雇用調整助成金の特例措置

新型コロナウイルス感染症の影響を踏まえた特例

 今回の特例措置は、新型コロナウイルスの影響により業績が悪化したなどの理由によって事業主が従業員を休ませた場合に、その支払った休業手当の一部を助成するものです。

 国内では、新型コロナウィルスの感染拡大防止に向け、全国47都道府県全てに対し緊急事態宣言が発令されています。

 自治体の休業要請による事業活動への影響も取りざたされるなか、従来の雇用調整助成金では雇用維持に向けた支援としては十分とは言えない状況となった。厚生労働省は、雇用調整助成金の内容を期間限定で大幅に拡充する「雇用調整助成金の特例」を設けました。

 厚生労働省は、以下のような理由で休業などを行った事業者が助成対象になるとしています。

 ・取引先が新型コロナウイルスの影響を受けたため、受注量が減り、事業活動が縮小した

 ・行政からの営業自粛要請を受け、自主的に休業を行い、事業活動が縮小した

 ・市民が外出を控えたため、客数が減少した

 ・風評被害による観光客の減少で、客数が減少した

 ・従業員が新型コロナウイルスに罹り、自主的に事業所を閉鎖したため事業活動が縮小した

 

対象となる休業

 2020年4月1日から6月30日までにさせた休業が対象となります。

休業等規模要件の緩和(令和2年1月24日まで遡って適用)

 今回の特例では、事業所単位でみて、①雇用保険被保険者のみ、②雇用保険 被保険者以外の者(所定労働時間 20時間未満の者)のみ、③雇用保険被保険者と被保険者以外の合算、のいずれかの休業等の延日数が、対象労働者の所定労働日数の中小企業 1/40、大企業 1/30 以上と要件を緩和しました。

 

対象事業主

 通常、事業所設置後1年以上が経過した事業主が対象

 →事業所設置後1年以上という要件を撤廃

 本来、雇用調整助成金では事業所設置後1年以上の事業主が申請の対象となりますが、特例措置では、この要件を撤廃し、少なくとも2019年12月から事業所を設置している事業主であれば申請を行う事が可能です。この場合、売上減少の確認のための比較は 2019年12月度の売上を基準に行う事になります。

風俗関連事業者も限定なく対象とする

 通常の場合は、風俗営業等の規制及び業務の適性化等に関する法律第2条第5項に規定する「性風俗関連特殊営業」又はこれらの営業の一部を受託する営業を行う事業主は、助成の対象外としていました。今回の特例では、緊急対応期間分については、労働者の生活支援の要素が特に強いことを踏まえ、風俗関連事業者も限定なく対象とすることとします。

 

対象労働者

 通常、6ヵ月以上継続雇用される雇用保険被保険者が対象

 →雇用保険の適用を受けない労働者が特例措置で助成対象に

 本来、雇用調整助成金は、雇用保険の適用を受ける労働者が6ヵ月以上の継続勤務を行った場合に適用対象となる制度ですが、今回の特例措置では、新卒社員など継続雇用期間が6ヵ月に満たない労働者についても助成の対象となります。

 ただし、雇用保険被保険者となる労働者を雇用しているにも関わらず、未適用だった場合には、適用の手続きをしていただく必要があります。

 週20時間未満のパートや学生のアルバイト等、雇用保険に加入していなくても、事業主と雇用関係にある労働者に対しても同様の助成を行う事としています。

家族従事者が他の労働者と同じ条件で雇用している場合

 家族従事者の雇用実態が、雇入時に労働条件を明示した書面、出勤簿、給与簿、給与の支払い実態などによって確認されれば、雇用調整助成金の対象となり得ます。

 内定後、1日も勤務していなかったとしても助成金の対象となります。

 解雇予告した労働者の休業については、助成対象外となります。

 雇用保険被保険者の雇用量の最近3ヵ月の平均値が、前年同期比で一定程度増加している場合は、助成対象とはなりません。

 今回の特例では、その要件を撤廃し、最近3ヵ月の雇用量が対前年比で増加している事業主も対象とします

 対象となる休業等の延べ日数について、対象労働者に係る所定労働日数の1/40以上(中小企業)、1/30以上(大企業)である必要があります。

 

