イノベーションの秘訣

 『別なもの、異質なものが結合されることによって、新しいものが生み出される』というイノベーションもありますし、『かつては成果を生んだが、すでに精度疲労を起していて、成果を生めなくなっているものを、体系的に廃棄していくこと自体が、新規のものを生み出す』というイノベーションもあります。

 

改善とイノベーションの違い

 既存の顧客のニーズに合わせて、目的合理的にイノベーションを起こす努力をしていても、別の企業がまったく新しい観点から破壊的イノベーションを起こすと、今まで積み上げてきたやり方が全く通用しなくなることがある。例えば、日本の携帯電話は、iモードの発明以来、顧客のニーズに応えて多機能化してきた。iPhoneが登場したことで、「ガラケー」(多機能ながら海外に普及しなかった携帯)と化してしまった。

 これは、過去の延長線上で努力するだけでは、発展に限界があるということを意味している。そこで、ドラッカーが言うような「体系的廃棄」(不要になるであろう商品やサービス、組織などを廃棄する仕組み)が求められる。

 しかし、現実にはそう簡単にできるものではない。ビジネスは日々継続しているからです。売掛金は回収しなければならないし、買掛金は支払わなければならない。仕事は連続しているため、既存の顧客を大切にし、その声をヒントに通常業務を改善していくことは比較的容易だが、機能までの仕事を切り離して、全く新しいイノベーションを起こすのは極めて難しい。

 実際に、「改善」であれば、顧客のニーズを聞き、不平不満の声を集めていけば可能である。「改善」は連続的であると言える。しかし、破壊的イノベーションになると、顧客の声を集めてもヒントを得られないことが多い。「ウォークマンのない時代にウォークマンが欲しいと言った人はいない」し、「iPhoneがない時代にiPhoneが欲しいと言った人はいない」のである。イノベーションは不連続なのです。

 では、どうすれば破壊的なイノベーションのアイデアを得られるのか。そのヒントは、天上界のインスピレーションによって得られることがあると考える。改善には「顧客の声」を聞くことが大切だが、イノベーションはそれだけでは十分ではない。それに加え、「天上界の声」を聞くことによって可能になると考えられる。

 そして、天上界からひらめきを得るには、「天上界の神々からみて応援したいと思える自分なのかどうか」という視点で、自分を磨いておく必要がある。また、「神のマネジメントの一部を担当するのだ」という思いで、世の中に新しい価値をもたらそうと志すことも大事になる。「神はこの世界をより良いものにしょうと願われている。自分もそのお手伝いをさせていただきたい。そのために、世の中に新たな価値をもたらしたい」と考えていくことである。神も仏もないという唯物的な考え方では、適切なインスピレーションは降りにくい。

 イノベーションを起こすには、強い問題意識が必要になる。単に会社が生き残るための手段として考えるのではなく、「地上をより良い世界にしたいと願う神の計画の一端を担うのだ」というくらいの使命感が大事である。

 したがって、経営成功学でイノベーションを考えるには、宗教と経営の理論を融合したかたちで学んでいく必要がある。

 

イノベーションを恐れない

・体系的廃棄

  これまで成果をあげていた古いやり方を捨てる

・異質結合

  新しい組み合わせによって新規のものを生み出す
・幸福の科学的経営論

  イノベーションを恐れない

 

イノベーションは痛みを伴う
 『一定の限界が出たと思ったら、『それをどうブレークスルー(突破)するか』ということを常に考える必要があります。ただ、イノベーションには痛みが伴います。イノベーションには、これまで成果をあげていたのもを捨てていく面があるので、そういう意味で、どうしても痛みを伴いますが、発展を続けたければ、どこかで、そういう外科手術をしなければいけないのです。(幸福の科学的経営論・『イノベーションを恐れない』)

 

未来において最も豊富な経営資源は『知識』
 経営資源には、いろいろなものがありますが、これから先現代から未来社会において最も豊富な経営資源は何かというと、それは知識です。知識だけはどんどん増え続けます。知識は拡大再生産の可能な資源であり、『新しい知識が新しい資源を生み、成果を生む。そこからまた新しい知識が生まれてくる。』ということがありうるのです。

 

