意表をつく戦い方は有効か

 指導者の立場にある人は常に未来を見通し、未来の備えをしなければならない。情勢分析と具体的な準備ができていることは、勝負に勝つうえで8割、9割を占める。

 意表をつく戦い方で勝つ場合もあるが、そのような戦い方は何度も通じないところが弱点である。普通、何回も戦えば強い者が勝つのであるから、一時的な勝利ではなく恒常的に勝利することを考えなければいけない。

 幸福の科学大川隆法総裁は、『常勝の法』で以下のように説かれました。

「指導者の立場にある人は常に未来を見通さなければいけません。目先の勝ち負けも当然ありますが、勝負に勝つためには、指導者は未来に対する備えというものを常に持っていなければいけないのです。未来を見通せず、判断を誤ったときには、敗れていきます。
 未来の備えをするということは、勝負に勝つうえで、ある意味では、八割、九割を占めることです。未来に対する情勢分析と、具体的な備えの部分、準備ができていれば、戦の結果は、ある程度は見えます。こうした備えなしに戦をすると、敗戦になることが多いのです。
 先の大戦における日本の敗戦も、基本的には戦闘継続能力の問題だったと思います。結局、継戦能力が日本にはなかったのです。
 日本は、「奇襲戦で短期的にだけ勝って、講和を結ぶ」というような、電撃戦でしか勝てない国だったので、相手が高い工業力と豊富な資源を持ち、長期戦ができる国であった場合には、時間が長引けば長引くほど、負けることは確実だったのです。外交的な備えのところ、最後の詰めのところまで、未来の見通しが描けていなければならなかったわけです。
 日本が第二次世界大戦で敗れた原因の一つは、日露戦争であまりにも勝ちすぎたことにあるとも言われています。東郷平八郎が、ロシアのバルチック艦隊に対して、T字戦法を採って大勝したために、「乾坤一擲(けんこんいってき)、一か八かで、一気に勝負のけりをつける」というようなやり方がもてはやされすぎて、備えに対する評価が低くなったのではないかと思います。
 普通は、何回も戦えば強い者が勝ちます。弱い者でもときどき勝つことはありますが、それは、相撲において、平幕がたまに横綱から金星を取るのと同じことです。金星というからには、いつも勝てることを意味してはいないのです。
 そういう一時的な勝利ではなく、やはり、恒常的な勝利、「勝ち抜く」ということを考えなければいけません。
 意表をつく戦い方で勝つ場合もあり、それを発明する人は天才です。ただ、このような戦い方は、何度もは通じないところが弱点なのです。
 相手が既成の団体である場合、たとえば大会社に戦いを挑む場合には、当然、奇襲戦法が必要であり、それまで相手側が採ったことのないような戦法を採らなければ勝てません。正規の戦い方では勝てるわけがないので、当然、そういう戦い方が出てきます。
 しかし、向こうもそれをだんだん熟知してきます。それはすぐにまねられるということも知らなければいけないのです。
 奇襲戦法等は、大事に持っていて要所で使うのはよいのですが、相手に完全にマスターされるところまで使いきってはいけません。相手が完全にマスターしてしまうと、互いに同じ兵法を使った場合、規模の大きいところ、実績の大きいところが勝ちはじめるのです。」

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