経済危機のなかを生き延びる方法

   対機説法シリーズ 人生の羅針盤 第141回

日々にイノベーションし新しい道を開く

 老舗と言われた会社でも、信じられないような問題が次々と起きています。たとえば、不二家や雪印といった有名な会社もそうですし、伊勢のほうの何百年も続いてきたところもそうです。北海道の有名な会社でも問題が起きました。船場吉兆も厳しい結果が出ました。

 経営学の手本になるような有名会社や、古くからあり経営的に安定している老舗でも、何かの事件をきっかけにして経営が傾いてしまったのです。

 そういう会社は、「ロングヒットの商品などで大きな利益を出し、極めて経営が安定している」と周囲から思われていました。従業員もそう信じ切っており、社長も慢心し切っていたのでしょう。

 このような会社が、「何かの事件を契機として経営不振に入り、倒産の危機に見舞われる」ということを、これから、さまざまなかたちで、繰り返し何度も目撃するようになると思います。

 身を引き締めていかなければなりません。身を引き締め、そして、世の中に、新しい付加価値を生みつづけなければ、生き延びることはできないのです。

 「昔からの伝統」に甘え、「これは昔から認められているものだから大丈夫だ」「この商品は昔から多くの人が食べてくれているから大丈夫だ」「教育というものは、昔からこういうものなのだから、これでよいのだ」などと考えて、従来型のものに依存し、これからも生きつづけようと思っているならば、非常に厳しい未来がやってくるであろうと思います。

 したがって、「日々にイノベーションし、新しい道を開く」ということを、考えつづけなければいけません。

 

幸福の科学の成功理論は「世界の最先端の思想」

 幸福の科学は、宗教としては珍しいことでしょうが、二十年以上にわたってイノベーションを続け、「自分を変化させる」という自己革新の努力をして、「常に、その時代の空気やニーズを読み、新しい価値を生み出していく」ということに専念してきています。

 そして、「人々の求めているものが変化しているならば、いま人々が求めているものを差し出していかなければならない」と考えています。

 そのためには、経済的、経営的な考え方も、充分に取り入れていかなければなりません。それは、原始仏教や原始キリスト教では、ほとんど説かれていないことですが、もし、二千五百年前の釈尊の教えや、二千年前のイエスの教えをそのまま信奉したならば、おそらく、その人とその家族は路頭に迷うことになるでしょう。

 もはや時代が二千年以上も過ぎ去り、当時の考え方は現代に合わなくなっているので、そういう部分に関しては、勇気を持って、新しいかたちに教えを変えなければいけないのです。

 私は、その部分については教えを変え、「正しい心を持って、ユートピア建設のために、一生懸命、勤勉に汗水たらして働いている人たちが、経済的に成功することは、よいことである」という考え方を打ち出しました。

 こういう教えを説くことは、宗教としては珍しいことです。欧米圏の人の反応としては、「ほんとうに、それでよいのですか」という声があるのです。

 欧米のキリスト教徒たちは、普段は金儲けに励み、資本主義の原理のなかで競争して、他の人を叩きのめしているため、日曜日には、だいたい、教会に懺悔をしに行っています。謝りに行っているのです。

 それが習慣になっているので、彼らは、日曜日に宗教施設に行くと、「ごめんなさい」と言います。「教会に行っていれば、贖罪になって、天国には入れてもらえるのではないか。とにかく、教会に行っている習慣を見せればよいのだ」という考え方があるのです。

 したがって、欧米では、「教え」と「日常生活の原理」とが、はっきりと分かれています。宗教と政治・経済とが分かれていると言えるのです。

 しかし、幸福の科学は、「これからの時代においては、人々を幸福にしていく価値を持っているものが伸びていき、経済的にも成功するのが望ましい」という新しい教えを、はっきりと打ち出しています。これは未来型宗教の特徴の一つなのです。

 これからは再び乱気流の時代に入るため、状況は厳しくなりますが、当会には数多くの成功理論があり、そのなかで、その乱気流から脱出する方法がたくさん説かれているのです。

 いま、アメリカなどでは、「引き寄せの法則」等を説いた、似たような内容の本が流行っています。成功する方法についての本が、手を変え、品を変え、数多く出版されているのです。

 しかし、これらの本に書かれている方法は、十年も二十年も前に私が説いたことばかりです。どうやら、私の著書の英訳を読んで本を書いている人もいるらしいのですが、それは別として、いま流行っている成功法則のほとんどは、私としては、すでに発信が終わっているものです。

 したがって、決して外国に後れをとってはいません。幸福の科学は、宗教としては世界の最先端を行くものなのです。

 そういう教えが、当会では、すでに説かれているので、その教えによって、どうか、これから来る苦しさのなかからも抜け出してください。

 そして、一家を破滅させたり離散させたり、自殺したりすることのないように、強い心を持って戦い抜き、勝ってください。勝たなければ駄目です。

 これからは、倒産したりする会社もたくさん出てくると思います。起業家が数多く出るときには、成功する人も出ますが、失敗する人の数のほうが、どうしても多くなります。起業家で成功する人は五人に一人、あるいは十人に一人です。昔からそうなのです。