生産指標要件の緩和

 直近1ヵ月の売上高等が前年同期比5%以上減であること

 生産指標の確認期間を3ヵ月から1ヵ月に短縮します。

生産指標とは

 販売量、売上高等の事業活動を示す指標のことです。

 通常は、生産指標の減少(10%以上の低下)を、初回の休業等の届出前の3ヵ月間について、対前年比で確認しています。今回の特例措置では、休業等を実施する対象期間の初日が緊急対応期間(令和2年4月1日から令和2年6月30日までの期間)にある場合には、生産指標の確認は、申請書の提出があった月の前月と対前年同月比で確認します。前年同期に比べ5%以上減少した場合には、生産指標の支給要件を満たすことになります。

 生産指標要件に当てはまらない場合は、休業手当は雇用調整助成金の対象外となります。(なお、感染者には別途健康保険制度から傷病手当金が支給があります。)

 

助成率

 中小企業 4/5  大企業 2/3

 以下の要件で助成率アップとなりました

 ①1月24日から実際に休業する判定基礎期間(賃金締切期間)の末日まで従業員を解雇していない  

 ②その期間の月平均労働者数と比して末日の労働者数が4/5以上 という条件を満たすこと

 中小企業 9/10  大企業 3/4

 新型コロナウィルス感染症の影響による売上の低下はどの産業分野でも著しく、店舗などが自治体の営業自粛の要請などに従って休業している場合には、売り上げは100%減となります。そこで、特例措置では、事業所の完全休業等でも事業主が雇用の維持が出来るよう、従業員の解雇を行わない場合に、最大9/10(中小企業)の助成を行う事としました。

従業員の「平均賃金」が 8,000円 として

1 60%休業手当支払いの場合

   休業手当 8,000円 × 60% = 4,800円      

   4,800円のうち90% を国が助成

   助成額 4,800円 × 90% = 4,320円

   事業主負担は 4,800円 - 4,320円 = 480円  

2 60%を超えて休業手当支払いの場合

例)80%休業手当支払い

   休業手当 8,000円 × 80% = 6,400円      

   6,400円のうち60%(4,800円)については、上記1のとおり90%(4,320円)を国 が助成

   60%を超える部分については、国が100%助成

    (6,400円 - 4,800円)× 100% = 1,600円

   助成額は 4,320円 + 1,600円 = 5,920円  

   事業主負担は 6,400円 - 5,920円 = 480円

3 100%休業手当支払いの場合

   100%国が助成

   助成額 8,000円

   事業主負担は 0円

雇用調整助成金特例措置の更なる拡大

 雇用調整助成金の助成額は、「平均賃金額」を用いて算定していますが、小規模事業主(従業員が概ね20人以下)は「実際に支払った休業手当額」により算定できます。

  実際の休業手当額による助成額の算定

  = 「実際に支払った休業手当額」×「助成率」

助成額の限度

 1人1日当たり最大 8,330

 

教育訓練の加算

 対象従業員に教育訓練を実施したときは、1人1日当たり2400円(中小企業)、1800円(大企業)が加算されます。

 今回の緊急対応期間の特例では、休業等を余儀なくされる企 業が多いなか、今後の事業活動の回復拡大に向けて、この時期を従業員のスキルアップの好機ととらえ、積極的に従業員の教育訓練を行うよう企業の取り 組みを促進する等の考えから増額しました。

事業所内で研修を行う場合

 事業所内で行う教育訓練において、自社の従業員が講師として研修を行う場合は、その者は通常の勤務となるため、助成金の対象とはなりません。

 →自宅での教育訓練等を可能とする

 新型コロナウイルス感染症の拡大防止のため、3密状態を避けることが求められており、教育訓練を事業所内や外部の教育機関に集合して行うなどの 通常の形態で実施することが困難な状況に鑑み、自宅等で行う学習形態(インターネット等を用いたものも可能)の教育訓 練も対象としました。

