トップの限界突破

パラダイムシフトの必要性

 社員数千人以上の大企業を目指す場合に必要な考え方を整理する。

 幸福の科学大川隆法総裁は、『経営入門』で以下のように説かれました。

「この場合に必要なことは、パラダイムシフトと呼ばれていることです。パラダイムとは「考え方の基本的な枠組み」です。これを変えていかないと、千人以上の企業へはどうしても発展できなくなってきます。

 各社とも、「当社の方針はこうである。当社の運営の仕方はこうである。当社の組織はかくあるべし」などということを定めていると思いますが、こういうものは発展の段階で変わっていく必要があるのです。

 例えば、三十人ぐらいまで、次は五十人から七十人ぐらいまで、次は百人を超えるところまで、次は三百人、五百人、千人までと、社員の人数が増えるにつれて、これを変えなければいけないことに気づかなければ、トップとしては能力不足です。

 商売を忘れないためには、創業の原点に帰らなくてはいけませんが、会社としての行動パターンや組織運営などについては、当然規模相応のものがあるので、規模に応じて理念を適切に変えていく能力が必要です。「何かがおかしい」ということは分かっていても、何がおかしいのかが分からなければ駄目なのです。」(P-198~200)

 

トップの頭の中にある発展のボトルネック

 「あの世の存在」は、常勝思考の前提であるということ。また、人生の転期に起きやすい環境や他人との不調和は、精神的に辛くても、その時こそ人生における教訓を得ているということなどです。成功に慢心せず、失敗のなかに「天意」を見出し、次の成功の芽を見つけることが人生に勝利する道なのです。

 幸福の科学大川隆法総裁は、以下のように説かれました。

「ボトルネックというのは、もともとは、水差しなどのボトルの首の部分のことです。ボトルのなかの水が外に出るときは、ネック(首)の太さでしか出ません。
 組織体でも、どんどん発展して大きくなっていくと、発展の過程のどこかでボトルネックの部分が出てきます。
 「常にそこを通さなければいけない」という部分がネックになります。だれか特定の人のところがネックになったり、仕事のやり方がネックになったりします。そこが邪魔になって、それ以上の発展が阻害されているということがよくあるのです。
 経営者として非常に大事なことは、「事業というのは、発展する過程でどこかに必ずボトルネックが出てくるものだ」と知ることです。」
(『常勝の法』)

 

「たとえば、工場を拡張して、たくさんの製品をつくれるようになったとします。それ自体は素晴らしいことですが、それに相応するだけの販売組織網ができていなければ、いくらつくっても、在庫が山積みになるだけです。そのように、販売組織網の確立の部分がネックになることもあります。
 あるいは、「工場はつくったけれども、倉庫が足りない」というときには、倉庫の部分がネックになります。
 また、販売組織網をつくっても、販売員の教育ができていないときには、「人数だけは配置したけれども、新製品が全然売れない」ということもあります。「商品が悪いから売れないのかと思ったら、そうではなく、販売員の訓練が足りないために売れなかったのだ」というようなことはよくあります。
 それから、新しい会社の場合は、技術力などが優れていて立ち上がってくるのが普通なので、商品そのものはよいのですが、会社が大きくなってくると、最初のころは要らなかった総務や経理、人事などのセクション(部門)が必要になってきます。
 こうしたことについて、社長があまり理解していないこともあります。人事も自分一人でやり、経理も自分で“どんぶり勘定”をやってきたというような場合です。しかし、その部分を人に任せるようにしないと、それ以上は発展しなくなります。社長は、自分で販売したくても外に出られなくなってきますし、研究開発をしたくてもできなくなってくるのです。
 そのように、会社が小さいときには不要だと思われていたり、一見、単なる人件費の無駄に見えたりするようなセクションが、必要になってくるのです。
 何がネックになっているかということは発展過程に応じて出てくるので、そのつど、ボトルネックを解決していかなければなりません。規模相応に考え方を変えていく必要があるのです。
 何がネックであるかを発見し、それを解決したら、もう一段、発展することができます。しかし、やがてまた何かネックが出てくるので、そのときには、それをどう解決するかを考えなければいけないのです。」
(『常勝の法』189~191ページ)

 具体的に組織が必要になってくるのは、社員が30人を超えたあたりからです。

 創業期の規模が小さい時期であれば、同族経営が当たり前ですが、成長期を迎えて30人以上の会社になると、一部考え方を変えなければいけなくなります。この考え方の変更が出来るかどうかが、成長を続けられるかどうかのカギになります。

