先見性を持って時代の流れを読んでいく

堅実な経営者は半歩くらい先を見る

 経営者にとって先見性は重要である。ただし、先見性にも注意が必要である。

幸福の科学大川隆法総裁は、『経営入門』で以下のように説かれました。

「もちろん、トップに先見性があるのはよいことです。ただ、先見性といっても いろいろあります。「一歩でも二歩でも先が見えるとよい」とよく言われますが、「半歩ぐらい先が見えればよい」という考えもあるのです。

 「あまり先が見えすぎると、他の人がついてこられないので、とりあえず半歩ぐらい先が見えればよい」という考え方をする人は、堅実な経営者だと言ってよいでしょう。

 あまり先まで見えすぎると、人がついてこれなかったり、半歩ぐらい先が見えるほうが、ある意味では幸福かもしれません。」(P-213-214)

 総裁は、『リーダーに贈る「必勝の戦略」』で以下のように説かれました。

「いま、社会が変わっていこうとしています。
 そのため、「未来の社会が、どのような方向に流れていくのか」ということを、よくよく見ていかないと、個人としては、よい人であっても、時代の波に翻弄されて、地獄を見ることがあります。
 たとえば、ある人が、小さな会社の経営者をしていて、従業員が五人ぐらいいるとします。そして、その会社では、理想的な経営がなされていて、従業員たちは、みな朗らかで、明るく元気で幸福に生きているとします。
 ところが、社会のシステムが、がらっと変わっていくときに、経営者が、それを見抜けなかったら、その会社は、たちまち独立企業から下請けに回され、次に潰されてしまうでしょう。その結果、「夜逃げをする」「一家離散になる」「離婚をする」「子供が学校へ行けなくなる」など、いろいろと不幸なことが起きてきます。
 そうすると、その経営者は、『旧約聖書』のヨブのように、「なぜ、こんなことになるのだ。私は、あんなに一生懸命やっていたではないか」と、神を恨みたくなるかもしれません。しかし、それは、もう一つの部分として、時代を読む目が足りなかったからなのです。
 したがって、時代を読む目を持ち、「西洋的には神、東洋的には仏の、大きな考えが、どのような世界を到来させようとしているのか」というところを見ていなければなりません。そこを見ずに、個人だけで考えて完結していても駄目なのです。
 「仏神が、大きな社会をどのような方向に持っていこうとしているのか」という、マクロ的(巨視的)な流れを知り、その流れのなかに参画しながら、個人として努力していくことが大事です。
 そのように、「先見性を持って時代の流れを読んでいく」ということは、非常に大事なことであると知っていただきたいのです。
 「世界はどう動いていくのか」という、時代の流れ、時代の方向性を見抜かなければいけません。それが、大きな構造変化を通して未来をつくっているのです。そのことを知り、考える必要があります。時代の流れを、過去からも未来からも照らして鳥瞰する必要があるのです。」
(13~15ページ)

 

「私の著書『リーダーに贈る「必勝の戦略」』にも書いてありますが、まず、「先見性」が非常に大事です。先見性のあるリーダーがいるところは、やはり強いのです。
 先見性とは、決して、「まだ起きていないことを見る」ということではありません。未来の芽は、すでに現在のなかにあります。生えたばかりの小さなフキノトウのようなものですが、未来の芽は、すでに生えているのです。先見性とは、「その芽が、やがて大きくなるのが見えるか」「すでにある社会の事象のなかで、これから伸びてくるものが見えるか」ということです。そういう意味での先見性が非常に大事です。
 もっと分かりやすく言うと、「次の時代の“メシの種”を探せ」ということです。「来年、自社は何で食べていくか」「三年後、五年後、十年後は、何をして食べていくか」を考えることです。
 三カ月や一年などの短い範囲ではなく、「三年後、五年後、十年後の商売の材料は何か」「今の商売がなくなるとしたら、次に、どのような業態を考えておかなければいけないのか」を考え、メシの種を探すことを、「先見性」と言っているのです。」
(『朝の来ない夜はない』)

「現代は変化の激しい時代であり、数十年で世の中は大きく変わります。
 これからは「構想力の時代」です。「時代を読み、先のことをどのように構想していくか」ということが大事です。現在ただいまの仕事を充実させて実績をあげることは、非常に大切なことではありますが、「先を読む目を持ち、五十年先、百年先、さらには、その先までを見て、構想を立てる」ということも、とても重要なことなのです。」
(『国家の気概』)

「「今、世間が求めているもの」「これから求めるであろうと思われるもの」「世間はこのように変わっていくであろうと思われるもの」を、常に見つめ続ける癖を身につけることが大事です。それを「予見力」と呼んでも、「先見性」と呼んでも結構ですが、こうしたことが人よりもいち早く分かる人は、仕事において、トレンドをつかみ、成功を収めることができるのです。
 人々が、みな飛びついてきたあとから参入するようでは、新しい商品などをいろいろとつくっても、結局、在庫の山、返品の山になることがよくあります。もちろん、二番手商法というやり方もありますが、世間ですでに流行っているのを確認してから参入するようでは、それによって得られる“イニシアチブ利益”とでも言うべきものは少ないのです。
 「流行る前のものをいち早く察知し、それを流行らせる。そして、みながまねをし始めたときには、いち早くそこから脱出し、次のトレンドを探す」というのが、理想的ではないかと思います。」
(『不況に打ち克つ仕事法』)

 

先見性が利益を生み出す

 諫言することができる文化を社内に取り入れることは容易なことではありません。「ブレない」とか「自分の判断を変えない」という姿勢は大切ですが、それでもその諫言が「公の立場から見て、大事なことだ」と思ったら、たとえ耳に痛いことであっても受け容れる度量が必要です。
 トップは、様々な意見をいったん斟酌した上で、物事を考えるという態度が求められると言えるでしょう。

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