 接遇・マナー研修、パワハラ・セクハラ研修、メンタルヘルス研修などの 職業、職務の種類を問わず、一定の知識・ノウハウを身につける教育訓練も対象としました。

 繰り返しの教育訓練が必要なもので、過去に行った教育訓練を同一の労働者に実施する場合も対象としました。ただし、支給対象期間内における再訓練は認めない。

 自宅等で実施するなど、教育訓練を通常と異なる形態で実施する場合には、その企業において、通常の教育カリキュラムに位置づけられている初任者研 修等の教育訓練も対象としました。自宅等でインターネット等を用いた双方向での訓練を実施するなど、教育訓練を通常と異なる形態で実施する場合には、社内において教育的立場にあり、一定程度の知識、実務経験を有する自社職員を指導員とする教育訓練も対象としました。

 半日教育訓練と半日就業を可能としました。

 

支給限度日数

 これまでの1人につき 1年間100日、3年間で150日 とは別に、緊急対応期間(2020年4月1日から6月30日まで)の日数も追加されます。

 

雇用調整助成金の利用歴に関わらず休業などを支援

 雇用調整助成金には、1年間で最大100日、3年間で150日までという支給限度日数の設定があるほか、前回利用時から1年の間隔(クーリング期間)が無ければ再度申請を行う事は出来ないという要件があります。

 特例措置では、対象期間中の休業などは支給限度日数に加算されず、クーリング期間についても適用を受けない。

 1年以内に雇用調整助成金の利用歴がある事業者の方や、残り日数が少ない事業者の方でも制度を利用できます。

 

休業と残業の相殺は行わない

 今回の特例措置は、サービス産業などで多くの利用が見込まれ、これらの業界は、勤務時間や勤務形態が多様でシフト制の勤務も多くみられ、事業所によっては、一日の業務の繁忙の波が大きく、一部の従業員が残業せざるを得ない状況があることから、残業相殺を停止することとしました。

 

労働保険料の滞納や、労働関係法令違反に係る不支給要件は適用しない

 労働保険料の未納や労働関係法令違反で不支給要件に該当していても、新型コロナウイルス感染症の拡大が見られる状況下において、雇用維持を最優先とした緊急時の対応であることから、 労働保険料の未納や労働関係法令違反の不支給要件に該当していても、特例的に利用いただくことが可能です。ただし、一定の条件があります。

 

短時間一斉休業の要件の緩和 (令和2年1月24日まで遡って適用)

 支給対象となる休業は、原則終日休業であるが、事業所における対象労働者全員について1時間以上一斉に行われるものを短時間一斉休業として助成対象としてきました。しかし、事業所によっては、対象労働者全員を一斉に休業できない事情があることから、短時間一斉休業の要件を緩和することとしました。

・立地が独立した部門ごとの一斉短時間休業

  例:客数の落ち込んだ店舗のみの短時間休業、製造ラインごとの短時間休業

・常時配置が必要な者を除いての短時間休業  

  例:ホテルの施設管理者等を除いた短時間休業

・同じ勤務シフトの労働者が同じ時間帯に行う短時間休業  

  例:8時間3交代制を6時間4交代制にして2時間分を短時間休業と扱う

 

申請の受付

 支給申請は、休業を実施した判定基礎期間の翌日から2ヵ月以内に提出してください。

 申請の受付は、最寄りの都道府県労働局 または ハローワークです。

 助成金窓口で受け付けているほか、郵送でも受付けています。

 支給申請を提出した管轄労働局又はハローワークから、支給決定または不支給決定の通知書を事業所宛にお送りします。

支店ごとに雇用保険の適用事業所番号がある場合

 雇用保険の適用事業所ごとに申請が可能です。この場合、生産指標要件は支店ごとに生産指標を確認します。全支店の売上げの合計は必要ありません。

 

