不況期の経営の心得

デフレは不況か

 「デフレで ものの値段が下がってくる」ということは、経済の基礎レベルの層が下のほうに移ってくる」ということであり、「経済活動の裾野が広がる」ということを意味している。

 これは、経済としては、縮小ではなくて拡大になるのであって、デフレ下の経済は そのようにならなければいけない。

 デフレが不況になるのは、「努力しないで そのままでいた」という場合であり、「デフレ即不況」という捉え方には誤りがある。

 幸福の科学大川隆法総裁は、『社長学入門』で以下のように説かれました。

「しかし、その考え方は間違いなのです。
 「デフレで、ものの値段が下がってくる」ということは、どういうことかというと、「経済の基礎層、基礎レベルの層が、下のほうに移ってくる」ということです。これは、「経済活動の裾野が広がる」ということを意味しているのです。
 例えば、高い収入がないため、値段の高い商品には手の出なかった人も、その商品の値段が安くなってくると、それを買い始めます。値段が高いので、普通の人は受けられなかったサービスも、値段が安くなってくると、普通の人が受けられるようになります。
 これは、「ものの値段が下がったら買えるようになる」ということです。簡単なことなので分かると思います。
 「今まで、二百万円の車をまったく買わなかった収入層の人でも、その車が百万円になったら買う」ということであれば、定価は従来の五十パーセントになっていても、それまではゼロだった売り上げが、その五十パーセント分だけ増えるのです。
 これは、経済としては、縮小ではなくて拡大になります。デフレ下の経済は、本当は、そのようにならなければいけないのです。
 「今までと同じ台数を売っておけばよい」という考えであれば、二百万円のものが百万円になると、売り上げは半分になってしまいます。しかし、「今まで買わなかった人が買うようになる」と考えれば、売り上げを拡大することも可能なのです。経済規模を大きくすることもできるわけです。これは、「ただじっとしていたら小さくなるけれども、頑張れば大きくなる」ということです。
 サービスにおいても、以前は、「高収入の人だけを狙っている」というようなサービスがたくさんあったと思います。「年収が八百万円ぐらいでなければ無理」とか、「年収が一千万円を超えないと無理」とか、「年収が二千万円以上の人でないと手が出ない」とか、そのようなサービスはたくさんありました。
 ところが、それらがだんだん安くなり、庶民料金になってくると、普通の人でも手が出るようになってきます。
 高級なスポーツクラブなど、普通の人は手が出ないようなところでも、客が減ってくれば、やはり値段を下げてきます。
 非常に高かった、ゴルフクラブの会員権も、安くなってくると、サラリーマン層でも手に入れられるようになってきます。今までは、経営者層か、一流企業の部長以上の層でなければ、会員になれなかったところに、一般のサラリーマンでも入れるようになります。そうすると、層が広がります。
 高級テニスクラブの料金が安くなれば、庶民でも、そういうところでテニスができるようになります。
 また、ホテルも、デフレの時代になれば、あまり高級志向ばかりをやってはいられません。しかたがないので、安い宿泊料金の日を設けたり、ランチタイムを設け、高い値段のものを安い値段でお昼に開放したりして、客を集め始めます。そうすると、今までは高級ホテルでご飯を食べることができなかった人でも、食べられるようになってきます。
 デフレが不況になるのは、「努力しないで、そのままでいた」という場合であり、「デフレ即不況」という捉え方には誤りがあると考えるべきです。」
(184~190ページ)

 人件費の安い中国やインドに赴き、現地で日本と同じように生産することが、デフレの原因の一つである。

 また、日本は先進国で購買力もあるので、安い製品をつくる国から大量に買ってくれと言われる時代が来ているのであって、関税で日本製のものを保護するのはもう無理である。

 したがって、デフレのトレンドは止まらないが、しかし、「デフレだから不況になる」という考え方は間違いである。

「ユニクロは一つの象徴なのですが、何が言いたいかというと、「『中国で生産する。中国に赴き、現地で日本と同じようにつくる』というようなことが、デフレの原因の一つである」ということです。
 中国の都市部は、今、かなり発展中なのですが、それでも、サラリーマンの月給を見たら、安い人は二、三万円ぐらいです。都市部の工場労働者は、だいたい、月給が一万円ぐらいで働いています。
 これと戦うのは大変です。これは、日本で言うと、昭和三十年代ぐらいか、安いところは昭和二十年代ぐらいの人件費でしょう。農村部に行くと、もっと安いのです。「一年間に数万円で生活している」などという農家がゴロゴロあります。
 これらの人たちに技術を教え込み、日本と同じように製品ができるようにして、それを日本で売ったら、どうなるかといえば、安くなるに決まっています。そのため、多くのメーカーが中国で生産を始めたわけです。
 同様のことがインドについても言えます。インドには十二億の人口がありますし、中国には十三億の人口があります。こういう、十数億の人口、インドも含めれば二十数億の人口を持つところが、三十年前、四十年前の日本のように、これから快進撃をしてくるとしたら、どうなるでしょうか。世界は貿易で結ばれているので、ものの値段は絶対に下がるわけです。
 農産物も、日本のものは高いのです。
 日本人は、「外国の農産物は農薬が怖い」「中国産のホウレンソウから農薬が出た」などと言って、すぐ「怖い、怖い」と言います。しかし、日本人がそういうことを怖がるのなら、外国も農薬を使わないようになります。
 タイなどでも、しだいに日本人好みのものをつくるようになってきます。これらの国々では賃金が安いのです。賃金は、しだいに上がっていきますが、それでも、何十年かの落差があるため、高い関税でもかけないかぎり、どうしても農産物は安くなります。日本国内のものは競争で勝てなくなるのです。
 今からもう二十数年前になりますが、私がアメリカにいたとき、衣服や、おもちゃなどの売り場を見たら、「メイド・イン・USA」は、ほとんどありませんでした。「メイド・イン・ジャパン」も、そのころ、そろそろ駆逐されてきていて、「メイド・イン・台湾」など、そのようなものばかりでした。
 そのため、「このようになるのだな。よその国でつくったものばかりを売っている国なのだな」という、すごく不思議な感じがありました。
 日本も、だんだん、そういうアメリカのような国になろうとしているのだと思います。日本は先進国で購買力もあるので、安い製品を数多くつくるところから「大量に買ってくれ」と言われる時代が来ているのです。
「安くなっているものをわざわざ高くして、日本製のものを保護する」ということは、もう無理なのです。したがって、物価は絶対に下がります。デフレのトレンドは止まらないのです。
 ただ、「デフレだから不況になる」という考え方は間違いです。」
(『社長学入門』191~197ページ)

 