 大手旅行業者 エイチ・アイ・エス創始者・深田秀雄氏も、社員が30人を超えたあたりでマネジメントを導入したと言います。

 「私は、社員数が30人くらいになりかけたころから、意識的に自分の果たすべき役割を変えていった。私自身が何でも屋的なポジションにいたそれまでの組織運営に、すこしだけマネジメントの要素を取り入れていったのである。

 私は、第一線で全てを切り盛りする立場から、少しだけ身を後ろに引いて、より経営的な職務を遂行するようにしたのである。

 次に組織的な転機が訪れたのは、社員数が100人を超えたころだった。このレベルまで社員数が増えてくれば、いくら私が全部の業務を把握したいと考えても、そこには無理が生じてくる。

 だから、私は、社員数が100人を超えたころから、もう一歩後ろに身を引く決心をして、今度はマネージャーをマネジメントする仕事に力を注いだ。」

「ボトルネックの探究の際に気をつけなければいけないのは、「ボトルネックの最たるものは社長自身であることが多い」ということです。
ケース(1) 人々の趣味・嗜好の変化が見えない場合
 トップ自身の趣味や嗜好、考え方が限界になることがよくありますが、それは勉強が足りないのです。
ケース(2) トップの好みに合った人材しか使えない場合
 これは中小企業から大企業へと変化していくときによく起きる現象です。「自分の好みに合った人材しか使えない」という人は、会社の規模が大きくなったときには、その考え方を変えなければならないのです。
ケース(3) 事務部門をうまく使えない場合
 トップは人の使い方をよく知らなければいけません。下で支えてくれる人、事務的な仕事や雑用などを捌いてくれる人がいないと、ある程度以上には大きくならないのです。」
(『経営入門』202~208)

「ライバルの成功についての研究は、絶対に怠ってはなりません。また、同業者のなかには、失敗したところが必ずあるはずなので、「その会社は、なぜ失敗したのか」についても徹底的に研究することです。
 そして、両者の中間になりますが、「この企業は、ここまでは発展したが、あとは発展していない。それはなぜか。この企業のボトルネックは何か」ということを研究することも必要です。その企業の社長には、何がネックになっているか分からないのに、よそから見ると岡目八目で分かることがあります。」
(『智慧の経営』)

「兵法には、基本的に「弱者の兵法」と「強者の兵法」があります。弱者の兵法とは、まだ力が足りないものにとっての兵法で、「いかにして、小が大を倒すか」という兵法です。
 弱者の兵法のほうが、おもしろみもあり、スリリングではありますが、この弱者の兵法の場合、それにとらわれすぎたときには、大きなボトルネック(隘路)なるものが現れてくることも事実です。小さいときには成功した戦略が、大きくなったときに通用しないということは、いくらでもあります。
 したがって、時代の流れを見抜き、新たな方法を常に模索するという態度を忘れてはなりません。弱者はいずれ強者になります。そして、弱者から強者になる過程は何段階もあります。そのつどそのつどに自分の方法論を新しく変えていく勇気を持たなければ、どこかで、古い考え方にとらわれて失敗を犯していくことになります。化石人間となることなく、常に新しい人間として生まれ変わっていきたいものだと思います。」
(『ダイナマイト思考』)

「経営者自身が企業の発展に充分に対応できず、頭が切り替わらないために、限界になることもよくあります。中小企業の場合は、ほとんどそうです。経営者の能力が限界に達しているのに、それが分からず、旧態依然としたやり方をいつまでもくり返していることが多いのです。
 経営者として、さらに発展するためには、新しい知識を仕入れて勉強しなければいけません。主として、自分の会社より一歩進んでいるレベルの組織、会社の研究をすることです。それによって、未来が見えるのです。
 常に未来を見つづけて、ボトルネックの解決をしなければいけないのですが、経営者自身がネックになることもあるので、そうならないためには、やはり先取りをして研究しておくことです。自分がもう一段スケールの大きな仕事をするためには、人の使い方や組織のつくり方において、どうしなければいけないのかということを、難しいことではありますが、考えていく必要があるのです。」
(『常勝の法』)

 

社業を発展させるために

 一般的には、善を思えば善が来るし、発展を思えば発展が来る。

 しかし、社会においては、自分だけでなく、他の人々もまた幸福を求めて生きているのだから、自分の力を客観的に見て、どこまでが正当な発展で どこからが我欲になるかという境界を見極めることが大切である。

