智慧が尽きたとき

 幸福の科学大川隆法総裁は、『常勝の法』で以下のように説かれました。

「最後に一つ、付け加えておきたいことがあります。
 それは、勝海舟の言葉でもありますけれども、「智慧は尽きることがある。そのときには度胸だ」ということです。
 海舟は、刺客から命をねらわれたことが二十数回あったと言われています。あの時代に、絶対に命を落とさずに生き延びる方法があったかといえば、なかなかありませんでした。いつも暗殺部隊が動いているような時代であり、勝海舟を暗殺しようとねらっている者もうろうろしているような状況です。いつも命拾いできる方法があったかといえば、なかったのです。
 個人が刺客に命をねらわれている場合、警備をいくら厳重にしても、やられるときは、やられます。それは『忠臣蔵』の吉良上野介と同じで、備えを頑強にして、警備兵をいくら置いても、やられるときは、やられるのです。
 そこで、海舟はどうしたかというと、丸腰で刺客に応対しているのです。「また来たか」と、海舟が丸腰で出てくるので、刺客のほうはびっくりしてしまいます。刺客は、相手も剣を持って身構えていると斬れるのですが、丸腰の人はなかなか斬れません。丸腰で、赤いちゃんちゃんこなどを着て出てくるものだから、度肝を抜かれてしまうのです。
 これも戦略といえば戦略でしょう。相手の意表をつくのです。好々爺然として丸腰で出てくるので、相手は斬るに斬れません。「まあ、上がれや」と言って家のなかに上げ、地球儀を見せて、滔々と国際情勢などを語ると、相手は毒気を抜かれてしまい、斬りに来たのに斬れずに帰ってしまうのです。坂本龍馬も、海舟を斬りに行って、逆に弟子になってしまった一人だと言われています。
 したがって、「剣だけで絶対に勝てる」などということは、最終的にはありえないのです。ピストルを使われたり、軍勢で来られたりしたら、剣だけではどうしようもありません。そこで、「最後は度胸だ」ということです。個人においてもそうですが、戦においてもそうです。
 個人の人間関係においても、また、企業の投資や新しい戦略、海外進出等においても、生きるか死ぬかの大決断をするときがいろいろあるでしょう。
 未知のこと、これからやろうとすることについては、いくら調べても結論が出ないことがあります。材料を集め、考えに考えて、それでも結論が出ないことがあります。そのときに、結論が出ないままでいたのではだめなのです。たとえ間違ったとしても、決断をしなければいけないことがあるのです。特に企業のトップはそうです。
 最後は度胸です。もし間違っても、間違ったということがはっきり分かった段階で、軌道修正は可能なのです。何も行動を起こさなければ、間違ったことすら分かりません。先延ばしにして、じっとしていただけでは分からないのです。
 間違ったということが分かれば、その時点で結論ははっきりしています。間違った判断をしたならば、撤退作戦なり、ほかの方法なり、新たな作戦を考えなければいけないのです。
 智慧は尽きることがあるので、最後は度胸が必要です。これもまた、人生の勝負に勝つ方法だと思います。」
(157~162ページ)

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