不況のせいで潰れる会社は一つもない

 不況のせいで潰れる会社というのは本当は1社もないのです。会社が潰れる原因の9割は、経営者の責任であったり、会社内部の問題だったりするのです。倒産の9割は「会社の内部」に原因があるのです。

 不況で業績が上がらないことはありますが、逆に伸びている会社もあります。業績が上がらない会社の社長は、「人の生、環境のせい」と考えている場合が多いのではないでしょうか。この考え方が会社の成長を止めています。

 不況や環境のせいではなく、経営者である自分や会社に原因があると考えることが「智慧の経営」の出発点なのです。

「自らに厳しく、自らを反省し、見つめ直すことが大事です。不況のときこそ、経営者は真にその腕を磨かれ、会社は真に強い会社として生まれ変わることができるのです。

 改めるべきは、「謙虚でない心」です。」(参考『智慧の経営』P-41 43~44)

 経営者ほど「人のせい、環境のせいにしやすく、また慢心しやすい人種はいない」ということは肝に銘じていただきたいと思います。

 経営者にとって、「慢心は最大の敵」と考えてください。経営者が慢心すると、人からも環境からも学べなくなってしまうのです。

 ちょうどブームに乗るなど企業のタイミングが良かったり、好景気が続いたりなどの理由により、経営者の手腕以上に成功してしまう場合があります。そういう企業の場合、不況の到来など外部環境の変化によって経営不振に陥ることがあります。

 この場合、それまでの考え方を変え、経営内容を見直し、必要な体制を整えるなど、事業の再構築をする必要があるのです。

「不況のときに倒れる企業というのは、それまでは単に追い風だったから進んでいただけで、実際は、風が止まったら動かないような経営内容だったのです。調子が良い時期に、自分たちを省みて、自分たちの会社の経営内容、仕事内容、お客様の要請、要求をよく考えていたかどうかということです。単に景気が良いから物が売れていたのであって、お客様のほうが物を選び始めたら、とたんに買ってくれなくなった。それだけのことがあります。それは、本当に環境が悪いのでしょうか。必ずしもそうとは言えません。

 このように、環境の悪化によって悪い事態が起きることもあるけれども、それは、あなたが

甘いということを教えてくれているのです。「甘いです。実力ではありませんよ」ということを教えてくれているのです。ですから、それを知ったならば、反省してやり直す以外にないのです。」(「無限の愛とは何か」講義』P-28~29)

 会社が潰れるときは、たいていトップから腐っていく。経営者が優秀であれば、どのような危機も乗り越えることはできる。

 経営者は、従業員を護り、その家族を護るために勇ましく戦ってほしいものです。

 

 総裁は、『日本の繁栄は、絶対に揺るがない』で以下のように説かれました。

「あるアンケート調査によると、潰れた会社の経営者に、その原因を訊くと、七割から八割ぐらいの経営者が、「不況のせいで会社が潰れた」と答えています。一方、金融機関に同じ質問をすると、「その会社が潰れたのは、不況が原因である」という答えは三割弱に減ります。認識にこれほどのギャップがあることは、知っておいたほうがよいでしょう。
 しかし、さらに踏み込んで言うならば、不況のせいで潰れる会社というのは、本当は一社もないのです。会社が潰れる原因の九割は、実は、経営者の責任であったり、会社の内部の問題であったりするのです。
 この点について、一度、身も心も引き締めなくてはなりません。経営者、もしくは経営者を支えている経営幹部まで責任は及びますが、倒産の九割は、「会社の内部」に原因があるのです。
 好況のときに会社が潰れないのは普通のことなので、経営能力は特に必要ありません。不況のときこそ、経営能力が試されるのです。その意味で、「会社が潰れるときは、やはり内部に事情があり、特に経営者に問題がある」ということを知っていただきたいのです。
 「魚は頭から腐る」と言われるように、会社が潰れるときは、たいていトップから腐っていきます。いちばん腐敗しやすいのがトップなのです。
 「会社が潰れたのは不況のせいである」と言って責任を逃れたいという、経営者の気持ちは分かりますし、政府に対策を求めたい気持ちも分かりますが、「百年河清を俟つ」がごとく、政府の対応を待っていても、しかたがありません。
 政府がいくら金をばらまいたところで、自分の会社のえぐれた部分は埋まるものではありません。経営者および経営幹部は、社員と一丸となって、危機を乗り越えていこうと努力しなければならないと思わなければなりません。
 会社はトップの甘い判断によって潰れることがほとんどです。好況のとき、成功しているときは、脇が緩みすぎ、失敗すると、「部下のせい」「他の企業のせい」「政府のせい」と、誰かに責任を負わせようとしがちです。しかし、すべてはやはり経営者の見識の不足であると考えなくてはなりません。
 そして、自らに厳しく、自ら自身を反省し、見つめ直すことが大事です。不況のときこそ、経営者は真にその腕を磨かれ、会社は真に強い会社として生まれ変わることができるのです。
 世相を見れば、「時代が今、また、マルクスの『資本論』の時代に戻った」などと言われ、少し左傾化してきているようではありますが、負けてはなりません。
 経営者が優秀であれば、どのような危機も乗り越えることはできます。トップ一人の責任なのです。
 たとえ、その危機に気づかなかったことで一歩遅れていたとしても、まだ、会社が潰れていないなら、「チャンス」はあります。従業員を護り、その家族を護るために、どうか勇ましく戦ってください。」

 不況期は、自分の会社の事業内容を見直す時期でもある。

 不況であっても、世の中では、何らかの商品なりサービスなりが絶えず必要とされているから、自分の会社が不況期に生き残れる強い体質に変われるかどうかを、いま試されている。