申請に必要な書類

①雇用調整実施事業所の事業活動の状況に関する申出書(様式特第4号)

  新型コロナウイルス感染症の影響によって、休業を余儀なくされている旨を記載します。前月の売上高と前年同月の売上高を記入します。

  (前年同月に比べて5%以上減少という要件があります。売上高ではなく、生産量や出荷量でも可です。)

  コロナウイルス感染症によって、どのように事業が影響を受けているのか記入します。

  初回月申請時のみ必要です。

生産指標の確認のための書類

  ①で記入した売上高などを確認できる書類です。直近1ヵ月の売上高、生産量などが対前年同期比で低下していることを確認できるものが必要。

  売上簿、会計システムの帳簿などの書類の写しです。

  申請書の提出があった月の前月とその前年同月分が必要となります。

  例えば、4月に休業を実施し、5月に助成金の申請をする場合、令和2年4月と令和元年4月で比較し、5%以上の減少があることが要件です。4月と5月に休業を実施して、2か月分を6月に申請する場合は、提出月が6月なので、「令和2年5月と令和元年5月」の比較になります。

③休業協定書

  休業の実施について、労働者代表(もしくは労働組合等)との間で締結する協定書です。

  様式は定められていませんが、協定書には次の内容を記載する必要があります。

   (1) 休業の実施予定時期・日数等

   (2) 休業の時間数(原則として一日の所定労働時間)

   (3) 休業の対象となる労働者の範囲及び人数

   (4) 休業手当の金額もしくは算定基準

  労働組合がない場合は、労働組合のところは労働者代表の個人名となります。

労働者代表の確認のための書類

  休業協定書の労働者代表を確認するための書類です。

  ・労働組合がある場合、組合員数を確認できる「組合員名簿」などの書類

  ・労働組合がない場合、労働者代表選任書

  (様式特第9号「休業・教育訓練実績一覧表」に協定を締結した労働者代表の署名または記名・押印があれば、この書類の提出は省略できます。)

 

事業所の状況に関する書類

  中小企業に該当しているかどうかを確認する書類です。

  常時雇用する労働者の人数を確認できる「労働者名簿」および「役員名簿」を提出します。

⑥支給要件確認申立書・役員等一覧(様式特第6号)

  支給要件に該当しているか「はい」「いいえ」で記入します。

⑦雇用調整助成金(休業等)支給申請書(様式特第7号)

  休業した日数や人数、助成金の金額などを記載します。

  この支給申請書と次の助成額算定書は、計算用のExcelファイルが提供されています。

⑧雇用調整助成金助成額算定書(様式特第8号)(任意様式も可)

  判定基礎期間中に実際に休業等した人数、日数、従業員に支払った休業 手当額等から助成額を算定します。

  賃金総額、雇用保険被保険者数、所定労働日数は、前年度の数字を記載すること。

  支給事務の迅速化を図りつつ、また、事業主の申請事務の負担軽減を図るため、賃金総額については、労働保険の「労働保険確定保険料申告書」の「年間の賃金総額」を引用することとしている。

  なお、平均賃金額の算定は、「源泉所得税」の納付書によっても算定できます。

   一人当たり「平均賃金額」 = 納付書の「支給額」÷「人員の数」

  雇用保険被保険者数、所定労働日数についても、年間の数字を把握した上で、1日当たりの平均賃金額を算定して助成額を計算します。

   「年間所定労働日数」= 「任意の1ヵ月の所定労働日数」× 12

 

⑨休業・教育訓練実績一覧表及び所定外労働等の実施状況に関する申出書(様式特第9号) (任意様式も可)

  対象者ごとの判定基礎期間中の休業等実施状況について記載します(合計日数で可)。

 

労働・休日の実績に関する書類

  対象者の勤務日や休業日が確認できる書類を提出します。

  「出勤簿」や「タイムカード」などの書類です。

 

