経営マインドを磨く

 経営マインド(経営頭脳)の持ち方、磨き方というのは、まず「常に考えつづける」ことである。

 自由主義経済のなか、変化していく社会のなかで営まれる事業経営においては、毎日すべてのものが変化しているから、そのなかで仕事を続けるためには、考えつづける作業がどうしても必要である。

 日々、新たに何かを考え出し、付け加えていって何かを生み出していかなければならない。

 幸福の科学大川隆法総裁は、『常勝の法』で以下のように説かれました。

「経営マインドとは、経営頭脳ということです。
 経営頭脳の持ち方、磨き方として、私が最初に述べておきたいことは、「常に考えつづける」ということです。
 平凡なことのように思えるかもしれませんが、この「常に考えつづける」ということを実践することが、すなわち、発展・繁栄の道を歩んでいることになるのです。
 事業経営においては、現在ただいまのままでとどまっているものは何一つありません。毎日毎日、すべてのものが変化しています。日々、新たになっています。
 そして、自分だけではなく、外部環境にかなりの影響を受けます。たとえば、「同業のほかの会社が、どのような経営をしているか。どのような商品を出しているか」ということに影響を受けますし、「市場、マーケットにおいて、人々がどのようなものを求めているか」という、人々の趣味、嗜好にも影響を受けます。
 このように、常に変化を基礎にしているのです。
 常に変化する世界のなかで仕事を続けるためには、考えつづけるという作業がどうしても必要なのです。「これは、三年前、あるいは五年前、十年前に、いったん考えて決めたことだから、あとは何があっても変えない」というのでは、残念ながら、経営者としては失格になるでしょう。
 その典型的な例が役所などに見られます。なかには、戦前につくった法律のままで運営しているような役所もあります。あるいは、外国においても、共産主義体制、社会主義体制のなかで、そういう化石化した信条の下に運営されていた国家もあったようです。
 しかし、自由主義経済のなか、変化していく社会のなかで営まれている事業であるかぎり、毎年毎年というよりも、日々、革新していかねばならないのです。
 基本的なことがあまり大きく変わるようでは困りますが、その基本的な理念を実現していくために、達成していくために行う毎日の作業においては、常に革新がなされなければなりません。常に新しいイノベーションが起きていかなければなりません。きのうよりもきょう、新たに何かを考え出し、付け加えていかねばならないのです。
 したがって、「常に考えつづける」ということがどうしても必要です。この「考えつづける」という姿勢を維持すること自体が、経営マインドを磨きつづけることにもつながるのです。
 しかし、現実を見ると、人間というものは、心のなかにさまざまなことが次から次へと浮かんでくるものであって、毎日の日常生活の取りとめもないことに対する反応や感想はよく出てくるのですが、一定の物事について考えつづけるという習慣は、努力して築かなければ身につきません。また、そういう立場に立たないと、そう簡単にできるものではないのです。
 そして、大事なことは、考えつづけるだけでなく、考え抜いて、何かを生み出していかなければならないということです。考えが力を持つのです。考え抜いて何かを生み出すという過程が非常に大事なのです。」

 たまたま何かの技術によって、ある商品を開発し売り出したところ、それがヒットして事業化され、会社が設立されたときには、経営という問題がどうしても出てくる。

 会社全体、市場全体、あるいは日本の経済、世界の経済、政治が、どのように動いているのか、今後、どのような世の中になるのか。外部環境についての新しい情報などを常に集め続け、こうした全体を見る目、大局観を常に磨いている必要がある。

「お店であれ会社であれ、成功するための秘訣としては、人間に本来備わっている考え方、つまり、自分のほうに取り分を持ってきたいと思うこの自我の部分を抑えて、「ほかの人たちが得をする、利益を得られるには、どうしたらよいか」という考え方をするということです。
 「自分が得よう」と思って行動していると、人もお金も逃げていきます。そうではなく、自分のことを抑えて、他人様のことを考えてみるわけです。ほかの人のことを考えるようになると、逆に自分のほうへ戻ってくることがあるわけです。これが基本的な経営のスタートなのです。」
(『鋼鉄の法』)