 経営者は、未来の事業の種になるものは何かを常に探し求めるために、常に自己啓発に励み、アンテナを張っておくこと。

 また、不況期は会社の仕事の流れや全体構造を変えるべき時期かもしれない。

 総裁は、『常勝の法』で以下のように説かれました。

「不況の時代は、自分の会社の事業内容を見直す時期でもあります。
 特に、不況期においては、人の目が厳しくなり、人々はほんとうによいものを選ぶようになってきます。その意味で、不況期に強い商品やサービス、事業というのは、ほんとうに優れたものであることが多いのです。
 したがって、不況期においても伸びていくような商品やサービス、商売というものを徹底的に追求していくべきです。
 世の中には大勢の人が生きています。日本には一億二千万人以上の人が生きていますし、海外を入れると六十億人もの人が生活しています。人間が生活している以上、生活に関連する経済というのは、地上からなくなることはありません。何らかの商品なりサービスなりが絶えず必要とされているのです。
 「不況が来たから、売り上げが落ち、利益が落ち、倒産した」と、不況のせいにするのではなく、「自分の会社自体が、不況期に生き残れるような強い体質に変われるかどうかを、いま試されているのだ。不況期の〝禅の公案″なのだ」と思うことです。
 自分の会社の弱い部分はどこなのかを見極めて、強いところを伸ばすことに特化していかなくてはならないのです。
 そして、事業経営者、企業家は、「次の時代の事業の種になるものは何なのか」ということを探し求めなければいけません。それを発見し、育てていくことが非常に大事です。
 これは、本のなかの学問だけでは済まないところもあり、実社会のなかで見ていかなければならない面がそうとうあります。
 未来というのは突然に来るものではなく、現在のなかに必ずそのはしりがあるものです。現在、自分が見ている世の中、人々が言っていること、考えていること、新聞や雑誌やテレビ等で流れている情報、こうしたもののなかに、実は未来のひらめきやヒントがすでにあるのです。人々がまだそれほど気にかけていないものが、次の新しい事業の種になっていったりするものなのです。
 未来は現在のなかで読むことができます。未来の種を見つけることはできます。未来の種子は何であるか、未来産業の種子は何であるかということを常に問い、現在ただいまのなかにある、その種を探していくことが大事です。
 そのためには、常にアンテナを張って、情報を探しつづけることが肝要です。そうした気持ちが必要なのです。
 そのアンテナの感度のよし悪しは個人の責任です。個人の責任として、どのようなアンテナを立てて情報を収集するかということです。自己啓発に励んでおくことが大事です。
 また、不況期は会社自体の全体構造を変えるべき時期でもあるかもしれません。「経費構造をどのように変えていくか。収入構造をどう変えていくか」といった、会社のなかの仕事の流れや構造自体を考えるべきときでもあると思います。」

 不況期には、赤字・不採算部門の人員や予算を締めて、強い部門を伸ばしていくこと。

 会社の売上額の20パーセント以上の投資をする危険性を念頭に置くこと。

 一定以上の成功を収めたら、「負けない戦い」を考え、資金や人員のむだな投下、無謀な計画を中止し、健全なところに絞り込んでいくこと。

 ローコストを実現し、人材を選別して、経営体質を強化すること。

 人材への投資・教育をして、内部の力を充実させておくこと。

 総裁は、『繁栄の法』で以下のように説かれました。

「不況期には、赤字の部門、不採算部門の人員や予算を若干締めて、強い部門をどんどん伸ばしていくことが大事です。
 もっとも、赤字には、健全な赤字、積極的な赤字というものがあります。いまは赤字であっても、将来は発展する可能性が高く、二、三年すれば黒字になって会社を支えるような部門があるのです。
 こういう将来性のある部門、将来は黒字に変わることが見えている部門については、削らずに頑張り抜かなければいけません。これは先行投資です。
 しかし、構造的な赤字部門は縮小していき、そこの予算や人員をシフトして、黒字の部門を強化していく必要があります。
 それから、不況期には投資の仕方が非常に難しく、一般的にいって、会社の売上額の20パーセント以上の投資は危険です。この点を常に念頭に置いておくことが大切です。
 欲望がふくらみすぎると倒産の原因になり、大勢の社員が路頭に迷うことになるので、企業家は非常に堅実な考え方をしなければいけません。一本調子の発展ばかり望むことはできないのです。
 経営者というものは、最初はアイデア豊富にいろいろなことへ挑戦していくのが普通ですが、一定以上の成功を収めたあとも消えずに残っている人は、ある程度の段階からは、「負けない戦い」を考えているものです。
 経営者は、「これはやめておこう。これはしないほうがよい」ということが分からなければだめなのです。
 一見、撤退に見えることや、一見、消極的に見えることのなかにも、実は、発展の芽はあるのです。
 「資金や人員のむだな投下をやめ、無謀な計画を中止し、健全なところに絞り込んでいく」 これは植木の剪定のようですが、非常に大事な考え方です。
 不況期には、「経営体質」を強化することも非常に大事です。
 好況のときには、広告宣伝費や交際費などに湯水のごとくお金が使えて、脇が非常に甘くなっているものなので、不況期には、会社の体質を強くすることが重要になります。
 会社の体質強化のためには、まず、むだなものを削り、ローコストを実現することです。また、人材について、“社内失業”をしている人とそうでない人とを見わけなくてはなりません。この時期に、「ほんとうに大事な人はだれなのか。ほんとうに稼いでいる人はだれなのか」ということを見きわめていく必要があるのです。
 それから、人材への投資、教育も大事です。いったん景気がよくなると、社業がどんどん拡張していくので、それに備えて、しっかりと社員教育をしておく必要があります。その時点ですぐに収益にはつながらなくても、社員によく勉強をさせて、将来のための蓄積をつくるのです。
 このように、不況期には内部の力を充実させることが非常に大事です。」

 

不況の乗り切り方

 やらなければいけないことは、「必要なもの以外は残らない」という法則に忠実に生きること。

 会社に勤めている人であれば、必要な仕事ができる、必要な人材であるよう努力すること。

 自営業や会社経営であれば、まずはぎりぎりまでコストを下げ、製品の単価を下げる経営努力をした上で、なぜその製品が必要なのかを考え抜いて、消費者が欲しがるものを提供する努力をすること。

 努力していれば道は開ける。

 総裁は、『感化力』で以下のように説かれました。

「国全体や時代の流れにおいて、逆風が吹いているようなときには、個人としては、なかなか努力のしようがないものです。経営者もたいへん苦しいでしょう。自分の考えだけでやれる場合ならよいのですが、大きな流れとして不況が起きたり、あるいはデフレ現象のようになってきたりすると、苦しいのです。
 しかし、やらなければいけないことは一つです。いつも一つしかないのです。それは何かというと、結局、「必要なもの以外は残らない」という法則に忠実に生きることです。
 全部が潰れることはありません。必ず、残るところと残らないところが出てくるのです。また、同じ会社のなかでも、残る部門と残らない部門が出てきますし、社員のなかでも、残る人と残らない人が出てきます。これは厳しいことです。
 したがって、社内的には、必要な人材であること、必要な仕事ができることが大事であり、対外的に見れば、「会社としての存続が必要かどうか」ということが問われているのです。
 景気のよいときには、誰もが買ってくれたものが、不況になると、なかなか買ってもらえなくなります。このときに、やるべきことは何でしょうか。
 一つは、ローコスト化して、ぎりぎりまでコストを下げ、製品の単価を下げることです。
 収入、給料が減っているときには、何かを買うにしても、安いものを買うか、品物を選び込むか、このどちらかしかないのです。あるいは、買わないという選択もあります。
 そうすると、まずは値段を下げるしかないのです。そのためには、原価を下げなければいけません。
 原価を下げるためには、どうすればよいでしょうか。これまで放漫経営風にやっていたのであれば、必要最低限の人数で最高の仕事をして、無駄な在庫をつくらず、無駄な部品を残さず、不良品を出さず、ぎりぎりに詰めていかなければなりません。
 もう一つは、「なぜその製品が必要なのか」ということを考えることです。
 その製品が、なぜ必要なのか。この「なぜ」に答えられるかどうかです。
 「お金があるから買える」ということなら、「これは予算の範囲内でしょうから、どうぞ、お買いください」と言っていればよかったわけですが、予算があるかないか分からなくなってきたら、その製品が必要であることを証明しなければいけないのです。その必要性を教えることが付加価値でしょう。
 なぜ人がそれを欲しがるかを考え、欲しがるものを提供することです。それ以外に、生き残る方法はないのです。
 結局は、必要とされるものが残ることが大勢の人にとってよいのです。厳しいけれども、そう思って生きなければいけません。「必要とされる会社になろう。必要とされる人間になろう」と思うしかないのです。努力していれば道は開けるでしょう。」

