メディアとは

 製造メーカーや卸売業者、あるいは小売店が発信するさまざまな情報は、メディアを通じて顧客へと伝達します。

 とくに、近年では、インターネットの普及によって情報の全体量が増大し、また、商品やサービスの提供側だけでなく消費者側からの情報配信も増えました。今では個人単位でも大きな影響力をもった人がたくさんいます。

 そうした現状を踏まえて、それぞれのメディアの特性を把握しつつ利用していくことは、企業活動を軌道に乗せるためにも不可欠です。

 業種や職種だけでなく、商品やサービスの性質、あるいは時期や季節なども加味しながら最適なメディアを選択して情報配信を行わなければ、顧客に対して効果的にアプローチすることができないのです。

 ある意味では、企業のコミュニケーション戦略とメディアは切っても切れない関係と言えます。

 メディアは、大きく「マスメディア」「屋外メディア」「流通チャネル」「ダイレクトメディア」「デジタルメディア」に分類することができ、さらに、マスメディアは、「テレビ」「ラジオ」「新聞」「雑誌」に分けられます。

 4大マスメディアは、高い認知度を得られる反面、費用が高額になるというデメリットがあります。

 屋外メディアは、特定地域に対しては強いが、改変性に乏しく、流通チャネルは購買シーンにおいて顧客にアプローチできますが、情報のコントロールが難しいというマイナス面もあります。

 ダイレクトメディアは、1対1のコミュニケーションに力を発揮しますが、コスト効率が必ずしも良くありません。また、顧客情報の取り扱いに注意が必要となります。

 デジタルメディアは、膨大な情報量を誇りますが、情報の波に埋もれてしまう可能性があります。消費者側からすれば信頼性が乏しいとの批判もあるでしょう。

 メディア戦略を検討する場合には、それぞれのメディアの特性を理解しなければなりません。

 大きな分類としての「マスメディア」「屋外メディア」「流通チャネル」「ダイレクトメディア」「デジタルメディア」だけでなく、テレビや雑誌など個別のメディアについても知ることによって、新しい施策を行うことは可能となります。

 いずれにしても、どれかひとつのメディアに依存してしまうのは危険でしょう。

 時代の流れとともに衰退するメディアもありますし、何より柔軟性に乏しくなってしまいます。

 そうした事態をあらかじめ考慮しておき、複数のメディア・ミックスを検討しておくことが、そのままリスク回避にもつながることでしょう。

 

メディア別の特性

マスメディア

 テレビや新聞をはじめとする数百万人単位の情報媒体を、「マスコミュニケーションメディア」、あるいは単に「マスメディア」と呼びます。

 マスメディアは、私たちの生活に浸透し、つねに情報を配信し続けている媒体です。

 マスメディアは、さらに「テレビ」「ラジオ」「新聞」「雑誌」のいわゆる「4マス」に分類することができます。

 それぞれの特徴は以下のとおりです。

・テレビ

 マスメディアと言われて真っ先に思い浮かぶのは「テレビ」でしょう。

 かつては貴重な存在だったテレビも、今や一家に一台の時代です。それだけに、視聴者に情報を届けられる可能性が大きい媒体です。

 映像なので感覚に直接訴えることができ、さらに、番組や時間帯に応じて適切な宣伝を行えるのが特徴です。一方、莫大な費用がかかるというデメリットがあります。

 価格は視聴率に左右されますが、放映時間の購入だけでも数千万円程度かかり、加えて制作費も馬鹿になりません。

 人気タレントを起用したり、特殊な映像技術を駆使するとなると、合計で数億円単位の費用が必要となります。

 また、一般的なCMは15秒〜30秒程度なので、十分に情報を盛り込めないというマイナス面もあります。

・ラジオ

 テレビが一般に普及するまでは情報媒体の主役だった「ラジオ」。テレビと比べて音声しか伝えられないというデメリットがありますが、その反面、費用は割安で抑えられるという特徴があります。

 また、聴取者がドライバーや学生などに偏っていることもあり、そうした特定のターゲット層に訴求したい場合には有効な媒体となります。

・新聞

 諸外国と比較して購読率が高い日本の「新聞」は、テレビと同様に広告効果が高いツールとして、近年までマスメディアの中心を担ってきました。

 「読売」「朝日」「毎日」の三誌は、3大全国紙として購読者数が多く、加えてビジネス関連の日経新聞などは現在でも幅広い層に読まれています。

 もっとも、購読者数が頭打ちになっていることや、インターネットの普及によって新聞の広告効果にも限界がみえてきています。

 また、白黒の紙面では表現にも限界があることなどがデメリットとされています。

 一方、テレビと比較すると、広告の入稿は比較的スムーズに進み、料金としても相応程度と言えるでしょう。

・雑誌

 一般大衆向けのものからマニア向けのものまで、「雑誌」にはその種類が豊富という特徴があります。

 それぞれの読者数は多くても数十万人程度ですが、読者を想定しやすいということもあって、ラジオと同様、マスメディアというよりはターゲットメディアとしての特色が強いです。

 広告費用は他のマスメディアより割安ですが、近年では購買部数の減少が顕著となっています。

 

屋外メディア

 立て看板や電光掲示板、ポスターや電車のつり革広告、あるいはバスやタクシーのディスプレイなど、屋外のさまざまな場所で活用されている宣伝媒体が「屋外メディア」です。

 待ち時間などの無為な時間を利用したり、地域の特性を生かすことで、効果的な宣伝が行えます。

 価格は、場所によってピンからキリまであります。

 デメリットとしては、宣伝効果が計測しにくいという点があげられます。

 

流通チャネル

 顧客の購買シーンを考えてみると、実際に購入する際の仲立ちとなる「流通チャネル」の存在は、メディアとしても大きな存在意義があります。

 店頭での接客はもちろんのこと、店内POPや陳列状況によっても購買は促進されるのです。

 ただし、すでに購入の意思がある人に対しては、効果があるものの、供給側から広く消費者にアピールできないというデメリットもあります。

 

ダイレクトメディア

 ダイレクトメールや電話などで、顧客に直接アプローチする手法を活用したメディアが「ダイレクトメディア」です。

 マスコミや屋外メディアと違って、特定のターゲットに訴求できるのが特徴です。

 もっとも、近年では個人情報保護の機運が高まっていることもあり、連絡方法やメッセージ内容にさらなる工夫が必要となっています。

 

デジタルメディア

 メディアにおける近年の最も大きな変化とされているのが、「デジタルメディア」の台頭です。

 かつては一部の人しか利用していなかったパソコン通信が、ブロードバンドの拡充によって広く一般化しました。その結果、より多くの人がインターネットを介して情報収集を行うようになり、コミュニケーションも行われています。

 企業の営業活動においても同様で、インターネット上の広告、いわゆる「WEB広告」が幅広く活用されています。

 ただ、テレビCMのように一方的に情報を配信しても視聴されることはほとんどなく、顧客同士のコミュニティを形成するなどの工夫が必要となっています。

 今後はより良質なコンテンツが求められることでしょう。

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