていない。

 戦後の復興で住宅建設が進み、木材需要が高まり、スギなどの植林が増えていった。その後、需要のピークが過ぎ、国内に外国産の安い木材が入ってくると、しだいに林業は衰退していく。

 例えば、東京の多摩地域には、東京ドーム6500個分に当たる約3万ヘクタールの人工林があるが、大部分は花粉を出しやすい古い木。そこから都心へと花粉が多く飛来しており、その量は増加傾向にある。

 管理者が間伐せずに森を放置した結果、質の悪い木が密集して生えるようになり、花粉が多く舞うようになった。東京都は、年間50~60ヘクタールの人工林の伐採などを行っている。だがこのペースだと、すべてをやり遂げるのに500年かかる。対策予算も7億円(2016年度)にすぎず、花粉症を根絶するのは夢のまた夢である。

 「やらないよりはやった方がいい」(東京都花粉症対策本部)とのことだが、いわば花粉症は、山の管理が行き届いていないことを知らせる「SOS」。「公害問題」として認識し、対策に本腰を入れるべきです。

 

40万人の雇用を創出

 花粉症を根本的に解決するには、衰退する林業へのテコ入れによる「森林の健全化」が必要です。ただ、「いまさら林業をやっても儲からない。花粉症をなくすために巨額の税金をかけるのか」と思う人も多い。

 日本の林業政策を変えることで、少なくとも40万人の雇用を生む可能性がある。林業の立て直しは、環境保全や防災、鳥獣被害の防止にもつながる「一石四鳥」の政策でもあり、良いこと尽くめである。

 日本も林道をしっかり整備すれば、間伐や植林が計画的に行えるようになり、森林が生き返って過剰な花粉の飛散を抑えることができる。そうすれば、稼げる人も増え、管理を放棄する人も減っていくでしょう。

 

花粉症対策という社会貢献

 一方、最近、インフラがなくても森林を保全するものとして注目されているのは自伐型林業です。

 数日の研修を受ければ、基本的な作業を習得でき、誰でも個人で林業に参入できる。高齢者や女性も、自分のできる範囲で林業を行うだけで、補助金なしで数百万円を稼げるという。

 世界や地方に目をやると、林業を立て直す知恵がある。政治家が、「花粉症ゼロ」という社会的使命を掲げ、林業で稼げる持続的なモデルをつくれば、花粉症をなくすことができる。

 森の元気を取り戻せば、国民が花粉におびえることなく、生き生きと仕事ができるようになる。

 

スギの伐採で住宅・雇用・花粉症の問題を一気に解決

 今後は、木造の仮説住宅も建てるでしょうし、自宅を木造で建て直す人もいるでしょう。一方では、多くの人が花粉症で悩んでいます。これらを一気に解決するために、花粉症の主な原因であるスギから、優先的に切り倒してしまうことです。

 『木を一斉に切ったら、山が大変なことになる』と言う人もいるかもしれませんが、今は、品種改良が進み、花粉の飛散量が少ないスギや、ほとんど飛散しないスギ(無花粉スギ)が開発されているので、それを植林すればよいと思います。

 このように、『スギの木を切り、製材する仕事』もあれば、『花粉の飛散が少ない新しい種類の木を植える、植林の仕事』もあるので、雇用を非常に拡大していくことができる。

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