「自分は経営者ではないので、実感がわかない」と思う人もいるでしょう。しかし、一人で仕事をしている人を除けば、何人かの部下を使って仕事をしている人は、ある程度、経営者としての意識を持っていなければいけないし、使われる側の人間であっても、使う立場の人の考え方を知っていることは大事なのではないかと思います。
 当会の教えにおいては、「愛・知・反省・発展」の四正道のなかで、主として発展の原理に入る内容になると思います。なぜなら、事業経営の目的は、結局、発展・繁栄にあるからです。
 その意味で、経営者、企業のトップ、あるいは、そういう立場を目指している人は、常に、心のなかに発展・繁栄をイメージしておかなければなりません。そして、その発展・繁栄のイメージを、現実の仕事のなか、事業のなかで、いかに実現するかということに、心を砕いていかねばならないのです。」
(『常勝の法』)

 

マインド転換を促す

 いつの時代でも、いち早く気がつく人は賢い人であり、たいていの人は分からず、人によって認識が何年かずれる。

 1990年以降の不況について、政府の失政で済ませている人が多いが、デフレ自体は構造的なもので今後も変わらないと言われても、「本当ですか」と言う人、「今後を見るまでは分からない」と言い、見終わって会社がなくなってから気がつく人など、いろいろな人がいるのはしかたがないことである。

 したがって、まずやれるところからやるしかない。心構えを変え、変化することを、あちらこちらで展開していってほしい。

 大川隆法総裁は、『社長学入門』で以下のように説かれました。

「いつの時代でも、いち早く気がつく人は賢い人です。たいていの人は分からないのです。
 例えて言えば、こういうことです。
 踏切を渡るとき、電車が来る前に、ゴーッという音だけを聞いて、「電車が向こうからやってくる」と分かる人は、賢い人です。普通の人は、目の前を電車が通っているときに、「電車が通っている」と分かります。また、電車が通り過ぎてから、「電車が通ったのだ」と分かる人もいます。
 世の中の動きに対する認識の違いを、これに当てはめて考えた場合、割合としては、電車が通り過ぎてから分かる人のほうが多いのです。目の前を電車が通っているときに、それが分かる人は、それでもまだ優れていて、「中の上」以上という感じです。電車の姿が見えないのに、電車の来るのが分かる人は、かなり賢い人です。
 そのように、人によって認識が何年かずれるのです。
 1990年以降について、「十年不況」とか、「失われた十年」とか、いろいろと言われていますが、「これは政府の失敗だ」「これは旧大蔵省(現財務省)の失敗だ」などと思って済ませている人が多いのです。
 「確かに、この『十年不況』は失政によるものですが、デフレ自体は構造的なものなので、今後も変わりませんよ」と言われても、「本当ですか」と言う人、「今後を見るまでは分からない」と言い、見終わって、会社がなくなってから気がつく人など、いろいろな人がいます。
 そういうことで、一般の人の認識は、ずいぶんずれるでしょうが、これは、しかたがないのです。
 したがって、まず、経営者をしている人や、企業に勤めている人たちで、私が述べているようなことをいち早くキャッチした人が、心構えを変え、変化してください。
 そうすれば、自分が経営者の場合は、十人、二十人の会社なら、会社はすぐ変わるでしょう。
 大企業に勤めている人の場合は、そうは簡単にいかないでしょうが、自分の課や部が変わるぐらいのことはありえます。「あそこの課は、何か、ずいぶん変身したよ」「あそこの部は、ずいぶん変わったよ」と言われ、しかも、それが一時の発心ではなく、ずうっと変化し続けるのであれば、ほかのところも見習ってくるでしょう。それが、その会社を救うための牽引力になるでしょう。
 まず、やれるところからやるしかないのです。私の教えを学んでいる人で、経営者や、会社の部長や課長をしている人から実践するしかありません。あるいは、主任や平社員であっても、できないことはありません。仕事のやり方を変えて実績があがれば、それで周りの人が目覚めることがあるのです。
 そのようにして、あちらこちらで展開していけばよいと思います。」
(242~249ページ)

「トップが「自分はこうだったから」という考え方をしていると、途中まではよくても、一定の段階を超えた時点で、経営がうまくいかなくなることがあります。これは中小企業から大企業へと変化していくときによく起きる現象です。「自分の好みに合った人材しか使えない」という人は、会社の規模が大きくなったときには、その考え方を変えなければならないのです。
 松下幸之助も、ある程度のところで考え方を切り換えています。自分は小学校中退であっても、大卒者をきちんと使えるようにならないと、大企業のオーナーにはなれません。このように、トップというものは、規模相応に考え方を変えていく工夫をしていかなければならないのです。
(『経営入門』より)

経営と真理 へ

「仏法真理」へ戻る