よい仕事をしていくためには

 実社会の仕事においては、自分の納得だけにこだわっていてはならない。それでは単なる自己顕示ということになる。

 社会という共同体では、人びとのニーズに応えるのがよき仕事であって、それが「与える愛」を仕事において実践するということである。

 幸福の科学大川隆法総裁は、『仕事と愛』で以下のように説かれました。

「自分の仕事をあまりにも完全に追究しすぎると、他の人たちに迷惑をかけてしまうことがあります。これは、個人として仕事のレベルをはかると、まだまだ自己顕示の段階にあると言ってもよいかもしれません。自分が納得のいく仕事をすれば、それで気がすむのだという段階です。
 しかしながら、仕事が進んでくると、自分だけが納得する、自分だけが合理性を感じる、自分だけが気がすむというだけでは許されなくなってきます。実社会においては、それは魂の幼児性ととられる考え方だと思います。
 自分としては十割の仕事をしたくとも、他の多くの人の要請がどうであるかを考えたならば、それに足並みを合わせなければならないときもあります。あくまでも自分のやり方にこだわるタイプの人は、やがてその団体のなかでは傍流に押しやられていくことになるでしょう。
 これが、頭のよい人が失敗していく例でもあると思います。実社会では、会社に入るころには「頭がよい」と言われた人が、次第しだいに窓際に追いやられていくことがほんとうにあります。こうした人の多くは学究肌であり、自分の納得する仕事ばかりを追究していて、会社全体が、あるいはその部や課がいま何を必要としているか、ということが分からない人なのです。
 すなわち、自己満足的な知、形式的な知にとらわれすぎて、全体とのバランスや、他の人との協調性が失われた人は、頭がよくても次第しだいに窓際に追いやられていく、という厳しい現実があるわけです。
 「仕事も愛の発現の一つである」と考えるならば、一段高い観点に立ち、多くの人びとにとって望ましい結果となるように努力しなければならないと思います。
 特に実社会は、文筆業のように自分の独自性を追究している世界とは違って、多くの人びとのニーズによって動かされています。したがって、よい仕事をするためには、ニーズを、すなわち他の人びとの要求、需要を、いち早く察知することが必要だと思います。
 また、自分の上司がどのような性格であるかを、いち早く見抜くことも大事です。正確な仕事を要求しているのか、速い仕事を要求しているのか、緻密な仕事を要求しているのか。まず、上司がいったい何を要求しているのかを知る必要があります。
 およそ世の中にあって役に立つ仕事をしようとする人であるならば、人びとのニーズ、要請は決して無視してはならないものだと思います。
 世の中は多くの人びとで成り立っています。多くの人がどのようなかたちで生息しているかというと、お互いに相手を必要とする方向において社会が成り立っているのだと言ってよいと思います。お互いに他の人を必要とするからこそ、社会という共同体が成り立っているのだと思います。
 したがって、よき仕事をしていくためには、他の人びとの要請によくこたえなければならないのです。」
(137~141ページ)

 

「本物の経営」には普遍的な考え方が必要です。

 『人格力』27ページには、習慣についての指摘があります。成功する人の多くは、よい習慣を持っています。考えなくてもできるようになるのが、習慣の力です。普段からしていないと、いざという時にできません。習慣力を身につけることはとても大切なことです。

「孤独の時間を持たないと、創造性が足りなくなる」(57ページ)という指摘もその通りです。

 経営者やリーダーには、一人で内省する時間や深く考える時間が必要です。

 また、「一定の経営力を身につけるために、優秀な経営者の書いた本を読む」(66ページ)ことも重要です。(『人格力』)

 他にも、「普段は優しく、時には厳しく」「Think big! Be positive! Be constructive! (大きく考える。積極的で建設的な考えを持つ)」「お客様を大切にする」といった点も、成功する経営者に共通しています。

 

内省し「人間力」を高める

 ビジネスパーソンとして成功するための要素は、「思考力」と「実行力」の2つだと思います。『人格力』に書かれていますが、深くものを考えるようになると、直観力も高まります。現在は情報量が多すぎるので、直観力を鍛えておかなければ、適切な判断ができません。ただ、普段から考える習慣がない人の「直観」はあてになりません。

 「人はどんな時に喜び、どんな時に悲しむか」というのは人情の機微です。自分のことしか考えない自己中心的な人には、人の気持ちが分かりませんし、それでは人を動かせません。

 経営には、「技」も必要ですが、技は、最終的にはお金で買えます。会社が小さいうちは、財務諸表の読み方が分からない、扱っている商品をよく知らないというのでは、商売になりません。しかし、ある程度会社が大きくなると、そうした仕事は専門家を雇って任せられるようになります。

 しかし、リーダーの人間観や人格的魅力は、人を雇ってもどうにもなりません。心は自分で磨くしかないのです。

 『人格力』は「人間力を高めよ」と言っています。「成功の根本は考え方にある」のです。

 

よい仕事をするための3条件

 さらに、『人格力』には「感動を与えることが大事」(192ページ)とありますが、感動をつくり出すのは、「お客様を喜ばせよう」という気持ちです。

 例えばディズニーランドにもマニュアルがありますが、「ゲスト(客)をもてなし、喜んでもらおう」という気持ちがベースにあるからこそ、マニュアルが生きてくるのだと思います。

 よい仕事をするには、シンプルですが「お客様に喜んでもらう」「働く仲間に喜んでもらう」「工夫する」という3つが大事だと思います。これに集中した会社はうまくいきます。

 また、一定のところまで成功すると、人は二通りに分かれます。一方は、「金さえあれば何でもできる」と考えて、金の魔力に取りつかれる人。もう一方は、「今まで頑張ってここまで来たのは、お客様や働く仲間、社会のおかげ」と考えて、よりよい商品やサービスをつくろうとする人。

 もちろん後者の方がうまくいきます。お客さんにも従業員にも好かれるわけですから。

 よい仕事をする上で、欲を制御する必要はありません。正しい欲を持てばよいのです。

「大欲は無欲に似たり」という言葉もありますが、「世の中をよくしよう」というのは大欲です。欲にも質があるので、欲のレベルを上げることが大切です。 

参考

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