 

 経営者がまず改めるべきは謙虚でない心です。不況をもって、自分を磨く砥石とすることである。

 黒字をつくるよう、自らを厳しく戒めなくてはならない。寝食を忘れて社業に打ち込む努力には限りはない。

 トップ自身が常に高い目標を胸に抱いてチャレンジしていくことが非常に大切である。

 総裁は、『日本の繁栄は、絶対に揺るがない』で以下のように説かれました。

「そして、改めるべきは、まず、「謙虚でない心」です。不況をもって、自分を磨く砥石としてください。経営者は、“うぬぼれ天狗”になって、自慢をする体質を持っていますが、「不況は自分を磨いてくださる砥石である」と思い、「会社の弱いところや軟弱なところ、また自分を含めた経営幹部の甘いところを、今、徹底的に鍛えてくださっているのだ」と思わなければいけません。
 不況でなくても、日本の会社は常に七割が赤字なのです。赤字である理由は、税金を払いたくないからです。もともと黒字にする気がないのです。そのような甘い経営をしているため、不況が来たらひとたまりもなく潰れてしまうのです。
 国のほうでは増税論議が盛んに起きるわけですが、日本の会社がみな黒字になれば、企業からの税金が納められて、国の財政も回復するのです。
 国や地方公共団体の借金は、もう天文学的な額で、いくらあるか分からないぐらいですが、少なくとも九百兆円以上あると言われています。
 異常な額ですが、このお金を吸っていた者がいることも事実です。国や地方公共団体に何百兆円ものお金を使わせて、赤字を垂れ流してきた会社は、その体質に対して厳しい反省が必要です。
 「黒字をつくらなくてはならない」と、自らを厳しく戒めなくてはなりません。「利益をつくるということは、国の発展のためにもなるし、わが社のためにもなるのだ」ということを肝に銘じなければならないのです。
 「税金を払いたくないので赤字をつくる」というような発想で、甘い経営をしてきた会社は、潰れて当然です。潰れそうになったときに、「救済してくれ」と叫んでも遅いのです。日頃からの精進が必要であると、私は思います。
 では、どのような努力が必要でしょうか。経営トップは、寝食を忘れて、専心、自らの会社の業務に打ち込まなければならず、その努力には限りがありません。多くの従業員たちの生活を預かっている以上、「どのようにして、この会社を立派なものにしていくか」ということを、寝ても覚めても考え続けることです。
 そして、人々を引っ張っていかなければなりません。自らの会社に縁あって入った人たちに、夢と希望と未来を感じさせなければならないのです。
 トップ自身が自らに甘く、現状維持に甘んじているようではいけません。常に高い目標を胸に抱いて、チャレンジしていくことが非常に大切です。
 そういう精神のないトップの下にいる従業員は不幸です。トップの志が低い状態があまり長く続くようなら、そうした会社の従業員は、やはり会社を替わるべきでしょう。もっと志のある経営者の会社へ、転職していけばよいと思います。
 「社会が悪い。時代が悪い」といった言論に、あまり引っ張られてはいけません。経営者も自分で頑張らなければいけませんが、やはり従業員も自分の目を光らせて時代を見ることです。「これからの生き筋は何であるか」ということをよく見て、自分の就職先や、転職先をよく考えることが大切です。」
(112~115ページ)

 日本の国力は、まだまだ強く底堅い。不況のせいで自分の会社が潰れようとしているとは思わないこと。

 企業家精神を発揮して、事業を大きなものにしていこうと強く願うことで、危機を突破できる。

 「勇気」と「チャレンジ精神」と「希望」を持って努力してほしい。

「不況の時代ではありますが、どうか、不況のせいで自分の会社が潰れようとしているとは思わないでください。

 今、日本に必要なのは、「強い企業家精神」です。アイデアも必要ですが、単なる発明だけでは駄目で、そのアイデアをグループで研究し、組織化し、押し広げていこうとする努力が必要です。企業家精神を発揮して、事業を大きなものにしていこうと、強く願うことです。そうであってこそ、危機を突破できるのです。
 また、「教育投資」も大事です。今こそ、投資すべき人材を選別して教育するとともに、経営者自身も自らに教育投資をすることが大切です。
 さらにマクロの面から言うならば、政府はケインズ経済学の間違いに気づくべきだと思います。
 ケインズ経済学では、「恐慌のときには、ピラミッドを造ったり、ただ穴を掘って埋めたりするだけであっても、雇用を生めば景気は良くなる」ということを説いています。先の大恐慌の際にとられたニュー・ディール政策などでは、ある程度、役に立ったかもしれませんが、これはやはり“緊急避難の経済学”です。
 モルヒネなどの麻薬を打ち続けているようなものであり、常時行ったら、当然、国力が弱っていきます。日本も、戦後ずっと、こうした経済学に基づいた政策を続けてきたのであれば、そろそろ考え方を改めるべき時です。
 「大きな公共投資をすれば好況になる」という考えは間違いです。そうではなく、「旺盛な企業家精神を持って、売り上げを伸ばし、利益を伸ばして、会社を発展させる」ということに力を注ぐ人たちを、数多くつくるべく鼓舞しなければなりません。そういう社会に変えていかなければならないのです。
 どうか、「勇気」と「チャレンジ精神」と「希望」を持って、努力していただきたいと思います。」
(『日本の繁栄は、絶対に揺るがない』116~120ページ)

 