経営論は『発展』の理論のひとつ
 大勢の人が、一定の理念を持ち、指揮者(社長)の下に組織だって動きます。縦の階層も持っていれば、横の連絡階層も持っています。さらには大勢の人が動く以上、当然、兵站部門としての資金の問題も出て来ます。『愛、知、反省、発展』という『四正道』のうち、『発展』の理論の中に、こういう経営的な考え方が組み込まれています。
(幸福の科学的経営論・『経営とは何か』)

 

経営資源の合計以上の成果を生み出す
 経営とは現にある『ヒト・モノ・カネ・情報』等の経営資源を使って、それらの合計以上の成果を生み出すことであると考えているのです。現代においては、個人のレベルにおいても、悩みの大半は経済的原因によるものであることが多いので、発展の法則を研究することは現代人の悩みを解決する手段ともなります。

 

意思決定の速度を上げる
昔に比べて現代では、人生の長さは同じであっても使える時間が増えていきます。無駄なものを排除し、アクセスタイムを短くすることによって、時間を生み出すことができるようになっています。

 

タイムベース・マネジメント

・時間を縮める

・回転率を上げる

・その日にできることはその日にやってしまう

・意思決定の速度を上げる

一日の苦労は一日にて足れり
 時間の部分を縮めると、それだけ次の仕事に早く取りかかれるのです。究極の『タイムベース・マネジメント』は『一日の苦労は一日にて足れり』ということです。『一日一生』という言葉がありますが、『その日にできることは、その日のうちに全部やってしまう』ということです。時間を縮めることは、同時に、時間を生み出すことになります。(幸福の科学的経営論・『タイム・ベースマネジメント』)

 

知的ベースマネジメント
 学習する組織を目指すべきである
 常に学習する態度を取らない限り、今日は優秀であったものが一年後には優秀ではなくなるのです。もっと新しいものが生まれてくるのです。

 ・情報を集める

 ・情報の持つ付加価値を研究する

 ・大勢の智慧を集め、良い仕事をする

 ・常に学習する態度をとる
   (幸福の科学的経営論・『知的ベースマネジメント』)

 

企業の存続を左右するイノベーション

 イノベーションとは、「新機軸」とか「新たな切り口」のことで、単に新しい技術の発明という意味ではなく、例えば新しいアイデアを出すことで社会において新しい価値を生み出し、社会の変革を促すといった大きな変化をもたらすものです。19世紀初頭、経済学者のヨーゼフ・シュンペーターが5つの類型に分析し、これを定義したことで知られます。
 また、ピーター・ドラッカー流のイノベーションも有名です。
 イノベーションは、経済発展の主導的な要因となる重要な企業存続の条件だと言える。

 幸福の科学大川隆法総裁は、以下のように説かれました。

「イノベーションには二種類があります。一つは、経済学者のシュンペーター流の、「異質なものの結合」という面でのイノベーションです。例えば、水素(H)と酸素(O)が結合すると、水(H2O)という、まったく違うものができます。水素は「燃えるもの」ですし、酸素は「燃やすもの」ですけれども、そういう燃え上がるものが、水という、火を消すことができるものをつくり出します。
 もう一つのイノベーションは、経営学者のドラッカー風の「体系的廃棄」です。これまで成功してきたやり方、仕組みなどを体系的に廃棄するのです。この「体系的」というところが大事な点です。「いったん御破算にしてしまう」ということです。その上で、「もう一度、考え直してみる」ということを行わなければなりません。「『今まで、これでうまくいったから』という考え方を、そのまま維持していたのでは、時代に取り残されるおそれがある。今までのやり方などを体系的に廃棄することがイノベーションだ」というのがドラッカーの主張です。
 これは両方とも実際にあることなので、私としては、両方に目を向けていただきたいと思います。」
(『未来創造のマネジメント』)

「普通、「イノベーションとは、まったく新しいものをつくり出すこと」と考えられがちです。もちろん、それでも構わないのですが、いつもいつも、まったく新しいものをつくり出せるわけではありません。ですから、能力的にそこまでいっていない人の場合は、イノベーションとして、基本的には、異質なものを結合させる努力をしていけばよいでしょう。まったく違うものを結合させてみると、面白くなってくることがあるわけです。
 したがって、いろいろなものを勉強したり、集めたりしなければいけないのですが、最後は、それを“化け”させなければいけない面があります。つまり、何らかの「サプライズ」がないと、やはり、よくありません。サプライズを入れることです。」
(『経営の創造』)

