起業家精神

 

アントレプレナーシップ

既存の枠にとらわれずに新しい価値の提供にチャレンジする

 「アントレプレナーシップ」は、「起業家精神(企業家精神)」と訳されますが、最近では起業家精神を持って行う活動全般を指すようになっています。ちなみに、語源は貿易商(仲買人)を意味するフランス語「Entrepreneur」で、それが後に英語表現として使われるようになりました。今、アントレプレナーシップが意味するのは、独創性や進取の気性によって新しいビジネスを立ち上げたり、これまでなかった製品やサービスを開発したりするなど、既存の枠にとらわれずに新しい価値の提供にチャレンジする人、ということが一般的となっています。

 「ベンチャー起業家」のことに限定して用いられるケースがありますが、今や実態はそれだけに限りません。企業内で新しい事業を立ち上げたり、新しいアイデアを形にしようとしたり、創意工夫を重ねている人なども含め、広く捉える必要があります。

 背景には、近年、アントレプレナーシップが企業で強く求められるようになってきたことがあります。ビジネス環境が高度化、複雑化する中で、既存の商品やサービスのライフサイクルがいや応なく短期化しています。すると、今までの延長線上の決まった枠組みの中では、新しい価値をなかなか創造できません。イノベーションを起こすには、アントレプレナーのような固定観念を覆す独創的なアプローチが不可欠なのです。

 また、終身雇用や年功序列による評価が崩れつつある最近の日本企業では、一生同じ会社に勤めることは以前と比べて少なくなっています。企業側も言われた通りに行動する人材より、リスクを恐れず、自発的に新しい価値の提供に取り組む人材を評価するようになったことも、アントレプレナーシップが求められる要因として大きくなっています。このようなことからも、これからのビジネスパーソン、特に経営の中心に位置する人には、新しい「業」を起こすアントレプレナーシップが強く期待されます。

 

 企業家精神とは、単に変わったことを言うことではない。基礎的なことはきちんとやりながら、さらにプラスアルファとして、「自分としては、この部分をこのように変えていきたい」と考えることである。

 そのためには、当たり前のことを当たり前にできるように教育していき、その上で、あえて新しいものに挑戦していく「勇気」を教えなければいけない。そして、リスクを冒すに当たり、それをできるだけ小さくしながらチャレンジしていく「智慧」を身につけさせることが大事である。

 学校で言えば、学校新聞の編集方針の一部を少し変えたり、部活のやり方を変えたり、生活の時間帯をいろいろと変えてみたり、文化祭のあり方を多少改善してみたりするような小さなところから、企業家精神というのは育っていくものである。

 幸福の科学大川隆法総裁は、『教育の法』で以下のように説かれました。

「企業家精神の旺盛な子供というのは、どちらかというと、扱いが難しい面があります。個性が強く、自己主張も強いので、教える側がそれに耐えなければいけないところもあるのです。
 ただ、その企業家精神というのも、「単に、変わったことを言うだけではいけない」ということを理解しなければいけないのです。
 やはり、基礎的なことはきちんとやりながら、さらにプラスアルファとして、「自分としては、この部分をこのように変えていきたい」と考えるようなタイプの人間でなければいけません。全体としては、ある程度、学年を追って基礎的なことがきちんとできるようにしなければいけないということです。
 もちろん、企業家には、リスクテイキング、つまり、自らリスク(危険)を取ろうとするタイプが多いのですが、単に、いつもリスクを冒してばかりの人をつくることが大事なのではありません。
 リスクを冒さないかぎり、企業家にはなれませんが、リスクを冒すに際して、それをできるだけ最小にしていく努力をすることが大事です。リスクをミニマイズ(最小化)しながら、新しい道を拓いていこうとするような子供を育てていかなければならないわけです。
 したがって、新しいことに挑戦すること、チャレンジすることの大切さを教えると同時に、「当たり前のことを当たり前にできるようにする」ことが大事です。当たり前のことを当たり前にできる。さらに、新しいリスクを冒すに当たり、それをできるだけ小さくしながらチャレンジしていく。そういう「智慧」を身につけさせることが大事なのです。
 その智慧を身につけさせる前提として、当たり前のことを当たり前にできるように、ある程度、教育していくことが必要です。その上で、あえて新しいものに挑戦していく「勇気」を教えなければいけないのです。
 当然やるべきことをやり、考えるべきことを考えた上で、リスクを冒してチャレンジしていくことが大切です。そして、多くの人を率いる人間になっていくためには、「どうすればリスクを最小化しながら、チャレンジしていけるか。そして、小さいものからしだいに大きくしていけるか」ということを考えなければなりません。「小さな改革から始めて、しだいに大きなものにしていく」ということを教えることが大事なのです。
 一代で大企業をつくるというのは、簡単なことではありませんが、そのスタート点は、学校で言えば、学校新聞の編集方針の一部を少し変えたり、あるいは、部活のやり方を変えたり、生活の時間帯をいろいろと変えてみたり、文化祭のあり方を多少改善してみたりするようなところにあります。実は、そのようなところから、企業家精神というのは育っていくものなのです。新しいことにチャレンジするといっても、「まったくのでたらめをやる」というわけではないのです。
 そのように、宗教心があって、企業家精神のある人間を育てていくことが、将来的には、教育の再生につながっていくと私は信じるものです。」

