マーケティング課題の特定

 マーケティング環境分析を終えたら、詳細な分析を行う前に、マーケティングによって どのような問題を解決したいのかという「課題の特定」を明確にしておきましょう。

 マーケティングの最終的な目標は、会社が抱えている問題あるいは課題を解決し、企業の

 発展をうながすことです。そのためには、マーケティングによってどのような問題・課題を解決したいのかを明確にしなければなりません。

 問題・課題を特定するに際して、十分に議論を重ねずに抽象的なまま実行してしまえば、望むような成果を得ることはできないでしょう。たとえば、「会社の業績が低迷しているので、V字回復させるためにマーケティングを活用する」と定めた場合、はたしてどれほどの効果が見込めるでしょうか。闇雲に顧客優先の戦略を打ち出したり、価格を競合他社より下げるなど、無難なマーケティングを実施するのが関の山です。マーケティング課題が具体的に特定されておらず、行動の軸が明確でないからです。

 マーケティング戦略を考案するのは、企業における上層部の人間かもしれませんが、それを実行するのは現場にいるスタッフです。

 もし、彼らが、課題の特定されていないマーケティングを実施するとした場合に、「何を実現するために?」「どのような課題があるなかで?」「優先順位については?」などの疑問が解決できなければ、調査や分析、意識決定にも支障が生じるのは当然です。また、安易にマーケティング課題を特定してしまうのも考えものです。

 メディアやインターネットで入手した情報を鵜呑みにするのではなく、「なぜ」をくり返して、仮説をベースに検討を進めることが大切です。

 マーケティング課題を特定していなければ、マーケティングを実践する理由や最終的な目標がみえてきません。 

 そうなると、現場の人間はなにを指標として行動して良いのかが判断できず、具体的な行動に結びつかないのです。そのため、観念論としての「顧客最優先」や「市場を分析し、強みを生かす」というスローガンを掲げるのみに終始してしまう可能性があるのです。これでは成果はあがりません。

 だからこそ、環境分析とともに、マーケティング課題を特定することが大切です。

 環境分析において使用した「プロダクトポートフォリオマネジメント」「マーケティングの4P」「バリューチェーン分析」などのフレームワークを使えば、環境分析の結果からマーケティング課題を特定することも難しくありません。

 闇雲にマーケティングの実践を追い求めるのではなく、しっかりと手順を踏むようにしましょう。

 

市場の機会をとらえるために

 マーケティング課題を特定するということは、マーケティングを活用することによって、「どのように市場の機会をとらえるか」ということです。環境分析によって、既存の弱みを強みに変え、脅威を機会へと発展させるということです。そのためには、環境分析と平行して、「何を実現したいのか?」「どのような課題があるのか?」「優先順位は?」という3つの問いについて考えてみましょう。

何を実現したいのか

 「マーケティングによって何を実現したいのか?」

 この問いは、マーケティングの実践により、最終的に到達するべき目標を把握するためのものです。

 たとえば、「プロダクトポートフォリオマネジメント」のフレームワークを活用すれば、「どの商品・サービスを、どのように成長させるべきか?」というように、具体的に実現したいことが見えてくるでしょう。

 具体的には、「金の生る木」で得た収益を「花形」や「問題児」に投資するなどです。

どのような課題があるのか

 「どのような課題があるのか?」という問いは、マーケティングの目標を設定した後に、その目標を達成するために乗り越えるべき問題を見定めるためのものです。

 「マーケティング4P」などのフレームワークを活用すれば、その問題が製品にあるのか、それとも価格にあるのか、流通経路、販売促進にあるのかが浮き彫りになります。

 課題を特定できなければ、どんな施策を打てば業績が回復するのかということを検討することもできません。

 まずは、課題を抽出することから始めなければなりません。

 

目標の明確化と、課題抽出に向けたSWOT分析

 戦略策定に向け、SWOT分析(Strengths-Weaknesses-Opportunities-Threats Analysis)を用いて自社を分析し、強みと弱みを重ねあわせることで、市場の機会と脅威を把握します。そうして抽出された機会を活かすためには、マーケティング目標を予め明確化し、目標達成に向け解決すべき課題を特定すると同時に、優先順位を付けてまとめておくことが大切です。

 

課題を知り、機会を創出するマーケティングリサーチ

 企業・組織が、より良い商品・サービスを提供するために、顧客を知り、顧客ニーズを探ることで、顧客にあった商品・サービスを提供するための活動の総称をマーケティングリサーチと言います。マーケティングリサーチが行われることで、消費者が自ら望む商品・サービスを企業などの組織に伝えることができ、よりニーズに即した商品・サービスを利用できる可能性が高まります。また、企業は、消費者の望まない機能やサービスの開発による経営資源の損失を未然に防ぐことができることから、双方にとって多大なメリットがあると言えます。 企業や組織が構える「カスタマーセンター(お客様相談窓口)」は、お客様からのクレームを知る重要なセクションであり、消費者から企業側へアプローチすることで、製品・サービスが抱える潜在的な課題の抽出に多大な効果を発揮します。

 

優先順位は

 実践の場において意思決定をうながすために、「優先順位」についても考えておきましょう。

 ビジネスの現場において、取捨選択は日常茶飯事ですが、優先順位を定めておくことによって、ブレることなく決定することができます。

 「バリューチェーン分析」などのフレームワークを活用し、企業活動のどの部分を優先させるのかを見極めましょう。

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