若い人の能力を引き出す

 上の人が、若い人の意見を聴くようにしていると、若い人は自分が認められたように感じて、その後一回り大きくなってくることがある。

 上の人には、グッドルーザー(潔く負けを認める人)になってあげる面もなければ「新しいもの」はつくれない。

 若い人は、生意気に見えすぎないように努力すると、年上の人も、きちんと意見を聴いてくれることがある。上の人に受け入れられなかった場合は、自分のマナー(態度)の問題なのか、それともマター(内容)の問題なのかはよく考えたほうがよい。

 幸福の科学大川隆法総裁は、『不況に打ち克つ仕事法』で以下のように説かれました。

「私は、若いころ、上の人に対しても、いろいろなことをガンガン言うほうでしたが、話をきちんと聴いてくれるタイプの人が好きでした。思いついて言っていることのなかに、たとえ、その人に対する批判や悪口に相当するものが含まれていたとしても、それを受け止めてくれるような上司や先輩には、やはり好感を抱いたものです。
 若いころの私は、「相手に悪いことを言っているのかな」と思いつつも、「これはおかしいと思います」などと平気で言ってしまうほうでした。そして、私に痛いところを突かれ、こたえているにもかかわらず、「あなたが言うのだから、そうなのだろう」と言って、ある程度、受け入れてくれる人もいたわけですが、やはり、そのときには、とてもうれしかったことを覚えています。
 したがって、今、私も、ある程度、そのようにしているのです。聴くようにしていると、意見を言う側としては、自分が認められたように感じて、その後、一回り大きくなってくることがあるのです。
 仕事においては、年齢や経験が大事な場合もあれば、それらに関係なく、才能や知識、新しい感性等を受け入れなければいけない場合もあります。そのため、上の人には、グッドルーザー(潔く負けを認める人)になるというか、若い人によく負けてあげる面も必要です。そうしなければ、「新しいもの」はつくれません。
 特に、感性に絡む新商品の開発や新しい産業に関しては、年齢のことをあまり言いすぎるのはよくないことだと思います。
 若くても、知識・教養の面では、ある程度、専門的なものを持つことができるので、「それについては、年上の人たちよりも多く持てるように努力する」というのは、個人としてやらなければならない努力だったと思います。
 そうした、「一定の努力をしている」という姿勢を持つと同時に、一定の礼儀正しさを持っていれば、目上の人でも受け入れてくれるものです。
 したがって、先ほど述べたことと反対になるかもしれませんが、若い人の場合、生意気に見えすぎないように努力することが大事です。そうすれば、年上の人でも、きちんと意見を聴いてくれることがあります。
 上の人に受け入れられず拒否された場合、それは、自分のマナー(態度)の問題なのか、それともマター(内容)の問題なのか、そのへんはよく考えたほうがよいでしょう。
 マターはよくても、マナーが悪いために聴いてもらえないこともあるので、そのへんは大事にしたほうがよいと思います。礼儀はきちんと守りつつ、言うべきことをきちんと申し上げるということが大事です。
 これからの時代、特に不況期においては、企画・提案は非常に大事です。企画・提案が出てこなければ、新しい仕事の芽はなきに等しいのです。
 そういうものは、若い人ほど思いつきやすいのですが、そのなかには、くだらないものが現実にはたくさんあります。したがって、上の者には、「くだらないものは見逃して、きちんと篩(ふるい)にかける目」が必要でしょうし、一方、下の者には、「くだらないと言われて蹴られても、負けずに発言していくだけの気概」が必要でしょう。」
(118~123ページ)

 

嫉妬心の克服ができないと組織は崩壊に向かう

 大川隆法総裁は、『未来創造のマネジメント』で以下のように説かれました。

「若くて優秀な人を遠ざけたり、そういう人に嫉妬したりしたくなる気持ちは、人間には本能的にあると思います。しかし、発展する組織を目指そうとするならば、そういう部分は克服しなくてはなりません。

 そして、会社を目指さない組織は必ず死滅するのです。

 「会社の寿命は三十年」とよく言われますが、自分は長く勤めようと思っても、会社のほうがなくなってしまうということが今は普通です。勤めている会社が三十年も続けばよいほうで、競争の激しい業界やベンチャー系企業の業界では、五年と続かないことも多いのです。

 会社の寿命が三十年ということは、なかなか定年までは勤められないことを意味しています。新卒で入ったけれども、定年まで勤めないうちに会社が潰れてしまうというのは、ごく普通のことなのです。

 したがって、少なくとも自分が勤めている間は、会社がつぶれないように努力しなければいけません。

 自分の嫉妬感情を抑えるとともに、組織を補強する人材を絶えず入れて、育てていくことです。会社が大きくなっていこうとするとき、そういう組織の遺伝子ができないと、組織は崩壊に向かっていくのです。つまり、優秀な組織になればなるほど、「嫉妬心をどう克服するか」ということを、人々が文化として共有できなければいけないのです。

 また、上の地位に行けばいくほど、より公的な目を持ち、組織そのものの成長・発展を喜ぶ気持ちを持つことが必要です。そうでなければ、自分を脅かさないような人ばかりを引いてしまい、どう見ても会社は左前になっていって、結局潰れてしまうのです。

 役所や銀行と違って、比較的個人の能力を重視する商社であっても、会社が大きくなって長くなると、やはりそのような傾向は出てきます。

 組織というものは、嫉妬心などの個人の気持ちを抑えて、永続性を目指していかなければならないのです。」(P298~302)

 競争には進歩を促す側面がありますが、社内に競争原理を過度に導入すると、嫉妬の原理が強く出ることになるため、注意が必要になります。対応策として有効なのは、企業の経営理念の浸透です。公的な目を持つことで、社内の成功者に対する祝福を促すからです。

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