 特に上に立つ者は、その立場において当然持つべき見識なしに甘い見通しで押し通してはならない。

 大川隆法総裁は、『常勝の法』で以下のように説かれました。

「一般的には、善を思えば善が来るし、発展を思えば発展が来ます。しかし、社会においては他の人々と共存しているのであり、自分だけでなく、他の人々もまた幸福を求めて生きているのだということを忘れてはいけません。
 たとえば、人々が、「よい店から、よい品を買いたい」と思っているときに、「自分の店だけが最高だ」と言っても、それが客観的なものかどうかが問われます。客観的に見てそうであるならば、そのように言ってもよいでしょうが、他の店も、やはり最高のものを求めて努力しているのです。
 したがって、自分の力を客観的に見て、「どこまでが正当な発展であって、どこからが我欲になるか」という境界を見極めることが大切です。よいものであったとしても、能力の限界を超えたときには、それは私利私欲と変わらなくなります。これを知らなくてはなりません。
 そのように、個人においても、組織を率いる者においても、常に主観と客観の両方の目を持って見ていく必要があるのです。
 コップのなかの水を、「半分しかない」と思えば心が暗くなり、「半分もある」と思えば心が明るくなることは事実です。しかし、大勢の人が水を飲みたいということになれば、話は全然違ってきます。自分一人なら、コップに半分もあれば充分かもしれませんが、大勢の人が水を飲みたいという状況であれば、そこに計算が必要です。
 一人で何リットルも水を飲みたいという人はいないでしょうから、一人当たりコップ一杯の水があれば充分でしょう。そこで、人数がどれだけいるかを見れば、必要な水の量が分かります。それを調えることができるかどうかは、上に立つ者としての見識です。この見識を持たずして、甘い見通しで押し通してはならないのです。
 国家のレベルでは、指導者はそれ相応の能力を必要とされますが、会社などの小さなレベルでも、それは同じです。
 会社を起こす場合、たいてい、それは社長一人の力でなされます。中小企業の場合は、九〇パーセント以上は社長の力です。社長の才覚、創意工夫、アイデアによって、企業は生まれ、成長していきます。しかし、その社長の能力の限界によって、会社はつぶれてしまうものなのです。
 会社が一定以上の大きさになったら、社長は自分の能力の限界をよく知り、自分と自分を補佐する人の力でやっていけるかどうかを考えなくてはなりません。補佐する人の力を合わせても、やっていける部分とやっていけない部分があるので、その限界がどこにあるかを見極める必要があるのです。
 また、時代の流れとして、その産業が追い風の産業であるかどうかということもあります。好況時には、下手な経営者というものはほとんどいません。どんなことをしても売れるからです。やはり、不況時に強いものこそが、ほんとうによいもの、ほんとうに強いものだと言えるのです。」
(282~285ページ)

 小さな会社では、社運の99パーセントはトップ一人で決まる。主たるネックは、トップ自身にあることを知らなくてはならない。

 トップは、従業員の不十分な働きを責める前に、自分自身の能力と責任に思いを向けて、社員を改造する前に、まず自己を改造し、改善しなくてはならない。

 総裁は、『経営入門』で以下のように説かれました。

「ある意味においては、「小さな会社では、社運の九十九パーセントがトップ一人で決まる」と言っても過言ではないのです。したがって、トップというものは、従業員の働きが不十分であることを責めるよりも、まず、自分自身の能力と責任について思いを向けなくてはなりません。
 小さな会社においては、トラブルがいろいろと起きてくる場合、それはトップ一人の問題であることが多いのです。しかも、トップ自身の考えが間違っている場合には、それを修正する方法がありません。そのため、トップの能力の限界が、会社の発展の限界になるのです。言葉を換えれば、「経営者の器によって会社の大きさが決まる」ということです。
 これは非常にさみしいことのようにも聞こえますが、一方では、幸福なことでもあります。なぜなら、会社の規模が自分の器の範囲内にあればこそ、自分の力でつくった会社を、そのまま自分で守り続けることができるからです。
 トップ以外の力によって、トップの能力以上に会社が発展した場合には、トップそのものが落ちこぼれてしまうこともあります。それはトップにとって不幸なことです。経営者が自分の力で会社を発展させ、大きくしたければ、自らの能力を高めるしかないのです。
 経営者はよく勉強すると共に、日々の仕事のなかで、「経営における悟り」とでもいうべき発見を積み重ねて、新しい方法を完成させなくてはなりません。
 経営とは日々の発見であり、その積み重ねです。別の言葉で言えば、発明の連続なのです。
 新商品や新しい販売方法を発明する。販路を開拓する。広告宣伝の方法を開発する。新しい人脈を開拓する。あるいは、「どうすれば、もっと売れるようになるか」「社内体制をどのように変えれば、もっと効率がよくなるか」などを考える。また、決算を分析して、「どうすれば、もっと利益があがるか」についても考える。
 小さなことではありますが、こういう一つひとつのことが、ある意味において発明なのです。そして、そういう発明を積み重ねていくことが、小さな会社の持っている宿命でもあります。このように考えなくてはなりません。
 要するに、「主たるネックは、トップである自分自身にある」ということを知らなくてはなりません。
 社員を改造する前に、まず自己を改造し、改善することこそが、社業を発展させる道なのです。」
(130~135ページ)

