雇用調整助成金

 雇用調整助成金は、景気変動などによって、企業の業績に悪影響があった場合に、企業側が行った雇用調整(休業・教育訓練・出向などの措置)に対して助成金を支給することにより、従業員の雇止めや解雇を防ぐためにあります。

「雇用調整助成金」は、会社が従業員を解雇せずに雇用を維持できるよう、休業手当を国が一部負担する制度

受給要件

雇用保険に加入していること

 事業所設置後1年以上が経過した事業主が対象です。

半年以上、雇用保険の被保険者として継続雇用を受けていること 売上や生産量などが1年前と比較して1割以上落ちていること

 直近3ヵ月の売上高等が前年度比10%以上低下していること

 生産指標の減少(10%以上の低下)を、初回の休業等の届出前の3か月間について、対前年比で確認します。

雇用保険被保険者の人数が1年前よりも一定数以上増加していないこと

 雇用保険被保険者の雇用量を示す指標について、最近3ヵ月間の月平均値が、前年同期に比べて、中小企業の場合は 10%を超えて、かつ、4人以上増加していないこと(中小企業以外の場合は 5%を超えて、かつ、6人以上増加していないこと)

⑤過去に雇用調整助成金の支給を受けたことがある事業主が新たに対象期間を設定する場合、直前の対象期間の満了の日の翌日から起算して1年を超えていること

 

休業等規模

 休業等の延日数が対象労働者の所定労働日数の 1/20(中小企業)、1/15(大企業)以上の場合に支給対象

 

助成率

 中小企業 2/3  大企業 1/2  

 

教育訓練の加算

 教育訓練の加算額は、企業規模にかかわらず 1,200円

事業所内で研修を行う場合

 事業所内で行う教育訓練において、自社の従業員が講師として研修を行う場合は、その者は通常の勤務となるため、助成金の対象とはなりません。

 

助成額の限度

 休業等の際に支払う労働賃金に対し、日額8335円/1人 まで助成

 

支給限度日数

 最大 100日/1年  3年間で150日まで

 

 雇用調整助成金は、休業等を行う事業主に対して支払われるものであり、労働者個人には支給されません。

 労働者の雇用の維持を目的とするため、社長や役員、自営業の家族従 事者など雇用者でない者は助成の対象となりません。

 雇用調整助成金の助成対象となる「休業」とは、所定労働日に従業員である労働者を休ませるものをいいます。単に事業所が営業を休むことをいうのではありません。このため、従業員を出勤させ、内部の事務処理等の業務をさせている場合は、「休業」に該当せず、雇用調整助成金の対象とはなりません。

 雇用保険被保険者の雇用量の最近3ヵ月の平均値が、前年同期比で一定程度増加している場合は、助成対象とはなりません。

 

 労働基準法では、何らかの理由で休業せざるをえない場合、その理由が「会社都合」であれば従業員に「休業手当」として賃金の最低6割以上を支払う必要があります。

 例えば、月給30万円を支払う従業員がいる場合、1日換算10,000円となり「休業手当」を賃金の6割と設定すると、企業は従業員に1日6,000円の休業手当を支払うことになります。

 「雇用調整助成金」により、この6,000円(休業手当)の一部を国が企業に対して補償する。

 休業手当は、「平均賃金の60%以上」がルールです。

 「平均賃金」は「休業日以前3ヵ月間に支払われた賃金の総額 ÷ 期間の総日数(暦日数)」で計算します。

 休業手当の支払率は、労使で話し合い決めることが適切です。

 正社員とパートの休業手当の支払率が異なる場合、助成金の支給額の算出に当たっては、いずれか低い方の支払率を用いて算出します。

 法定以上の休業手当の支払い率(平均賃金の6割以上)を定める場合に、非正規雇用であることのみを理由に、一律に正社員より低い休業手当の支払率を定めることは、雇用形態にかかわらない公正な待遇の確保を目指して改正されたパートタイム・有期雇用労働法及び労働者派遣法の規定(中小企業は令和3年4月からの施行)に違反する可能性があります。

 休業期間中の休業手当の額が平均賃金の 60%を下回っていた場合は、雇用調整助成金は支給されません。

 

休業と残業の相殺

 労働者を休業等させる一方で、残業や休日出勤をさせた場合、 助成の対象となる休業等延べ日数の算定に当たり、残業や休日出勤の時間分を控除(休業と残業を相殺)する。

 

手続き

 休業等の計画届は事前提出

雇用調整助成金の特例措置

持続化給付金