 

二宮尊徳精神

 二宮尊徳は、資本主義の権化であり、「一生懸命、勉強すると、お金も儲かるし、事業にも成功する」という考え方をして、勉強と金儲けを結びつけた人である。

 子供たちにも企業家精神を身につけさせることが非常に大事であって、これからの学校教育にとって、この二宮尊徳精神は非常に大事である。

 子供たちに事業が成功するような考え方を身につけさせたら、学校は本当に大きな貢献をしていることになるので、政府が税金を使って学校関係に投資をしても、それは実によいことである。

 大川隆法総裁は、『繁栄思考』で以下のように説かれました。

「「貧乏神のささやきを受けている」と思ったら、それを聞き入れては相成りません。
 特に、今は教育関係者にも貧乏神が取り憑いていることが多いので、その人たちに教わると、教わったほうも貧乏になっていきます。その人たちは、そういう間違った教育を、一生懸命、やっているのです。
 やはり、子供たちにも企業家精神を身につけさせることが非常に大事です。しかし、先生たちが“貧乏神教育”を身につけていると、そういう先生に教わった人たちは、みな貧乏になっていく可能性が非常に高いのです。これでは駄目です。
 二宮尊徳像は、昔は、ほとんどの小学校に立っていて、私の通った小学校にもありました。
 二宮尊徳という人は、実は、いわゆる日教組教育と戦う性質を持っている人なのです。彼は資本主義の権化であり、「一生懸命、勉強すると、そのあと、お金も儲かるし、事業にも成功する」という考え方をして、勉強と金儲けを結びつけた人なのです。
 これからの学校教育にとって、この二宮尊徳精神は非常に大事です。
 子供たちに勉強をさせ、事業が成功するような考え方を身につけさせたら、学校は本当に大きな貢献をしていることになるので、政府が税金を使って学校関係に投資をしても、それは実によいことだと私は思います。
 しかし、学校に税金を投入しても、子供たちが授業を一生懸命に受けたところ、貧乏になったり、税金を払えない会社や倒産するような会社をつくったりするようでは意味がありません。そういう人を大量につくられたら、困るのです。
 出世したり、収入や財産が増えたりすることを、「悪だ」と教えられたら、豊かになりようがありません。あるいは、社長になったり、大企業家になったり、資本家になったりすることを、「悪だ」と教えられたら、そういう人に、なりようがないではありませんか。
 「社長になったら地獄に堕ちるぞ」と言われたら、社長にはなれません。「平社員のままで置いておいてください」と言うしかないのです。もし、「平社員は、みな天国へ行く。社長や重役は、みな地獄へ行く」という教えを説かれたら、地獄へ行くのは怖いので、偉くなりたい人は誰もいなくなります。
 そういう考え方をするのではなく、やはり、より多くの人たちに、世間のお役に立ってもらわなくてはなりません。
 会社的に見ても、社員をより多く雇い、その人たちに給料を払うことができて、多くの人に人生の生きがいを与えることのできる人が必要です。
 「この会社に勤めてよかった。仕事にやりがいがあり、生きがいがあった。会社が発展し、世の中のためになって、とてもうれしかった。よい人生を送れた」と思い、感謝する社員が数多く出てくる会社にすることができたら、その人たちの地位が上がり、重役や社長になっていくことは、よいことなのです。
 そういう方向に行かなくてはなりません。そうなっていくように、学校教育の段階から、企業家精神を養っていかなければならないのです。」