 

発展を決めるトップの能力 

 大川隆法総裁は、『経営入門』で以下のように説かれました。

「トップの資質としては、仕事がよくできることはもちろん必要ですが、それだけでは不十分です。トップは、しだいに多くの人を率いていくことになるので、人物として立派でなくてはならないのです。さらには、さまざまな物事を知っていなければなりません。

 トップというものは、物知りであるとともに、人柄も立派で、多くの人から信頼される人物であることが必要なのです。

 その意味において、宗教修行というものは、経営者にとって非常に役立つものであると言えます。」(P-140-141) 

 

能力の限界を破るには人を使える大きな器を築く

 能力的に限界が来た場合の対処法の一つは、「人に任せる」という考え方を持つことである。

幸福の科学大川隆法総裁は、『社長学入門(P-337-338 340 346)で以下のように説かれました。

「「どうしても ついていけない」と感じた場合には、トップは「人に任せる」という仕事の妙味を編み出していかなければなりません。人を使える人徳、徳力のようなものを身に着ける必要があるのです。

 細かい技術について、分からないとしても、仕事の指揮をしている人の全人格的な能力についての判断、「この人にまかせていけるかどうか」の判断はできなくてはなりません。

 また、自分が直接やればできる仕事でも、自分ではやらなくなるので、他の人がった仕事、部下に任せてやった仕事の成果の判定のほうにエネルギーを注がなければいけなくなります。

 「自分だったらできるのに、どうしてできないのか」と思うことがあるかもしれませんが、だんだん人に任せていき、目標を設定したり、成果を判定したりするほうに能力をシフトしていかなければならないのです。」

 また、人に任せるためには、「能力のある人たちを使っていくための大きな器」が必要になってくる。そして、どうしても限界が破れない場合は、撤退も考えなければならない。

「このイノベーションに失敗した経営者は、いち早く出処進退を明らかにしなければいけません。

 もし、自分の会社に、前述したような経営理念があり、それが公的なものであるならば、どこかで仕事の範囲を狭めるなり、引退するなりしなければいけないのです。」

 いかにして自身の器を見極めるかである。

自己の認識の変容こそが悟りの正体である

トップの限界突破

 経営者には器があり、家族経営であれば優れた仕事を維持できる人、従業員が10人を超えたら仕事が回らなくなる人、従業員が100人を超えると限界が来る人など様々である。原則として、経営者の器以上に会社が発展することはない。

 例外的に、経営トップ以外の要因により、器を超えて会社が発展してしまう場合があるが、その場合は大抵 悲劇に終わる。

 個人企業や中小企業がどこまで大きくなるかは、ほとんど社長一人の器にかかっている。

 会社を現在以上に発展させたい場合には、トップが自己研鑽によって能力をアップする以外の方法はほとんどない。

 自分の好みや趣味で仕事をしていきたいという、職人的傾向の強い経営者は、自分の経営能力の範囲で、できるだけ質の高い経営をしていくことも一つの方法である。

「経営者が知らなくてはならないのは、「企業はトップ一人の考え方で決まっていく」ということです。トップの考え方は非常に大事なのです。
 トップの能力が低いと、その下にいくら優秀な人がいても、よい仕事は絶対にできません。逆に、下に能力の低い人が集まっていても、トップが優秀であれば、下の人たちも、しだいに有能になってくるところがあります。
 その意味で、いちばん上に立つ人の考え方や判断の仕方は、非常に大きな影響力を持っているのです。
 会社にはレベルがいろいろあり、規模によって考え方が違うので一概には言えませんが、個人企業や中小企業では、その会社がどこまで大きくなるかは、結局、ほとんど社長一人の器にかかっています。トップにいる人の能力以上には、会社は大きくなりません。
 したがって、企業の発展のレベルを客観的に見れば、その企業のトップの能力が判定できるのです。
 ただ、トップにとっては、「会社の規模がトップの能力の範囲内に収まっているからこそ、“幸福”である」と言うこともできます。
 いずれにせよ、「会社を現在以上に発展させよう」という場合には、トップが自己研鑽によって能力をアップし、天井を上げる以外に、方法はほとんどないことを知ってください。
 企業規模がそれほど大きくない会社では、社長自身が職人肌の技術者であることも多いのですが、その場合、会社の規模が大きくなると、トップの経営能力を超えてしまうことがあります。
 社長が職人肌の人であると、自分のやり方以外では仕事ができず、人を使うことができないので、一定以上の規模の会社を経営しようとすれば、経営能力がないために破綻することがよくあるのです。
 したがって、「自分の好みや趣味で仕事をしていきたい」という、職人的傾向の非常に強い経営者は、自分の経営能力の範囲を知っておく必要があります。そして、自分にとって幸福な範囲のなかで、できるだけ質の高い経営をしていくことも一つの方法だと思います。
 必ずしも、大企業になることだけが発展ではありません。自分の能力を最も生かせる範囲内で、質の高い経営をしていくことが大事なのです。」
(167~168、172~173ページ)