「「体系的に廃棄しなければいけない」というのは、要は、「それまで、やっていたやり方を捨てなければ、前に進めない」ということです。「それまでのものを残しながら、積み重ねていく」というかたちでは、できないことが起きてくるのです。したがって、「捨てることが大事である」と言うわけです。
 これは実に厳しい話であり、「自分の成功要因だったものを、自らの手で捨てなければいけない」ということが起きるわけです。
 ただ、変化の激しい時代では、あるいは、ライバルが多い業種では、やはり当然のことです。ライバルが出てきて、新しい商法で攻めてこられたとき、それまでどおりのやり方でやっていたら、負けるでしょう。それに対応するには、やはり、「新しいやり方」を考えつかなければいけません。そうしなければ、敗れ去ることになるのです。」
(『イノベーション経営の秘訣』)

「基本的に、イノベーションの主流は、現在やっているもののなかで、非効率なところやマイナスのところを少しずつ修正しながら、プラスと見えるところを少しずつ推し進めていき、長期的に、だんだんよい方向へと持っていくことです。これが「イノベーションの王道」であることを忘れないでください。
 個人の思いつきや、とにかくみんなが絶対にやらないことをやってみるなど、そういう、リスクを冒すことだけがイノベーションだと思ってはなりません。
 「事業の継続性を保ちながら、短所のところを矯めつつ、長所を伸ばしていく」という考え方がイノベーションなのです。また、「未来は、そういう創造性の積み重ねの上にあるのだ」ということを知らなくてはいけません。」
(『未来へのイノベーション』)

 イノベーションが新たな価値を創造し、社会に大きな変化をもたらすものである。ここからさらに イノベーションの本質に迫りたいと思います。

「常に勝ちつづけるシステムの構築というものは、個人においても組織においても必要なことです。たまたま成功したとしても、その成功は長くは続かないのが普通です。諸行無常なのです。
 勝ちつづけるためには、「いかにリソースフルであるか。すなわち、いかに資源が豊富で、何度も戦いができるか」ということが大事です。
 たとえば、個人として、ヒット商品を出して成功したならば、次は、「ヒット商品を出しつづけるには、どうしたらよいか」を考えることです。「来年はどうするか。その先はどうするか。十年後はどうするか」を考えなければいけません。それは組織においても同じです。いまは勝っていても、「勝ちつづけるには、どうしなければいけないのか」を考える必要があります。常に勝ちつづけるシステムというものは、一つの方針でもあるでしょうが、これはまた、イノベーションしつづける体質でもあると思います。」
(『リーダーに贈る「必勝の戦略」』)

「世の中には勝敗というものがありますが、それは、かたちを変えた幸福論、姿を変えた幸福論になっていることもありますし、イノベーションの原理でもあります。
 昔の戦争では、敵の大将の首を取れば勝ちでした。
 そして、戦をすると、大将をはじめ、たくさんの将校が死にます。その結果、その下にいた人たちが上へ上がって、大将などになるというイノベーションが起きます。
 現代の企業においては、それが能力主義の判定などになっていて、内部で能力によって判定されるのです。厳しいところでは、上司と部下が入れ替わるということが常に起きています。「自分が入社したときに課長であった人が、いまは自分の部下になっている」などということは、優秀な企業であれば、どこででもあることです。
 個人における勝敗はありますが、そのなかで、強い者が生き残っていくシステムをつくったところが勝ちつづけることになります。」
(『常勝の法』)

「異質なものを知っていなければイノベーションは起きません。
 そういう意味で、ほかの考え方や学問を知っている場合、それらを結合することによって、新しい考え方が生み出されることがあります。このあたりは、評論家等で活躍している人であればよく知っているでしょう。意外に、自分の卒業した学校の学部と違う領域の勉強をした人が、それらを結合させるとどうなるかと考えたときに、「異質な目」ができてくるのです。ものの見方がほかの人と際立って違うために、みなの目を引いて、「こいつはすごいな」「なぜ、このような見方ができるのだろう」という感じで、読者や出版社を惹き付けたりするようになるわけです。」
(『大学生からの超高速回転学習法』)