不況を乗り越えて

 会社や店が傾いているときは、社長なり経営者なりが、直接、お客さまの話を聴かなければいけない。間接的に聴いているだけでは、悪い報告が上がってこない。

 また、トップが陣頭に立つことで、社長の本気が伝わり、社員も本気になって動き始める波及効果がある。

 さらに、トップがお客さまのところを回ると、与えるインパクトも大きく、社員の百倍ぐらいの〝攻撃力″がある。その時間が無駄になることなどなく、必ず元は取れるもの。

「「商売が傾いているときや、あまりうまくいっていないときには、経営トップが間接情報を中心に判断していることが多いので、直接、顧客に会わなければいけない。そういう時期である」ということです。
 会社や店が傾いているときは、社長なり経営者なりが、直接、お客さまの話を聴かなければいけません。会って話を聴き、「わが社の製品、商品、サービスについて、どう思っているのか。どう感じているのか」ということを伺わなければいけません。そういう時期なのです。
 間接的に聴いても、部下を通すと、悪い報告が上がってこないのです。それが、潰れる会社の特徴です。
 悪い情報は、途中の段階ですべてシャットアウトされ、良い報告だけが上がってくるようになり、トップは〝イエスマン″ばかりに囲まれるようになります。会社が潰れる前の段階では必ずこうなるのです。
 トップが、「普段、自分を取り囲んでいる人たち」ではない人に直接会うことの効用としては、「波及効果」というものもあります。トップが陣頭に立って動き始めると、「社長は本気である」ということが伝わり、社員も本気になって動き始めるのです。
 会社組織には、社長以下、重役、部長、課長、係長や主任、平社員がいて、その間を、いろいろな間接情報が上がったり下りたりしているでしょう。
 ところが、トップが、重要なお客さまのところを回ると、直接、情報が入ってきます。さらには、相手に与えるインパクトも大きいのです。
 特にトップの〝攻撃力″は非常に大きく、一定以上の規模の会社の場合、社長自らがお得意さまを訪問することには、普通の社員の百倍ぐらいの〝攻撃力″があるのです。
 先方が不在の場合は、社長が名刺を置いてくるだけでも効果があります。「社長が来た」ということで、相手としても、何らかの返答をしなければいけなくなりますし、社長が来た用件を推測し、「あの件かな」と分かれば、対応を検討し始めることもあります。そのように、名刺一枚でも効果は大きいのです。
 不況のときは、もう一度、社長としての原点に戻ったほうがよいのです。
 他社の社長が、携帯電話ぐらいで用件を済ませたり、情報を取ったりしているときに、社長自身が直接に訪問するとなったら、この差は、かなり大きいのです。
 したがって、大事なお客さまのところには、直接に足を運ぶ努力を惜しんではなりません。
 トップの〝攻撃力″は社員の百倍あるのですから、時間が無駄になることなどありません。「電話なら一分で済むのに」と思うかもしれません。直接出向いたら三十分かかるかもしれません。しかし、その三十分は無駄ではないのです。必ず元は取れるのです。」
(『日本の繁栄は、絶対に揺るがない』43~49ページ)

 勤勉であることが大事であるが、それには、仕事だけではなく私生活における自己形成という意味も含まれている。

 この勤勉さのもとにあるものは「志」であるが、世の中に対して微力であっても何らかの愛の一滴を加えたいという気持ちである。

 この志は、仕事をしているうちに だんだん出てくるものである。

 大川隆法総裁は、『不況に打ち克つ仕事法』で以下のように説かれました。

「全般的に、業種を問わず、役職や立場を問わず、一般論として、「不況に打ち克つ社員学」というテーマで、今、言えることは何でしょうか。それを最も単純化して言うならば、やはり、「勤勉であれ」ということです。
 まず、「自分は勤勉かどうか」を問うてください。
 社員全体が勤勉な会社は、不況期でも熱気があり、元気であることが多いものです。一方、会社が傾いてくるときには、たいてい、怠け者が増えてきます。「手を抜いて仕事をそこそこにし、ほかのことをやり始める」「関心が会社の外にあり、遊びのほうに頭が行っている」などということが多く、会社の危機に気がつかない人が多いわけです。
 したがって、今、自分の置かれている立場がそれほど高いものでなくても、常に、全社的な問題や経営の問題に関心を持ち、いろいろなものをいち早く察知しようと努力すると同時に、自分の与えられた持ち場のなかで、勤勉な努力を積むことが大事です。
 その勤勉さのなかには、「仕事における勤勉さ」だけではなく、「オフ・ビジネス(仕事を離れた私生活)における自己形成という意味での勤勉さ」も含まれています。
 これが、不況期全般にわたってリストラされず、しかも、場合によっては、不況にかかわらず昇進していくための最低限の条件なのです。
 もちろん、この勤勉さに、熱意や情熱が伴っていることが望ましいでしょう。そうした「熱意を伴う勤勉さ」があれば、何とか切り抜けていけるだろうと思います。
 あるいは、これから会社がバタバタ潰れると思いますが、万一、自分の勤めていた会社が潰れたとしても、一定の期間を置いて、またどこかに転職しなければいけませんし、自分で会社をつくらなければいけなくなるかもしれません。しかし、「勤勉に働いた」ということに対する実績というか、自信のようなものが、次の活躍の舞台で生かされることがあるのです。ゆえに、熱意を伴う勤勉さを大事にしていただきたいのです。
 では、勤勉さのもとにあるものは、いったい何でしょうか。それを考えると、私は、やはり、「志」という言葉が思い浮かびます。古い言葉ですが、どうしても、「志」という言葉が出てくるのです。
 それは、「世の中に対して、微力であっても、何らかの愛の一滴を加えたい」という気持ちであり、大きな言葉で言えば、「人類の進歩にわずかなりとも貢献したい」という気持ちです。「世の中を少しでもよくしたい」という思いです。そういう志が、勤勉さのもとにあるのです。
 自分の持ち場はたとえ小さくとも、「そういう志があるかどうか」ということで、その人の未来は大きく変わっていきます。
 もちろん、「志が降って湧いてくるか」と言えば、そうではないでしょう。志とは、仕事をしているうちに、だんだん、出てくるものなのです。
 最初は、小さな志でもよいのですが、仕事をしているうちに、だんだん目覚めてくることがあります。「ある日、突如、天啓に打たれて目覚める」ということもありますが、やはり、「仕事をしているうちに、だんだん本気になってきて、熱意を帯びてくる」というのが、本当のところです。必ずそうなると思います。」
(79~82ページ)