 最終的に会社が成長し続けるためには、経営者自身が自己変革を続ける必要がある。

 人に任せるためには、能力のある人たちを使っていくための大きな器が必要となってくる。そして、どうしても限界が破れない場合は、撤退も考えなければならない。

 いかにして自分の器を見極めるかがポイントである。「自己認識の変容こそが悟りの正体である」と言われている。経営者が自身を深く見つめて、悟りを深めていくことが、会社の発展や安定につながっていくのである。

 社員を責めたくなったら、トップはその前に自分自身に問題がないかをよく考えることである。

 中小企業は、トップの力量の影響が九割以上はあるから、まずトップが脱皮しないと、会社は現在以上には伸びない。

 トップも人間なので限界があるから、その限界をどうやって突破するかをいつも考えなくてはならない。

 大川隆法総裁は、『未来創造のマネジメント』で以下のように説かれました。

「とりあえず、社員や幹部の変革も大事ですが、最も効果があるのは、やはり、トップの変革、経営者自身の変革です。
 したがって、社員を責めたくなったら、その前に、「自分自身に問題がないかどうか」ということをよく考えることです。
 まずトップが脱皮しないと、会社は現在以上には伸びません。会社の規模はトップ相応なのです。
 中小企業になるほど、トップの力量の影響が百パーセントに近づきます。九十数パーセント、九割以上はあるのです。
 したがって、トップの力量が伸びないかぎり、企業も伸びていきません。中規模や大規模の企業になってくれば、トップ以外の人の力が影響する割合が、しだいに増えていきますが、それでも、最も効果があるのはトップの変革なのです。
 そのため、大きな会社等では、定期的にトップの入れ替えを行っています。同じトップのままでは発想が変わらないため、トップの限界が出てくるのです。
 「自分に限界が来る」ということは、“小さな神様”をしている経営者にとっては、認めがたいことです。「自分は、オールマイティー(全能)でなくてはいけない」と考えるため、自分に限界が来るのを認めることは、トップにとっては非常につらいことなのです。
 しかし、トップも人間です。体力の限界もあれば、持ち時間の限界もあります。また、頭脳にも限界が来ます。精いっぱい努力はするでしょうが、それでも、「やはり限界は来るものだ」と思い、「その限界を、どうやって突破するか」ということを考えなくてはならないのです。
 限界を突破するためには、他の人でもできる仕事は、間違わないようなスタイルにした上で、できるだけ他の人にやらせなくてはいけませんし、自分にない智慧は他の人から得なければいけません。
 そもそも、経営者は、自分の限界を、いつも考えておくことが必要です。
 もし自分に欠けている能力があれば、「欠けている能力を、どうやって補うか」ということを、常に考えなくてはいけません。また、弱点を補ってくれる人が必要になることもあります。
 もちろん、経営者は、できるだけ、自分が強いところで勝負すべきであり、弱いところにかかわりすぎると、企業が発展しないこともあります。
 しかし、常に、自分の限界を厳しく見つめ、「自分の限界を乗り越えて企業を大きくするには、どうしたらよいか」ということを考えなくてはいけないのです。
 自分の限界を乗り越えて「企業を大きくする」ことができないのであれば、別の行き方があります。「この厳しい時期に、十年間、淘汰されず、潰れずにいるには、どうしたらよいか」ということを考えるのも一つの護りなのです。
 上にいる人が自己変革をするほど効果は大きいのです。したがって、社員に檄を飛ばす前に、経営者は、まず自分自身を考え直さなくてはなりません。」
(98~102ページ)

ビジネスと真理 へ

「仏法真理」へ戻る