「インスピレーションを「霊感」と訳してもよろしいのですが、問題は、「どうやって、インスピレーション、霊感を獲得するか」ということです。
 それには、まず、固定観念のようなものを捨てなくてはなりません。「これは、こうなのだ。これ以外にないのだ」という考え方を持っていたら、まず、それを捨てるところから始めなければいけないのです。
 「とらや」という羊羹屋があります。その「とらや」でさえ、今では洋風のお菓子をたくさんつくり、洋風のカフェも開いています。これは一種のイノベーションだと思います。
また、「和食」と言って、フランス料理のような雰囲気のものを出すところもあります。これもイノベーションでしょう。
 現在の延長上に未来は拓けません。「今までうまくいった」「かつては、こうであった」「前例は、こうであった」「昔は、こう言っていた」と、「このようにしていた」「親の代は、こうであった」というようなことを、打ち破っていかなければ駄目なのです。」
(『経営とは、実に厳しいもの。』)

 

イノベーションの秘訣

 今は変化速度の速い企業ほど強く、「速さ」の勝負になっているが、大きくなるほどスピードが遅くなるものなので、大きくなるのと同時にスピードも速くする努力が必要である。

 また、安定的な繁栄のためには、絶えず変わらなければならないと思いつつも、同時に変わってはいけないもの、たとえば基本方針や理念なども持っていなければならない。そのためには、絶えざる研究開発が必要である。

 総裁は、『社長学入門』で以下のように説かれました。

「今の経営状況を見ると、結局、「速さ」の勝負になっています。
 状況はどんどん変化していきます。携帯電話であろうと、テレビであろうと、コンピュータであろうと、同じものが十年も二十年も売れ続けたらありがたいでしょうが、すぐに次の商品が出てきて、あっという間に古くなっていきます。
 昔は、資金をたくさん持っている企業が強かったり、社員の数が多い企業が強かったりしましたが、今はそうではありません。変化速度の速い企業ほど強いのです。
 変化の速度と実績の比率を見ると、例えば、商品の開発期間が普通は二年であるものを、一年でできる企業があったなら、速度は「二対一」ですが、現実の市場での攻撃力では、その二乗倍の「四対一」ぐらいになります。三倍速いところであれば、その攻撃力は「九対一」ぐらいになります。それだけの違いがあるのです。
 したがって、いかに時間を短くするかが非常に大事です。しかし、「大きくなるほどスピードが遅くなる」というジレンマがあり、「大きくなって、同時にスピードも速くする」ということは、ほとんどの企業ができません。そのため、このなかなかできないことを解決したところは一人勝ちになります。
 まず、「今はスピード勝負の時代に入っているのだ」ということを頭のなかに入れておかなければなりません。「スピードの遅いところは敗れる。時代の変化についていくためには、絶えず速さを求めなければならず、そうでないと勝てない」ということを、経営者は知っていなければ駄目なのです。
 それだけでは、心の安定性、心の平和というものがなくなってしまいます。したがって、「絶えず変わらなければいけないのだ」と思いつつも、同時に、「変わってはいけないもの」も持っていなければならないのです。それを持っていなければ、安定的な繁栄はないでしょう。
 「わが社のなかで、変えてはいけないもの」を、同時に求めなければいけません。「これは変えてはいけない。ここは変えないぞ」というところを、必ず持っていないと、心が揺さぶられて駄目になります。
 何でも、ただただ無茶苦茶に変えていくだけであったら、それもまた破滅への道です。例えば、老舗の旅館を鉄筋に変えたら成功するかといえば、それだけで成功するとは言えません。変えてはいけないものを同時に求めていく必要があります。
 基本方針や理念など、「わが社のなかで、これだけは譲れない。どんなに世の中が変わろうと、これだけは持ち続けなければいけない」というものは、頑固に守らなければいけないのです。
 しかし、世の中の商売や人々のニーズが、さまざまに変わっていく姿を見て、「ここは変えてもよい」と思われる部分については、できるだけ、タイムベース・マネジメントによって時間競争をし、先手を打つことが大事です。
 そのためには、絶えざる研究開発が必要です。常に研究熱心でなければ駄目なのです。」
(358~363ページ)

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