 なくてもよい仕事は、これからはなくなっていく可能性が極めて高い。

 昔からの伝統に甘えて、これからも生き続けようと思っているならば、厳しい未来がやってくる。

 身を引き締めて、従来やってきたことを、そのままやり続ければよいという考え方は捨てて、日々にイノベーションをし、新しい道を開くことを考え続けなければならない。

 大川隆法総裁は、『朝の来ない夜はない』で以下のように説かれました。

「基本的には、「新しい価値を生み出す」ということに専心しなければ駄目です。「これまで世の中になかったものを生み出す。自分の仕事において、新しい価値、新しい値打ちを生み出す。『従来やってきたことを、そのまま、やり続ければよいのだ』という考え方を捨てて、新しい値打ちをつくり出す」ということが大事です。どの仕事においてもそうです。
 なくてもよい仕事は、これからは、なくなっていく可能性が極めて高いと言えます。今は、「むしろ、ないほうがよい」という仕事も、数多くあるはずです。
 日本は財政危機ですし、世間の相場から見ると、公務員の仕事の生産性や創造性の部分に、いずれ厳しいメスが入ることは確実です。
 それは2007年からの教育改革においても同じです。
 今の学校は、大量の教員を雇い、国家や市町村の予算を莫大な規模で使って教育を行いながら、不良や非行少年などを次々と出しています。
 信仰心がなく、人間として立派ではない人を数多くつくり出しているのならば、仕事が悪いのです。そういう悪い仕事には絶対にメスが入ることになり、生き残りを懸けた戦いは必ず始まります。(不良教員のリストラを十分やらず、またしても、政府は大量の教員増に踏み切るようですが、民間企業からもっとアドバイスをもらうべきです。)
 それは、ほかの業界でも同じです。老舗や大手と言われる会社でも、信じられないような問題が次々と起きています。例えば、不二家や雪印といった有名な会社もそうですし、伊勢名物の「赤福」のように何百年も続いてきたところもそうです。「白い恋人」というお菓子で有名な北海道の会社でも問題が起きました。船場吉兆も厳しい結果が出ました。
 経営学の手本になるような有名会社や、経営的に安定していて長く続いている老舗でも、何かの事件をきっかけにして経営が傾くようなことが起きています。
 そのように、「ロングヒットの商品などで大きな利益を出し、極めて経営が安定している」と周囲から思われ、従業員もそう信じ切っており、社長も慢心し切っていたような会社が、「何かの事件を契機として経営不振に陥り、倒産の危機に見舞われる」ということを、これから、さまざまなかたちで、繰り返し何度も目撃するようになると思います。
 身を引き締めていかなければなりません。「身を引き締めて、世の中に、新しい付加価値を生み続けなければ、生き延びることはできない」と思わなければならないのです。
 「昔からの伝統」に甘え、「これは昔から認められているものだから大丈夫だ」「この商品は昔から多くの人が食べてくれているから大丈夫だ」「教育とは、昔からこういうものなのだから、これでよいのだ」などと考えて、従来型のものに依存し、これからも生き続けようと思っているならば、非常に厳しい未来がやってくるであろうと思います。
 したがって、「日々にイノベーションをし、新しい道を開く」ということを、考え続けなければいけません。」
(25~32ページ)

 

「乱気流の時代」を生き抜くために

 結局、トップ一人の“アンテナ”が間違っていなければ、会社が潰れることはありません。

 乱気流といっても、一種の環境状態であり、それは、いろいろとあるでしょう。しかし、あなたの〝アンテナ〟が正しく作動していれば、潰れることはないのです。それを強く信じればよいのです。
 幸福の科学は、何年も前に予知して、いろいろなことを発信し、事前に警告することがあります。

 「ザ・リバティ」誌等に載ったようなことが何年かのちに現実になることが数多く起きているので、そうしたことを学んで用心することは大事です。智慧の部分の護りは必要です。
 ただ、幸福の科学の中心リーダーであれば、絶対発展しなければいけないのです。
これから乱気流の時代になって潰れる会社が出るとは思いますが、むしろ、そういう人たちを助けてあげるぐらいの気概を持ってください。

 

不況期の心構え

 不況のときにこそ、自社の弱点を克服し、長所を徹底的に伸ばすべきです。そういう時代を生き抜くためには、「堅実さ」というものが非常に大事です。それは、「堅実に経営する」、あるいは「堅実に生きる」ということ、それから「要るものと要らないものを はっきり分ける」ということです。
 堅実な考え方を持っていないものは必ず敗れます。「一か八か」ということばかりをしていれば、どこかで必ず敗れるのです。
 したがって、「それは自分にとって必要かどうか」ということを考えるべきです。 バブル的な妄想にふけらないように努力する必要があるのです。
 また、厳しい時期には、「弱点を克服し、長所を伸ばす」ということを念頭においてください。厳しい時期は必ず何年かで明けるので、そういう姿勢で努力を続けていけば、その時期を超えたあとに快進撃が可能になります。
 「これからは乱気流の時代が来る」と見るべきですが、ただ、「夜が明けない」ということは絶対にありません。その日のために身を引き締めて努力することが大事です。
堅実さと努力・精進の大切さを忘れないでください。

 

中小企業 不況の直撃  

 大川隆法総裁は、以下のように説かれました。

「最近は企業の倒産件数が非常に増えていますが、倒産と自殺もかなり関係があります。
 中小企業の社長にとって、政府絡みの仕事で不況の直撃を受けるというのは、予期しない事態です。大企業ならば、多少はそういうことも考えていたかもしれませんが、中小企業では、そこまで考える力もなく、突然の景気の変化によって、乱気流状態に陥ってしまったのです。
 それまでの浮いた気持ちが吹き飛んでしまい、「仕事だ、仕事だ」と言って、一生懸命にやろうとするわけですが、贅肉が付いた体質は急には切り替えられません。売上を伸ばそうと頑張っても、不況なので、あまり伸びません。また、仕入れ先に対して、できるだけ安く買いたたこうとしても、先方も、「それでは、うちの会社が潰れてしまう」と言って、一生懸命に懇願してくるので、それもできません。従業員のクビを切ろうと思っても、好景気のときに、「一生、君たちを養ってあげる」と公言していた手前、切るに切れません。そして、追い込まれていくのです。」
(『大悟の法』)

「「会社が傾き、どんなに努力しても回復できない」「新しい商売が成り立たない」「銀行からの融資が下りない」などという理由で、企業の経営者が自殺することも多いのです。
 彼らは悪い人ではないのでしょうが、「悩みが一点に止まってしまい、それが、ずっと続いて解決しない」という状態になると、その苦しみの波動は、必ず、同通する霊を呼び寄せます。その人に通じるものが来るのです。自殺しようとしている経営者のところには、すでに自殺した経営者の霊が来ます。
 霊のほうは、必ずしも、悪意を持って、あの世に引っ張っているわけではなく、迷っているだけである場合もあるのですが、そういう霊が来ることによって、生きている人は、悲しみや悩みが増幅されて、悩乱します。そして、「前途をはかなんで死んでしまう」ということが起きるのです。」
(『神秘の法』)