⑪休業手当・賃金の実績に関する書類

  休業手当を支払ったことが確認できる書類を提出します。

  「賃金台帳」や「給与明細書」などの書類です。

  判定基礎期間を含め前4ヵ月分が必要となります。

  賃金や手当の支払い方法が協定に定める方法と相違ないと確認できる場合は1ヵ月分でよいとされています。

  休業手当と、通常の勤務日に支払われた賃金・手当等を明確に区分して表示されている必要があります。

 

⑫所定の労働日・労働時間・休日や賃金制度の確認のための書類

  所定労働日・所定休日・所定労働時間や、賃金締切日等の賃金制度の規定を確認できる書類を提出します。

  「就業規則」「給与規定」「労働条件通知書」などの書類です。

  変形労働時間制、事業場みなし労働時間制、裁量労働制をとっている場合は、これらに加えて、労働組合等との協定書または監督署へ届け出た際の届出書の写しも提出します。

 

計画届や支給申請書などの様式

 雇用調整助成金の「休業等実施計画届」「(休業等)支給申請書」などは、都道府県労働局及び管轄ハローワークの助成金担当窓口で直接様 式を配布しているほか、厚生労働省のホームページからダウンロード(WORD 又は PDF、一部 EXCEL)できます。

支給申請書の書き方

 受給のために必要となる手続きなどをまとめた「雇用調整助成金ガイドブック」を作成しています。

 

雇用保険の適用事業主及び労災適用事業主以外の事業主が手続きを行う場合

 雇用保険適用事業主及び労働者災害補償保険適用事業主に該当しない労働保険暫定任意適用

 事業所は、上記の手続きを行う前に、各地域の農政事務所等において事前に事業実態確認のため、「農業等個人事業所に係る証明書」の取得が必要となります。

 支給申請事業主の事業所の従業員が申請書等を提出のみ行う場合、委任状は不要ですが、内容の修正を行う場合は委任状が必要です

 社会保険労務士が提出代行する場合、委任状は不要です。

 

(参考)従業員への休業手当の支払いについて

 労働基準法第26条では、「使用者の責に帰すべき事由(=会社都合)による休業の場合には、使用者は、休業期間中の休業手当(平均賃金の100分の60以上)を支払わなければならない」と明記されています。

 会社都合の休業は休業手当の支払いが義務化されていますが、今回のような事態は「会社都合」と言えるのでしょうか? 厚労省のホームページでは「不可抗力による休業の場合は、使用者の責に帰すべき事由に当たらず、使用者に休業手当の支払義務はありません」と記載されています。

 会社都合の休業・・・休業手当の支払い義務がある

 不可抗力の休業・・・休業手当の支払い義務はない

 今回の緊急事態宣言や休業要請は「不可抗力」としてみなされるのか? この「不可抗力」の解釈は様々な所で議論になっています。

休業要請は「不可抗力」か?

 厚生労働省のホームページでは、4月24日時点で「不可抗力」の解釈に関して下記のように回答しています。

 不可抗力による休業と言えるためには、①その原因が事業の外部より発生した事故であること ②事業主が通常の経営者としての最大の注意を尽くしてもなお避けることができない事故であること、という要素をいずれも満たす必要があります。

 ①に該当するものとしては、例えば、今回の新型インフルエンザ等対策特別措置法に基づく緊急事態宣言や要請などのように、事業の外部において発生した、事業運営を困難にする要因が挙げられます。②に該当するには、使用者として休業を回避するための具体的努力を最大限尽くしていると言える必要があります。

 具体的な努力を尽くしたと言えるか否かは、例えば、自宅勤務などの方法により労働者を業務に従事させることが可能な場合において、これを十分に検討しているか、労働者に他に就かせることができる業務があるにもかかわらず休業させていないか、といった事情から判断されます。

 したがって、新型インフルエンザ等対策特別措置法に基づく緊急事態宣言や、要請や指示を受けて事業を休止し、労働者を休業させる場合であっても、労働基準法に基づく休業手当の支払義務がなくなるものではありません。