 これからは、会社が、さまざまなかたちで、ガサガサと揺さぶられ、削られて、崩れていくため、起業家になろうとして転身する人が、たくさん出てくるでしょう。しかし、そのなかで成功する人は少なく、失敗する人のほうが多いと思います。

 今後は、そういう厳しい時代が来るので、どうか、幸福の科学の成功理論を、しっかりと学んでいただきたいと思います。

 

「成長を目指さないものは必ず滅びる」と考えよ

 外国でも流行っていますし、私も説いていることでもあるのですが、「基本的に、周りの環境というものは、自分の心が引き寄せるものだ」ということは、知っておいたほうがよいでしょう。

 これは原始仏教や原始キリスト教とは違う教えですが、貧乏や、清貧の思想のようなものを、強く肯定し、信奉したら、必ず貧しくなります。したがって、こういうものに決してとらわれてはなりません。

 マスコミなどは、「日本は格差社会だ」と言って、「社会が悪いから、しかたがないのだ」というような思想を流布したりします、確かに、環境や制度のせいで問題が起きることもあります。

 しかし、「それに流されてはいけない。そのなかで、自助努力によって道を開いていかなくてはならない。創意工夫をして、立ち直っていかなくてはならない」ということを私は教えているのです。

 以前、「プロジェクトX」というテレビ番組が放映されていましたが、その番組では、登場人物たちの、「努力し、知恵を結集して、新しいものをつくり出していく」という姿が描かれていました。

 それと同じように、「世の中に、新しいものを生み出していく」「自分の持ち場のなかで、新しいものを常に生み出していく」という態度を持ちつづけること、日々に進歩しつづけること、毎年毎年、新しい仕事にチャレンジしていくこと、これが、厳しい時代を生き延びる条件なのです。

 会社であっても、会社以外の組織であっても、成長を目指さないものは必ず滅びます。そのように考えるべきです。成長というものを求めなければいけません。個人においても組織においても、「どうすれば、拡張し、成長することができるか」ということを考えつづけ、追求していかなくてはならないのです。

 現状維持は破滅への道です。どうか、「現状維持では駄目なのだ。次から次へと、新しいアイデアをつくり、新しい行動を起こしていかなければならないのだ。それ以外に生き延びる道はないのだ」と考えることが大事です。

 「過去の成功にあぐらをかいてはいけない。去年の成功によって今年の成功が保証されているわけでは決してない。来年に関しても同じである。知恵を絞り、汗を流し、努力に努力を重ねていく。これが大事なのだ」と述べておきたいと思います。

 そうやって努力しなければ、またしても経済難民が数多く出てきて、苦しいことになるでしょう。

 

他の人よりももう一歩、努力する

 いま、国家としての日本は、指導者がいないに等しい状態です。

 いまの日本は、国として成り立たないぐらいの巨大な財政赤字を抱えているので、こういう国に何かを頼んでもしかたがありません。借金を抱えている人間には、まともな判断ができないように、巨大な借金を抱えている国に、まともな判断ができるわけがないのです。

 本来なら、いまの日本を動かしている人たちは、一人残らずクビになるのが当然です。これほどの赤字を出せば、民間会社なら役員層は全員がクビになるでしょう。そういう人たちが国を動かしているので、いまの日本は、それほどよくなるとは思えないのです。

 たとえ十社のうち九社は潰れても、生き延びる一社や、十人のうち九人は給料を下げられたり、解雇されたりしても、生き延びる一人になれるように、どうか、自分たちで努力してください。

 それは、おそらく、プロフェッショナルへの道でしょう。プロを目指すことだと思います。人がやらないところに、プラスアルファの努力を加えることが大事です。人がしていない努力を、少し加えなくてはなりません。人並みでは駄目なのです。他の人よりも、もう一歩、努力することです。

 「それだけの厳しさを持っていない人には、これからは、厳しい時代になる」と述べておきたいのです。

 会社が倒産し、社員が失業したあとでは、宗教の救済にも限界があります。なかなか救えません。その前の予防措置として、やはり考え方を変えるべきです。考え方を変えて戦わなくてはなりません。勇ましく戦ってください。

 ほかのもののせいにして、「時代がこうだから、しかたがないのだ」というようなことを言っていたら、会社なら潰れてしまいます。どんどん創意工夫をしていかなければなりませんし、自分の器というものをよく見つめなくてはいけません。自分の器の限界を知って、なすべきことをなしていくのです。

 日々の精進が大事です。休みはありません。

 特に経営者の場合は、たとえ従業員が二、三名しかいない小さな会社であっても、経営者たる者には、一年の三百六十五日、逃げ道はないのです。ずうっと考えていなければなりません。考えて考えて考えつづけていると、細い道が一本、ようやく見つかるのです。

 経済的な面においても、自分に対する厳しさを持っていなければなりません。

 「貧」、すなわち貧しさが現実化したあとで、炊き出し運動をするぐらいのことは、宗教にとって、それほど難しいことではないでしょう。しかし、それでは、おそらく手遅れなので、そういう状態になる前に、どうか、「新しい価値を生み出す」という、積極的な努力をしてください。それが大事です。

 これからは、何年か続く厳しい時代がやってきます。そのなかで、幸福の科学の教えをよく学び、賢く生き延びて、成長していっていただきたいと思います。

参考

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