「世の中には、自分の思うようにならないことは、たくさんあります。それは、しかたがありません。自分としては、よいと思っても、周りの状況が許さないこともあります。客観的に見て、どうしても必要なものであれば、生き延びていくはずですが、「生き延びられない」ということは、「厳しい競争にさらされている」ということなのです。もっとよいサービスを提供したり、もっとよい商品を出したりするところが必ず出てくるわけです。
 そういう競争に打ち勝てなければ、敗れていくことになります。敗れる者は悲しいけれども、「それによって、社会全体としては進歩しているのだ」と思って、諦めることです。
古いままで、いつまでも、いまの商売を護ろうとしても、護り切れるものではないのです。時代は変わっていきます。時代の流れだけは、どうしようもないところがあるので、そのなかで生き方を決めていかなければなりません。時代の流れを恨んでも、しかたがないのです。」
(『生命の法』)

 

不況の乗り切り方

 どんな不況のときでも着実に業績を伸ばしている会社や事業はある。

 不況のときこそ創意工夫が試されるから、その余地がないかどうかを もう一度冷静に考えてみること。それでもだめならば、淘汰される側に入っていることを運命と思って受け入れることである。

 大川隆法総裁は、『「幸福になれない」症候群』で以下のように説かれました。

「ただ、私は、「どのような不況のときでも、着実に業績を伸ばしている会社や事業はある」と述べておきたいと思います。むしろ、「不況のときこそ、創意工夫が試される」と考えたほうがよいのかもしれません。
 好況のときは、だれが商売をやってももうかるのですから、だれもがその仕事を始めようとします。
 その結果、過当競争が始まり、淘汰が行なわれます。ほんとうに必要なものかどうか、ふるいにかけられて、倒産するところが出るのです。
 そのときに、「おかしい。こんなはずではなかった」と言っても、しかたがありません。必要でもないのに大勢の人がやっているのならば、やがて転業していかざるをえないのです。
 問題は、そのときに、あなたがどちらに入っているかです。
 いまの業界のなかで生き残っていくためには、創意工夫が必要になります。同業他社がやっていない工夫を何かすることです。他と違うユニークなところを出して目印をつくり、差別化することです。
 好況のときにもうけるのは比較的簡単ですが、不況のときに堅実経営をして乗り切っていくことができてこそ、あなたには経営の才能があると言えるのです。
 したがって、まず、創意工夫の余地がないかどうか、もう一度、冷静に考えてみていただきたいのです。
 それでもだめならば、あなたは淘汰される側に入っているわけですから、運命だと思って受け入れてください。
 動物の世界を見ても、植物の世界を見ても、自然淘汰というものがあります。特定の生物が一定数以上に繁殖すると、必ず生存競争が生じて、その生物が一定の数まで減るようになっています。これは大自然の法則です。
 こうした法則は、人間界にも、ある程度及んでいます。
 したがって、「運命的に見て、自分は淘汰される側に入っている」と思ったならば、自分の適職を見つけるように努力し、転業することです。人生には運命の流れがあるので、それに対して、いつまでも自分の頑固さだけで抵抗していてもしかたがないのです。
 もちろん、「先祖代々やってきた」「自分はこの商売が好きだ」などということもあるでしょう。しかし、「自分には一つの才能しかない」と思い込むことはありません。何か一つの商売がじょうずな人は、他の商売をやっても、たいていじょうずにできるものです。したがって、何か別の仕事を考えてみてください。」
(259~263ページ)

 

不況期には経営体質を強化する

 大川隆法総裁は、以下のように説かれました。

「不況期には、「経営体質」を強化することも非常に大事です。
 会社の体質強化のためには、まず、むだなものを削り、ローコストを実現することです。また、人材について、“社内失業”をしている人とそうでない人とを見わけなくてはなりません。この時期に、「ほんとうに大事な人はだれなのか。ほんとうに稼いでいる人はだれなのか」ということを見きわめていく必要があるのです。
 企業であれ個人であれ、不況期や不調時には、「少し身を縮めて、エネルギーを集中させる」ということが必要です。エネルギーを分散させすぎないことです。」
(『繁栄の法』)

 

不況期の基本的な方策

「不況期の基本的な方策は幾つかに絞られてくるものです。一つは「営業力の強化」です。ものを売る力を強くすることです。特に、「トップが陣頭指揮を執り、営業力の強化を図ることが望ましい」と明確に言われています。
 不況期は、同業他社との違いを際立たせるときでもあります。不況は、会社にとって、決して不幸なことばかりではありません。不況期でも、本当に強い会社は、ますます強くなり、伸びていきます。それは、他社との違いがはっきりしてくるからです。お客さまの選別の目はとても厳しくなり、無駄なものは買わないし、悪いサービスは受けようとはしません。財布のひもが固くなり、要らないものには一銭も使わないのです。
 このなかで生き残った会社こそが、本当に強くなり、不況の時期が終わったときには、次の巨大企業になっていくのです。不況期は、そういう選別が自然と働いてくる節目の時期なのです。」
(『創造の法』)

「不況期は、それまで外側の虚飾や華美なものに目を惹かれていたのを、内的なものにシフトすべき時期でもあるのです。信仰心の価値、宗教的生活の大切さ、心の内を見つめること、心の価値、心の時代というものに対して、もっともっと鋭敏になっていくことが必要な時期なのです。
 将来、事業経営者として立つにしても、会社の管理職として人を使う立場に立つにしても、これは非常に大事なことです。これも別な意味での投資だと言うことができるでしょう。したがって、不況のときには、家庭の価値を見いだすこと、それから、自分自身の内側を見つめることです。また、それと並行して、自分に対する教育投資、学習というものを見直してみることです。」
(『常勝の法』)

 

厳しい時代を生き延びる

 この厳しい時代には、現状維持は破滅への道であって、成長を目指さないものは必ず滅びる。個人も組織も、どうすれば成長できるかを考え続け追求していかなくてはならない。それはプロを目指すことである。人並みでは駄目であって、他の人よりも、もう一歩、努力する厳しさを持っていない人には、これからは厳しい時代になる。