 ところで、起業家精神を別な言葉で言えば、ビー・ポジティブ(Be Positive)、積極的なものの考え方で発展を目指すこととなります。

 また、新しいことに関心を持ち続け、アンテナを張って「好奇心の塊」になること。

 さらに、「売り込む情熱」が企業を大きくする原動力であって、営業力は無視できない。

 大川隆法総裁は、『未来産業のつくり方』でソニーの創立者・盛田昭夫氏の言葉(霊言)を、次のように紹介されています。

「君たちは、あれだろ? 「ビー・ポジティブ」と言っているんじゃないか。
 私も下手な英語で、ずいぶん世界を飛び回ったんだけれども、ビー・ポジティブなんだよ。積極思考がないと、やはり駄目(だめ)だ。起業家精神を別な言葉で言えばビー・ポジティブなんだよ。
 ネガティブだったら、何をやったって、全然、成功しないさ。ポジティブであれば、どこの国の人であろうと、どんな民族の人であろうと、後れて始まろうと、やがて大きくなって追いつき、のし上がってくるんだよ。
 ソニーも、今は、世界中で知られているし、アメリカの会社のように言われている。アメリカ人のなかには、「ソニーはアメリカの会社だ」と思っている人がいっぱいいるよ。名前が英語だからね。
 しかし、元は木造二階建てのぼろっちいところから始まっているんだ。いやあ、最初は大変なんですよ。創業期というのは、どこもみな大変でね。一般に、成功の要因が何もないように見えるものなんだよ。
 われわれも、戦後の焼け野原のなかから始めたからね。もう、なーんにもないよ。技術だって、無線か何かの“親戚”のようなものから始めたんだ。それが、こんなにいろいろなことができる世界的な企業になるなんて、夢にも思わなかったねえ。
 昔は、早い話が、トランジスタのセールスマンみたいなスタイルだったよ。まあ、「ソニースピリット」とか、言い方はいろいろとあろうかと思うけれども、基本的には、ビー・ポジティブだな。やっぱり、積極的なものの考え方で発展を目指すことだ。
 それと、新規なことというか、新しいことに関心を持ち続けることだね。同じことばかりやっていては駄目で、常に新しいものに関心を持ち、アンテナを張ることだ。
 新しい人に会う。新しい商品に関心を持つ。新しい所に旅行する。新しい場所に行ってみる。新しい商品をいろいろと調査したり、新しいビジネスチャンスを探す。そういう「好奇心の塊」かな。
 「好奇心の塊」と「ビー・ポジティブの精神」が重なれば、起業家として必ず大きくなるんだよ。
 ソニーは、一般に技術の会社だと思われているんだが、実際は、ソニーは販売が強いんだよ。ソニーは販売の会社なんだ。やはり、「売り込む情熱」なんだよね。それが大きくする原動力だ。
 言い方を少し間違うと、非常に誤解を生むんだけれども、「いかにして世界最高の製品であることを相手に信じさせるか」ということが、世界企業をつくるポイントなんだ。「いかにソニーの製品が世界最高であるか。最高品質であるか」ということを信じさせる。
 どこの製品も、そんなに大して変わりはしないんだ。ライバル社はたくさんあるから、どこの製品を使おうとも、それは好みの問題であることは間違いない。そういう意味では、営業力というのは無視できないものだよ。最高のサービス、最高の営業を続けるというのは、大事だよなあ。」
(160~169ページ)

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