 巨大な財政赤字を抱えた国に頼るのではなく、自分たちで努力すること。自分の器の限界を知って、なすべきことをなしていくこと。休みなく日々精進することである。

 大川隆法総裁は、『朝の来ない夜はない』で以下のように説かれました。

「以前に、「プロジェクトX」というテレビ番組が放映されていましたが、その番組のなかでは、「さまざまな人たちが努力し、知恵を結集して、新しいものをつくり出していく」という姿が描かれていました。
 それと同じように、「世の中に、新しいものを生み出していく」「自分の持ち場のなかで、新しいものを常に生み出していく」という態度を持ち続けること、日々に進歩し続けること、毎年毎年、新しい仕事にチャレンジしていくこと、これが、厳しい時代を生き延びる条件なのです。
 会社であっても、会社以外の組織であっても、「成長を目指さないものは必ず滅びる」と思っていたほうがよいでしょう。成長というものを求めなければいけません。個人においても組織においても、「どうすれば、拡張し、成長することができるか」ということを考え続け、追求していかなくてはならないのです。
 現状維持は破滅への道です。「現状維持では駄目なのだ。次から次へと、新しいアイデアをつくり、新しい行動を起こしていかなければならないのだ。それ以外に生き延びる道はないのだ」と考えることが大事です。
 「過去の成功に、あぐらをかいてはいけない。去年の成功によって今年の成功が保証されているわけでは決してない。来年についても同じである。知恵を絞り、汗を流し、努力に努力を重ねていく。これが大事なのだ」と述べておきたいと思います。
 今、国家としての日本は、指導者がいないに等しい状態です。
 今の日本は、国として成り立たないぐらいの巨大な財政赤字を抱えているので、こういう国に何かを頼ってもしかたがありません。借金を抱えて追いつめられていくと、正常な判断ができなくなっていくように、国が巨大な借金を抱えている状態では、まともな判断ができるわけがありません。
 本来なら、今の日本を動かしている人たちは、一人残らずクビになってもおかしくありません。民間会社でこれほどの赤字を出せば、役員層は全員がクビになるでしょう。そういう人たちが国を動かしているのですから、今の日本は、それほど良くなるとは思えません。
 そこで、どうか、自分たちで努力してください。たとえ十社のうち九社は潰れても、生き延びる一社になれるように、あるいは、十人のうち九人は給料を下げられたり、解雇されたりしても、生き延びる一人になれるように努力してください。
 それは、おそらく、「プロフェッショナルへの道」でしょう。プロを目指すことだと思うのです。人がやらないところにプラスアルファの努力を加えることです。人がしていない努力を少し加えなくてはなりません。人並みでは駄目なのです。他の人よりも、もう一歩、努力することです。
 「それだけの厳しさを持っていない人には、これからは、厳しい時代になる」と述べておきたいのです。
 会社が倒産し、社員が失業したあとでは、宗教の救済にも限界があるのです。なかなか救えないのです。だから、その前に、予防措置として、やはり考え方を変えるべきです。考え方を変えて戦わなくてはなりません。勇ましく戦ってください。
 ほかのもののせいにして、「時代がこうだから、しかたがないのだ」というようなことを言っていると、会社なら潰れてしまいます。どんどん創意工夫をしていかなければなりません。また、自分の 器というものをよく見つめなくてはいけません。自分の器の限界を知って、なすべきことをなしていくことです。
 日々の精進が大事です。休みはありません。」
(36~40ページ)

 デフレで不況のように見えたとしても、それは努力しない場合であり、「デフレだからこそ訪れるビジネスチャンスはある」と考えるのが、経営者にとっての正しい心構えである。

「不況のときは、とにかく、経営の体質の甘いところ、贅肉をどんどん削いで、まず考えるべきなのは、「収益のいちばん高いものは何なのか」ということです。
 採算の悪い部分は、もちろん少々縮小しなければいけないでしょうが、とにかく、収益率の高いものを伸ばすというのがいちばんの戦略です。それから、「需要の発見と創造」といいますけれども、常にお客様中心であることです。
 もう一つは、「リーダーシップの取り方」として、トップが環境の激変に迅速についていけるだけの舵取りをすることです。勇猛果敢な舵取りをし、“のったりのったり”やっていたら駄目です。やはり、環境の変化に俊敏に対応していくだけの舵取りをやること。これが非常に大事なことではないかと思います。(『エル・カンターレ 人生の疑問・悩みに答える 発展・繁栄を実現する指針』より)

「幸福の科学の会員のみなさんには、常々、仏法真理知識を学ぶようにとお勧めしていますが、その理由の一つは、結局、「転ばぬ先の杖」であることが多いわけです。知らないということにより、みすみす陥穽に落ちていく方が数多くいるのです。
 経営ひとつとってもそうです。経営能力の高い人からみれば簡単に乗り切れるような経営危機に際して、経営能力が低い人であれば、すぐ会社を潰してしまいます。
経営そのものは、特に教えてくれる人はいないわけで、自分で勉強し、考え、行動してマスターしていくものなのです。経営能力は一代で身についていくものですから、なかなか人から教わってできるものではないわけで、経営手法の未熟さによって倒産などが数多く出てくるわけです。
 ですから、この世的には優れた方も数多くいますが、一段高い立場から見たら、聡明な方であっても、やはり無明のなかにあることは間違いありません。特に、三次元的には最大の能力を持っていて、最高の知性のように見える方であっても、実在界の眼から、高級霊の眼から見たら、何もわかっていないのとほとんど同じなのです。」(『心の挑戦』より)

「基本は、防衛が大事ですから、普通の給料であれ、ボーナスであれ、あるいは会社の利益であれ、手堅く、蓄えるものは蓄えて、無駄な経費を使わない努力をすることです。「プラスを増やしてマイナスを減らす」というのは基本原則なのです。個人においても企業においても、基本原則は一緒です。
 ただ、こういう乱気流の時代は、“チャンスが生まれる時代”であることも事実であるのです。今まで、正当な、順風の時代には、大きいところ、強いところが必ず勝つのが普通です。しかし、これからは、そうでないことが起きる時代であり、気流が変わってくる、あるいは水の流れが変わってくる時代に入ってくるので、大手といわれるところが撤退を余儀なくされるようなことがあり、小さいところに実はチャンスが出てくるときもあると思います。(『コロナ不況にどう立ち向かうか』より)

「「策士、策におぼれる」の言葉どおり、知者は知におぼれ、知の限界で敗れることがあります。できるかぎり智慧を巡らせたら、あとはやはり体力や気力です。
 未知のこと、これからやろうとすることについては、いくら調べても結論が出ないことがあります。材料を集め、考えに考えて、それでも結論が出ないことがあります。そのときに、結論が出ないままでいたのでは駄目なのです。たとえ間違ったとしても、決断をしなければいけないことがあるのです。特に企業のトップはそうです。
 智慧は尽きることがあるので、最後は度胸が必要です。これもまた、人生の勝負に勝つ方法だと思います。(『智慧の経営』より)

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